ウマノスズクサ
ウマノスズクサ | ||||||||||||||||||||||||
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福島県 御薬園植栽 2012年8月
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分類(APG III) | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Aristolochia debilis Siebold et Zucc.[1] | ||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||
ウマノスズクサ(馬の鈴草) |
ウマノスズクサ(馬の鈴草、学名: Aristolochia debilis)は、ウマノスズクサ科ウマノスズクサ属の多年生つる植物。
和名の由来は、葉が馬の顔の形に、花の球形の部分が馬の首に掛けるような鈴に似ていることから命名されたという説と、ただ単に、花の形が馬の首に掛ける鈴のようだということから命名されたという説がある。
形態・生態[編集]
多年生のつる植物だが、地上部は毎年枯れる。
葉は緑色で薄く、古代の銅剣とトランプのスペードのマークの中間のような形をしている。
葉腋から伸びる柄の先につく花はラッパ状に細長く、やや曲がっており、先端は平らに開いて一端が尖るという奇妙なものである。基部がやや膨らんでおり、雄蘂と雌蘂はここに収まる。花期は7 - 9月で、雌性先熟のため、花の香りでショウジョウバエのような小型のハエを呼び、花の奥にある球形の部分に閉じ込め(途中の花筒に逆毛があるため外に出られない)、雄花になって逆毛が萎縮すると、脱出したハエに花粉が付いて[2]、次にウマノスズクサの花に入ったときに受粉する仕組みになっている。なお、花弁に見えるのは、実際には萼である。
果実は楕円形で裂け目があり、緑色から茶色に熟すると基部から果柄ごと6つに裂け、丸みを帯びた台形の平たい種子が露出して飛散する[3]。果実ができることは非常に珍しい[4]。
分布・生育地[編集]
本州以南[5]の日当たりのよいところ、特に程よく草刈りがされた里山や河川敷に生えている。
人間との関わり[編集]
民間療法におけるウマノスズクサ[編集]
ウマノスズクサの仲間は、昔は生薬として重宝された。熟れかかった果実を太陽光で乾燥させたものを馬兜鈴と呼び、咳止め、気管支拡張、去痰に効能があるとされた。また、地上部が枯れはじめる9月下旬 - 11月中旬にとった根を、水洗いしてから日光にさらして乾燥させた青木香(土木香)は、ヘビや虫などの解毒剤、打ち身、炎症止め、禿の防止、腹痛止めなどに効能があるとされた。どちらも、1日2 - 10gほどを煎じて服用するが、ウマノスズクサの成分が解明されていくにしたがい、アリストロキア酸などの毒性物質を含むことが分かったため、最近では余り使用されなくなってきている。
ウマノスズクサの成分は、ほとんどがアルカロイド系である。
- アリストロキア酸(根、果実、葉) - 大量に摂取すると腎障害を引き起こす。
- アラントイン(根)
- アリストロキン(果実)
- アリストロン(根)
- イソアリストロン(根)
- デビル酸(根)
- デビロン(根)
- マグノフロリン(根、果実)
ギャラリー[編集]
脚注[編集]
- ^ 米倉浩司; 梶田忠 (2003-). “「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)”. 2012年5月7日閲覧。
- ^ 福原達人. “ウマノスズクサ”. 植物形態学. 福岡教育大学教育学部. 2012年5月7日閲覧。
- ^ 本多郁夫 (2009年12月8日). “121 ウマノスズクサの果実(馬の鈴草)”. mizuaoiの写真館. 2012年5月7日閲覧。
- ^ “ジャコウアゲハの食草、ウマノスズクサに実が! 研究員「これまで見たことない」(神戸新聞NEXT)” (日本語). Yahoo!ニュース. 2022年3月22日閲覧。
- ^ “いわてレッドデータブック:ウマノスズクサ”. いわてレッドデータブック 岩手の希少な野生生物 web版. 岩手県環境生活部自然保護課 (2017年). 2019年6月17日閲覧。
参考文献[編集]
- 平野隆久写真 『野に咲く花』林弥栄監修、山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑〉、1989年、364頁。ISBN 4-635-07001-8。
- 森上信夫、林将之 『昆虫の食草・食樹ハンドブック』文一総合出版、2007年、22頁。ISBN 978-4-8299-0026-0。
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
- "Aristolochia debilis". National Center for Biotechnology Information (NCBI) (英語). (英語)
- "Aristolochia debilis" - Encyclopedia of Life (英語)
- 波田善夫. “ウマノスズクサ”. 植物雑学事典. 岡山理科大学総合情報学部. 2012年5月7日閲覧。
- いがりまさし. “ウマノスズクサ”. 植物図鑑・撮れたてドットコム. 2012年5月7日閲覧。