グルカ兵

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イギリス国防省近くにあるグルカ兵の像
19世紀のグルカ兵: 手にしたスナイドル銃との対比から140~150cm程の身長である事が分かる
2005年にシンガポールで開催された国際オリンピック委員会会議の会場警備をするシンガポール警察部隊のグルカ兵

グルカ兵(グルカへい、Gurkha)とは、ネパール山岳民族から構成される戦闘集団の呼称である。

概要[編集]

一般的に、ネパールのグルカ族出身者で構成される山岳戦白兵戦に非常にたけた戦闘集団であると考えられているが、実際にはグルカ族なる民族は存在せず、マガール族グルン族ライ族リンブー族などの複数のネパール山岳民族から構成されている。

また「グルカ」とは「ゴルカ」(サンスクリット語発音:gau raksha)の訛りであり、イギリスが英・ネパール戦争当時ネパールのことを「グルカ」と呼んでいた(当時のネパールのシャー王朝がゴルカ王国の王家の子孫だった)ことによる。

なお、グルカの意味は『牛を守る者』である。

歴史[編集]

成り立ち[編集]

19世紀、ネパールとイギリス東インド会社軍との3度にわたる戦争(英・ネパール戦争)の停戦条約が締結される際に、ネパール山岳民族特有の尚武の気性と白兵戦能力、宗教的な制約が小さい点(ヒンドゥー教徒のインド人は宗教的な制約が多いため近代戦の兵士に向かず、運用に不自由をきたしていた)に目をつけたイギリス東インド会社は、グルカ兵が傭兵として同社の軍に志願することをネパールに認めさせた。

その後、セポイの乱が発生すると、ネパールは14,000人のグルカ兵を派遣し、イギリス軍が行った鎮圧戦で大きな戦力となり、後に発足した英印軍では、シク教徒・ムスリム系インド人・パシュトゥン人などとともに重要な地位を占めた。その後も第二次世界大戦においては日本軍とも交戦した他、イギリス連邦占領軍として日本の占領任務や朝鮮戦争にも従事した。

現在[編集]

以上の歴史からイギリスやイギリス連邦諸国との繋がりが深い。イギリス陸軍にはグルカ兵からなるグルカ旅団があり、2005年現在、イギリス軍に従軍しているグルカ兵は約3,600人である。非常に勇猛なことで知られフォークランド紛争など、イギリスが関わる戦争や紛争地域への派兵で先遣隊として派遣されることが多い。フォークランド紛争時にはグルカの兵が攻めてきたと聞いて逃げ出すアルゼンチン部隊もあったという。

イギリス本国や植民地(1997年以前の香港)、ブルネイなどのイギリス連邦諸国に駐屯しているほか、マレーシア軍インド国軍アメリカ海軍シンガポール警察にも雇用されている。この様に現在もイギリスの信頼は非常に深く、2004年には、イギリスのブレア首相によって、イギリス軍で勤務したグルカ兵は、完全なイギリスの市民権を付与されるようになった。

一方で冷戦の終結により、イギリス軍の部隊縮小計画で若いまま退役したグルカ兵が、シエラレオネ内戦などの紛争で傭兵として参加していることが問題になったという(後述の特集番組の報道)。

特徴[編集]

ククリ」「グルカナイフ」などと呼称される、刀身が内側に湾曲した独特な形状の刃物を携帯しており、イギリス陸軍グルカ・ライフル連隊では部隊章に使用されている。ヒマラヤでの山岳ガイドを行うシェルパ族には、元グルカ兵という経歴の者がしばしば見られる。勇猛かつ敏捷であることを求められる。グルカ兵には山岳民族特有の小柄な体格(150cm前後)の持ち主が多い。体力差については、イギリス本土の白人兵士との徒競走において、平地では大柄な白人兵が優位であったが、傾斜地でのそれでは白人兵はグルカ兵に全く歯が立たなかったとされる。NHKの特集番組では、訓練教官が射撃姿勢に移るまで0.5秒で終わると証言している。[要出典] またネパールはカースト制が緩やかなため、食事などに関するタブーが少ないことも近代的な兵士に向いているという。[要検証 ]

登用・退役[編集]

元グルカ兵のPMCコントラクター(アフガニスタンナンガルハール州

グルカ兵への登用は非常に狭き門で、小学生程度の子供の頃から格闘技英語等の基礎教育を受けさせるための専門学校もネパール国内に存在する。また、グルカ兵は、徴兵制でも志願制でもなく、イギリス軍のスカウト部隊が山村を巡回する方式を取っている。

退役したグルカ兵は、雇用契約によりネパールへ帰国させられるが、軍の年金だけでは生活できずビジネスを始めたり、民間軍事会社の契約社員として現役復帰を果たし、紛争地域に向かう者もいる。

現代ではグルカ・セキュリティー・ガーズ (GSG) を初めとしてグルカ・セキュリティー・グループと呼ばれる大規模な民間軍事会社が形成され、世界中にグルカ兵を派遣しており、実質上の傭兵派遣業となっている。

民間軍事会社では月給1,000ドル以上の高給で働くことが出来る。国民一人当たりのGDPが1,200ドルしかないネパールでは、かなりの高給職である。また英語と軍事の教育を受けているグルカ兵は、指揮命令において英語で意思疎通ができ、軍の規律を遵守するため、世界的にも重用されている。

階級[編集]

英領インド陸軍時代の階級と現在英国陸軍の階級

  • Subedar Major - Major(メージャー) - 少佐
  • Subedar - Captain(キャプテン) - 大尉
  • Jemadar - Lieutenant(ルーテネント) - 中尉
  • Company Havildar Major - Company Sergeant Major(カンパニー・サージェント・メージャー) - 2等准尉(中隊先任軍曹)
  • Company Quartermaster Havildar - Company Quartermaster Sergeant(カンパニー・クウォートマスター・サージェント) - 中隊補給軍曹
  • Havildar - Sergeant(サージェント) - 軍曹
  • Naik - Corporal(コーポラル) - 伍長
  • Lance Naik - Lance Corporal(ランス・コーポラル) - 兵長(伍長勤務上等兵)
  • Rifleman - Rifleman - ライフルマン

参考資料[編集]

  • ETV特集 20世紀最強の軍隊 グルカ - ヴィクトリア十字章を授与された元グルカ兵のドキュメンタリー。訓練中の様子などが放送された。

脚注[編集]


関連項目[編集]