グリーゼ710

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グリーゼ710
Gliese 710
星座 へび座
視等級 (V) 9.65 - 9.69[1]
変光星型 不明
(Suspected)
位置
元期:J2000
赤経 (RA, α) 18h 19m 50.8412s[2]
赤緯 (Dec, δ) -1° 56′ 19.003″[2]
視線速度 (Rv) -13.80 km/s[2]
固有運動 (μ) 赤経: -0.468 ミリ秒/[3]
赤緯: -0.176 ミリ秒/年[3]
年周視差 (π) 52.35 ± 0.27 ミリ秒[3]
距離 62.3 光年
(19.1 パーセク
絶対等級 (MV) 8.25
物理的性質
半径 0.67 R[4]
質量 0.6 M[5]
表面重力 83 G
自転速度 6.4 km/s[6]
スペクトル分類 K7 Vk[2]
光度 0.10 L[7]
表面温度 4,250 K[5], 4,109[8], 4,200[7]
色指数 (B-V) 1.36
色指数 (U-B) 1.23
金属量[Fe/H] 0.02(太陽比)[8]
別名称
別名称
BD-01 3474, GJ 710, HIP 89825, HD 168442, UGP 449, Vys/McC 63, NSV 10635
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グリーゼ710(Gliese 710)とは、へび座の尾部に存在する9.6等星で、太陽の0.6倍程度の質量を持つK型主系列星である。肉眼で観測することのできない暗い星だが、およそ135万年後に太陽系に1光年以内の距離にまで接近することで知られている。

大きさの比較
太陽 グリーゼ710
太陽 Exoplanet

太陽系への接近[編集]

現在、グリーゼ710は地球から約62光年の距離にあるが、ヒッパルコス衛星などが観測した恒星の座標、固有運動視線速度に基づいた計算から、グリーゼ710は136万年後に地球から1.1光年まで接近すると推定された[5]。ただし、より近い距離まで接近する可能性も皆無ではなく、太陽から1,000天文単位(0.016光年)以内を通過する可能性が1万分の1ほどあるとされている[9]。仮にこの距離まで近づいた場合は、オールトの雲に加えエッジワース・カイパーベルト天体にまで影響が及ぶと考えられる。

現在から前後1000万年の期間では、グリーゼ710は、その接近距離と質量から太陽系へ最も大きな重力的影響を及ぼす恒星となると考えられる。特に、オールトの雲をかきまぜて太陽系の内側に多くの彗星を向かわせることになり、彗星の衝突確率の上昇を招くことが予想されている。もっとも、ガルシア-サンチェスらのモデルによる試算では、地球への小天体の衝突確率はほんの5%上昇する程度である[5]

その後、ガイアによる観測によってグリーゼ710の運動を推定する精度が向上し、太陽系への最接近は現在から135万年後で、太陽から13,366 ± 6,250AU(0.0648 ± 0.0303pc、0.211 ± 0.099光年)の距離を通過すると計算されている[10]。この距離まで接近すると、オールトの雲に与える重力的な影響は、従来の見積もりの20倍に及ぶとみられる。

最接近時には、視等級は-2.7と全天で最も明るい恒星になると予想される[10]。この星は距離が近い割には固有運動が著しく小さいが、これはグリーゼ710の運動が視線方向に沿う、即ち、太陽系に向けてほぼ真っ直ぐに移動していることを意味している。

なお、過去1000万年の間に太陽系に最も重力的な影響を与えたのは、7万年前に0.82光年まで接近したショルツ星である[11]

出典[編集]

  1. ^ VSX: Detail for NSV 10635”. AAVSO. 2017年7月21日閲覧。
  2. ^ a b c d HD 168442 -- Variable Star”. SIMBAD. CDS. 2017年7月21日閲覧。
  3. ^ a b c Gaia Collaboration (2016), “VizieR Online Data Catalog: Gaia DR1 (Gaia Collaboration, 2016)”, VizieR Online Data Catalog I/337, Bibcode 2016yCat.1337....0G 
  4. ^ Johnson H. M. & Wright C. D. (1983). “Predicted infrared brightness of stars within 25 parsecs of the sun”. The Astrophysical Journal Supplement Series 53: 643-711. doi:10.1086/190905. http://ads.nao.ac.jp/abs/1983ApJS...53..643J. 
  5. ^ a b c d García-Sánchez, Joan; et al. (1999-02), “Stellar Encounters with the Oort Cloud Based on HIPPARCOS Data”, Astronomical Journal 117 (2): 1042-1055, Bibcode 1999AJ....117.1042G, doi:10.1086/300723 
  6. ^ Herrero, E.; et al. (2012-01), “Optimizing exoplanet transit searches around low-mass stars with inclination constraints”, Astronomy and Astrophysics 537: A147, Bibcode 2012A&A...537A.147H, doi:10.1051/0004-6361/201117809 
  7. ^ a b McDonald, I.; Zijlstra, A. A.; Byer, M. L. (2012-11), “Fundamental parameters and infrared excesses of Hipparcos stars”, Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 427 (1): 343-357, Bibcode 2012MNRAS.427..343M, doi:10.1111/j.1365-2966.2012.21873.x 
  8. ^ a b Franchini, M.; et al. (2014-07), “The FEROS-Lick/SDSS observational data base of spectral indices of FGK stars for stellar population studies”, Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 442 (1): 220-228, Bibcode 2014MNRAS.442..220F, doi:10.1093/mnras/stu873 
  9. ^ Bobylev, V. V. (2010-03). “Searching for stars closely encountering with the solar system”. Astronomy Letters 36 (3): 220-226. Bibcode 2010AstL...36..220B. doi:10.1134/S1063773710030060. 
  10. ^ a b Berski, Filip; Dybczyński, Piotr A. (2016-11), “Gliese 710 will pass the Sun even closer. Close approach parameters recalculated based on the first Gaia data release”, Astronomy and Astrophysics 595: L10, Bibcode 2016A&A...595L..10B, doi:10.1051/0004-6361/201629835 
  11. ^ Mamajek, Eric E.; et al. (2015-02), “The Closest Known Flyby of a Star to the Solar System”, Astrophysical Journal Letters 800 (1): L17, Bibcode 2015ApJ...800L..17M, doi:10.1088/2041-8205/800/1/L17 

外部リンク[編集]

座標: 星図 18h 19m 50.8412s, −1° 56′ 19.003″