エアボート

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エアボート

エアボート: airboat)は底が平坦でプロペラのある比較的小型の乗り物で、エアークラフトと同様のプロペラ自動車と同様のエンジンによって前進する。プロペラボートあるいは巨大なファンを持つことからファンボートとも呼ばれる。

 概要 [編集]

フラットな船底の船体をベースに、後部のやや高い位置に大出力のエンジンをマウントし、後方に向かって風が吹き付けられるように巨大なプロペラが取り付けられる。プロペラは金属の部分に保護されており(プロップガード)、障害物による破損や破片の巻き込みによる人的被害を防ぐようになっている。出力は最大500馬力を超えるものも多い。

 用途 [編集]

特にアメリカではポピュラーな乗り物として認知されており、エバーグレーズ国立公園など湿地帯での観光用レジャーボートが有名である。専門メーカーも多くあるがホームビルドで楽しむ人も多い。また、洪水など水害における理想的な救助艇としてもポピュラーである。日本においては、洪水や津波冠水時の水田地帯の環境が湿地帯の環境に類似しているため、救助艇として行政によるエアボート導入の動きが活発化しつつある。

 利点 [編集]

この平坦な底のデザインの利点は、水面下に一切のスクリューや舵などの推進部や操舵部がないことである。そのため、水面下の岩や瓦礫によるスクリューの破損やビニールや海草などの浮遊漂流物によるスクリューへの巻き込みによる航行不能に陥ることがなく浅い水路や河川・池はもちろん、湿地沼地から凍った湖でも操船が容易にできる上に、高速で回転するスクリューによって漂流者を傷つける事がない。高出力のエンジンを積んだ物では陸上に横たえられた直径1メートル程度の丸太も乗り越えることが可能である。これらの利点により、欧米特にアメリカでは氷上や河川氾濫による冠水地域救助活動で理想的乗り物として利用される。また、日本では津波災害における大量の瓦礫漂流海域での救助活動において特に漂流瓦礫に船体を乗り上げて行くといった一般船舶やゴムボート、ホバークラフトなどでは救助活動が困難な状況でのエアボートの利用が注目されつつある。 2015年(平成27年)9月10日の鬼怒川の堤防決壊による常総市の冠水被害地域において、翌9月11日に国内初のエアボートによる救助活動が行われ、その有効性が実証された。

 欠点 [編集]

欠点としてはプロペラ飛行機と同様な推進方法のためにプロペラによる騒音が大きく燃費が悪いことである。このため近年では騒音低減のためにカーボンファイバー製の4枚羽以上の低騒音型プロペラの採用やエンジンマフラーの取り付けといった騒音低減対策が取り入れられている。日本の沿岸は人口稠密な地域が多く導入の際にはより徹底した騒音対策が求められる。救助活動の際にはサイレントタイムの導入などの運用上の工夫が必要である。また、推進力が航空力学に基づくものであることから、エアボートの能力の維持・向上において、船舶知識だけでは対応しきれない難点を有する。故に、海外のようにホームビルドで楽しみたくても、自動車で言う車検に該当する船舶検査(船検)を通過させることが至難である。また、操縦技術においても日本ではインストラクター資格保有者がほとんど存在しない。

 日本での普及 [編集]

日本ではまだほとんど知られておらず、1953年(昭和28年)6月に発生した九州筑後川流域の集中豪雨による洪水被害の救助活動に米空軍所有のプロペラボート(エアボート)の出動記録があるくらいで過去の存在記録もほとんどない。「くまとマーク少年」「マイアミバイス」など、日本で放送されたアメリカのテレビドラマに登場した乗り物として認識している人がわずかにいる程度という現状である。

その理由はGHQによる日本の航空機産業の禁止が大きく影響したと考えられている。推進力が航空力学に基づくものであるがゆえにエアボートの普及は愚か、研究すら存在しえず、1957年昭和32年)に航空機開発が解禁されたが時代はすでにジェットなどへの転換期にあり、プロペラ動力の研究開発にもどる余地がなかったためであると考えられている。

 国内メーカー [編集]

現在日本国内での製造メーカーは1社のみ確認(フレッシュエアー社)。このメーカーのボートは一般的なエアボートに見られる「おわん構造」ではなく、船倉に発泡浮体を注入した不沈構造をとっているのが特徴である。従って浸水という概念がそもそもほとんど存在せず、動力による排水システムの必要もない。また救助専用エアボートには、落水者を機械的に救い上げるピックアップユニットや、転覆時に船体を自動的に元の姿勢に戻す転覆時姿勢復元装置も搭載可能であるとしている。開発者は航空力学にも精通したエンジニアであり、エアボートにおいては米国で操縦インストラクター免許を取得している。

2013年10月22日放送、テレビ東京「日経スペシャル ガイアの夜明け」においてこの開発者が紹介された。後日、NHK首都圏ニュースを始めSBS静岡放送高知さんさんテレビなど大津波への対策が急がれる地域のメディアでも相次いで紹介され、エアボートの水害における有効性の啓蒙を積極的に行っている。   

関連項目[編集]

外部リンク[編集]