カナダ保守党
カナダ保守党 英:Conservative Party of Canada 仏:Parti conservateur du Canada | |
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党首 | ピエール・ポワリエーヴル |
成立年月日 | 2003年12月7日 |
前身政党 |
カナダ進歩保守党 カナダ同盟 |
本部所在地 | オンタリオ州オタワ |
庶民院議席数 |
144 / 343 (42%) |
元老院議席数 |
18 / 105 (17%) |
党員・党友数 |
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政治的思想 |
保守主義[2] 財政保守主義[3] 経済的自由主義[4] 連邦主義[5] |
政治的立場 | 中道右派[6][7] - 右派[8] |
公式カラー | 青 |
国際組織 | 国際民主同盟[9] |
公式サイト | Conservative, Conservateur |
カナダ保守党(カナダほしゅとう、英語:Conservative Party of Canada、フランス語:Parti conservateur du Canada)は、カナダの中道右派の保守政党。カナダ自由党と二大政党を形成している。現在の党首はピエール・ポワリエーヴル。国際民主同盟加盟。口語ではトーリー党とも呼ばれる。
歴史
[編集]ブリティッシュ・コロンビア州、オンタリオ州、オタワ・ガティノー首都圏、ケベック州モントリオールを基盤とし、1993年総選挙以来、ほぼ唯一の全国政党として政権与党の座を占めてきた中道左派の自由党に対抗するために、中西部三州、アルバータ州、サスカチュワン州、マニトバ州を基盤とする右派政党のカナダ同盟と、伝統ある中道右派政党だったが小政党に転落したカナダ進歩保守党[注釈 1]の2党が、2003年12月に合併し結党された。結党直後に行われた総選挙では政権交代には至らなかったが、99議席を獲得して選挙前を上回った。
ポール・マーティン政権に対する内閣不信任可決(2005年11月)を受けて行われた2006年1月23日の総選挙では比較第一党となり、少数与党ながら政権を獲得することに成功した。2008年10月14日の総選挙では、改選前の127議席から143議席に議席数を伸ばして引き続き第一党の座を確保したが、過半数を確保することは出来なかった。2011年5月2日に行われた総選挙では167議席を獲得し、念願の単独過半数を確保して3期連続で政権を維持した。
2015年10月19日に行われた総選挙では議席を大幅に減らし99議席しか獲得できなかった一方、自由党は単独過半数を獲得して第1党の座を奪回したため、保守党は約10年ぶりに下野した[10]。以降、2019年、2021年と総選挙で自由党に及ばなかったが[11]、ジャスティン・トルドー政権の支持率は低迷し、2025年1月の退陣表明の時点で保守党は自由党に支持率で20%以上の差をつけるなど政権交代が有力視されていた[12]。しかしトルドーの後任のマーク・カーニーがカナダに対し強硬策をとるドナルド・トランプ米大統領に対抗する姿勢を見せたことで自由党は支持率を回復し、保守党は同年4月の総選挙でも自由党に及ばず[13]、ピエール・ポワリエーヴル党首が落選するという憂き目にあった[14]。
政策
[編集]様々な政治的背景や歴史を持ちながらも比較的新しい政党として、様々な背景の党員や支持者に対応しているカナダ自由党同様、連邦政府レベルのカナダ保守党はいわゆる「包括政党」と表現される[15]が、基本的には中道右派から右派の政治的立場をとっている[8][6][16][17]。大ざっぱに言うとカナダ保守党は保守主義のカナダ的モデル及び財務的保守主義を基盤にしている。その他党内には自由保守主義、社会保守主義、右派ポピュリズム、リバタリアン保守主義とメディアから呼ばれる党員も含まれている[18]。
カナダ保守党は結党にあたり、財政の説明責任、個人の権利と自由の尊重、立憲君主制への支持、議会制度およびカナダの民主的プロセス、強固な国防、法と秩序、カナダの歴史と伝統の尊重、そしてすべてのカナダ人に対する平等な扱いを、党の核となる理念および原則として掲げ、統一された綱領を策定している[19]。
近年の保守党政権は消費税(GST)を7%から5%へ引き下げるなど、累進課税による経済成長と財政健全化を柱としており、経済成長モデルにおいても政府よりも市場を重視したものであった。このように、カナダ西部を中心としたオイルサンドなどの石油業界を中心とした資源産業が大きな支持基盤となっている。
前身の右派政党のカナダ同盟は宗教右翼・キリスト教原理主義・新自由主義の影響が強く、信仰熱心なカナダ中西部の農村部の支持政党でもあるが、ハーパー政権はカナダ同盟出身であるが、実際の政策においてはこのような右翼色は抑えていた。
移民の受け入れには消極的だったが、経済水準維持のため現在は推進している。ただ、かつての政権ほど積極的ではなく、カナダの経済成長に見合った移民(経済移民)を受け入れるという選択を行っている。地球温暖化の提起にも懐疑的である。人工妊娠中絶の是非をめぐる議論では禁止を主張する党員が多いが[20][21]、党則としては「中絶規制立法は支持しない」[22]とされており、ピエール・ポワリーブル現党首も「首相となっても、女性の生殖的権利を制限するいかなる法律や規制にも賛成しない」と述べている[23]。
また、銃規制の緩和を支持している。外交面においてはアメリカ合衆国との同盟関係を重視する。
歴代党首
[編集]太字は首相経験者
- ジョン・リンチ・スタントン(暫定) 2003 - 2004
- スティーヴン・ハーパー 2004 - 2015
- ロナ・アンブローズ2015 - 2017
- アンドリュー・シーア 2017- 2020
- エリン・オウトゥール 2020- 2022
- キャンディス・バーゲン (政治家)(暫定)2022
- ピエール・ポワリエーヴル2022 -
総選挙における党勢推移
[編集]太字は総選挙に勝利し、与党となった、又は与党を維持した年
年 | 当選 |
---|---|
2004年選挙 | 99 |
2006年選挙 | 124 |
2008年選挙 | 143 |
2011年選挙 | 166 |
2015年選挙 | 99 |
2019年選挙 | 121 |
2021年選挙 | 119 |
2025年選挙 | 144 |
- 出典:Elections Canada
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ “We broke the record for largest membership eligible to vote in a leadership in Canadian history! Congrats to all the candidates for their hard-work inspiring Canadians to join our movement and being a part of our 2020 Leadership race! #cpcldr”. Twitter. @CPC_HQ. 2020年7月14日閲覧。
