ケーナ

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ケーナ(左から3本)およびケナーチョ(右端)

ケーナ(quena)は、南米ペルーボリビアなどが発祥の縦笛(気鳴管楽器)である。

構造[編集]

縦笛で、表側に数孔と裏面1孔。表側の穴は、古くは3~4孔だったが、現在は西洋音階に対応するため、6孔が標準である。リードがなく、上部にあるU字またはV字型の切り込みが歌口で、そこに息を吹き付けることで音が出る。日本の尺八、中国の洞瀟と同じ原理である。

材料[編集]

材料としてはもともとはカーニャと呼ばれるが用いられていた他、遺跡からの出土品では、動物の骨を使ったものも発見されている。現在は楽器としてある程度以上の水準のものは、葦よりも格段に硬い材質の(バンブー材)または木で作られることが多い。吹き込む息によって湿気を帯びるため、また、材料の木(ハカランダなど)で口がかぶれることもあるため、吹き口の部分だけ骨を使う場合もある。木製のものは音程がかなり正確にできるが、音色はケーナというよりフルートに似た印象を受ける、高音部の音が金属的に響く場合が多い、という特徴があるため、好みは分かれる。

近年では学校教育用にプラスチックポリ塩化ビニル)で作られることもある。また、日本国内では女竹などを使って自作する人も多い。

音程と種類[編集]

もっとも一般的なサイズのケーナは、全長35~40cm、最低音がソ(アルトリコーダーより1音高い)でト長調ホ短調メロディーを吹くのにもっとも都合がよいように調律されている。このサイズを基準として、これよりサイズの小さな高音のケーナをケニージャ、大きなサイズの低音のケーナをケナーチョと呼ぶ。よく使われるのは、ケーナより3音低い最低音レのもので、ケーナの一音下(アルトリコーダーと同じ)最低音がファのものも使われることがある。ケニージャの音域は、たいていの場合通常のケーナでカバーできてしまうため、ケニージャが使われる頻度はあまり多くない。

また、運指はアルゼンチン式とボリビア式に分かれる。日本には、もともとアルゼンチン経由で紹介された経緯があるため、かつてはアルゼンチン式の運指で調律された楽器が多く入っていたが、現在輸入されている楽器はボリビア製、あるいはそれ以外でもボリビア式の運指で調律されたものがほとんどを占める。

最高音は、理論的には4オクターブまで出るが、一般的な演奏では3オクターブのド、あるいはレまで(通常サイズのケーナの場合)で、たいていの曲が演奏可能である。従って、通常の演奏で使う音域は概ね3オクターブまでである。また、半音は、ほとんどの場合、指穴を半分開けることで表現する。そのため、半音が多い曲では正確な音程を確保することは困難が伴う。

演奏[編集]

フォルクローレを演奏するとき、サンポーニャとともに主旋律を受け持つことが多い。大太鼓のボンボ弦楽器チャランゴギターなどと合わせての演奏が一般的である。楽器の構造が単純であるため、音色や表現は奏者の息づかいの表現力に強く依存する。演奏技術次第で音域を広げたり、音色を豊かにしたりすることが可能である。

演奏家[編集]

1970年代、日本に初めてフォルクローレが紹介されたのはアルゼンチン経由だったため、この時期に活躍したケーナ奏者はアルゼンチン人が中心である。ペルー出身だがアルゼンチンで活躍したアントニオ・パントーハ、アルゼンチン人のウニャ・ラモスとラウル・メルカードの名が知られているほか、現在も活躍している奏者としては、ラウル・オラルテがいる。しかし、現在ケーナの本場と言えるのはボリビアである。ボリビア人のケーナ奏者としては、ロランド・エンシーナス、ルーチョ・カブール、マルセロ・ペーニャ、エディ・リマなどの名が知られている。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]