- ^ “Conservative Party of Canada”. ブリタニカ. 2021年2月12日閲覧。
- ^ Bittner, Amanda (2013), Parties, Elections, and the Future of Canadian Politics, UBC Press, p. 134
- ^ Joseph, Thomas (2009), 8 Days of Crisis on the Hill; Political Blip Or Stephen Harper's Revolution Derailed?, iUniverse, p. 159
- ^ Morgan, I (2008). The Federal Nation. Springer. p. 39
- ^ a b André Blais; Jean-François Laslier; Karihine Van der Straeten (2016). Voting Experiments. Springer International Publishing. pp. 25–26. ISBN 978-3-319-40573-5
- ^ “カナダ与野党の激戦続く 総選挙で開票、支持率拮抗”. 産経新聞 2021年10月10日閲覧。
- ^ a b Freedom House (2016). Freedom in the World 2015: The Annual Survey of Political Rights and Civil Liberties. Rowman & Littlefield Publishers. p. 130. ISBN 978-1-4422-5408-4
- ^ IDU Member Parties 2020.1.7閲覧。
- ^ “カナダ総選挙 野党・自由党が圧勝、10年ぶり政権交代へ”. CNN. (2015年10月20日) 2025年5月1日閲覧。
- ^ “カナダ総選挙、与党・自由党が第1党へ 過半数は届かず”. 日本経済新聞. (2021年9月20日) 2025年5月1日閲覧。
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、|newspaper=
引数が重複しています。 (説明)⚠ - ^ “カナダ首相が辞任表明、在任9年 物価高などで支持率低迷”. ロイター. (2025年1月7日) 2025年5月1日閲覧。
- ^ “カーニー首相の自由党、カナダ総選挙で勝利 「反トランプ」に支持”. AFPBB News. フランス通信社. (2025年4月29日) 2025年5月1日閲覧。
- ^ “カナダ野党の「ミニ・トランプ」が落選の見通し 一時は首相有力候補”. 毎日新聞. (2025年4月29日) 2025年5月1日閲覧。
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:|work=
、|newspaper=
引数が重複しています。 (説明)⚠ - ^ R. Kenneth Carty (2015). Big Tent Politics: The Liberal Party's Long Mastery of Canada's Public Life. UBC Press. pp. 16–17. ISBN 978-0-7748-3002-7. オリジナルのMarch 31, 2023時点におけるアーカイブ。 2020年11月23日閲覧。 - (PDF copy Archived March 6, 2021, at the Wayback Machine. - UBC Press, 2015)
- ^ Amanda Bittner; Royce Koop (2013). Parties, Elections, and the Future of Canadian Politics. UBC Press. p. 300. ISBN 978-0-7748-2411-8. オリジナルのMarch 31, 2023時点におけるアーカイブ。 2018年11月5日閲覧。
- ^ Donald C. Baumer; Howard J. Gold (2015). Parties, Polarization and Democracy in the United States. Taylor & Francis. pp. 152–. ISBN 978-1-317-25478-2. オリジナルのMarch 31, 2023時点におけるアーカイブ。 2018年11月5日閲覧。
- ^ “O'Toole's Conservative Party fracturing on eve of a federal election” (2021年8月10日). 2022年4月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年4月4日閲覧。
- ^ “Policy Declaration”. Conservative Party of Canada. 2019年6月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年6月21日閲覧。
- ^ “Why social issues are a hot topic in Canada's autumn election” (英語). BBC News. (2019年8月30日). オリジナルの2024年7月26日時点におけるアーカイブ。 2024年7月25日閲覧。
- ^ Lindeman, Tracey (2023年8月3日). “Canada has zero pro-choice Conservative MPs, watchdog says” (英語). The Guardian. ISSN 0261-3077. オリジナルの2024年9月13日時点におけるアーカイブ。 2024年7月25日閲覧。
- ^ “Conservative Party of Canada Policy Declaration, as amended September 9, 2023”. 2024年9月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年8月1日閲覧。
- ^ “Pierre Poilievre disagrees with Conservative MP who wants to vote against same-sex marriage”. CBC (2024年7月18日). 2024年9月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年8月1日閲覧。