イヌビワ

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イヌビワ
Ficus erecta
Ficus erecta
(2007年4月30日、大阪府
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 core eudicots
階級なし : バラ類 rosids
階級なし : 真正バラ類I eurosids I
: バラ目 Rosales
: クワ科 Moraceae
: イチジク連 Ficeae
: イチジク属 Ficus
: イヌビワ F. erecta
学名
Ficus erecta
Thunb.
変種品種
  • ケイヌビワ F. e. var. beecheyana
  • イヌビワ F. e. var. erecta[1]
    • ホソバイヌビワ F. e. var. erecta f. sieboldii

イヌビワ(犬枇杷、学名: Ficus erecta)は、クワ科イチジク属落葉小高木。別名イタビ、姫枇杷。

果実(正確にはイチジク状果という偽果の1種)がビワ[2]に似ていて食べられるが、ビワに比べ不味であることから「イヌビワ」の名がある。

形態・生態[編集]

高さは5mくらいまで。

は狭い倒卵形から長楕円形、基部は少し心形か丸まる。葉質は薄くて草質、表面は滑らかかあるいは短いが立っていてざらつく。変異が多く、海岸沿いでは厚い葉のものも見ることがある。ごく幅の狭い葉をつけるものをホソバイヌビワ (var. sieboldii (Miq.) King)、葉面に毛の多いものをケイヌビワ (var. beecheyana (Hook. et Arn.) King) というが、中間的なものもある。

雌雄異株で、花期は4〜5月頃。

蜂との共生[編集]

イヌビワの花序には、他の多くのイチジク属植物と同様に、イチジクコバチ科英語版ハチイヌビワコバチセブアノ語版)が寄生する。雄花序の奥側には雌花に似た「虫えい花」(花柱が短く、不妊)があり、これにハチが産卵する。幼虫は虫えい花の子房が成熟して果実状になるとそれを食べ、成虫になる。初夏になると雌成虫は外に出るが、雄成虫は花序の中で雌成虫と交尾するだけで一生を終える。雌成虫は雄花序の出口付近にある雄花から花粉を受け、この頃(初夏)に開花する雌花序に入った際には授粉をするが、ここでは子孫を残せず、雄花序に入ったものだけが産卵し、翌年春にこれが幼虫になる。このように、イヌビワの授粉には寄生蜂が必要であり、イヌビワと寄生蜂は共生しているということができる。

他に、イシガケチョウ食草としても知られる[3]

分布[編集]

日本本州関西以西、四国九州沖縄)の海岸や沿海の山地に自生する。

なお、イチジク属のものには熱帯性のものが多く、本種は落葉性を獲得したため、暖温帯まで進出できたものと考えられる。本種はイチジク属の木本としては本土で最も普通に見られるため、南西諸島などに分布する同属のものには「○○イヌビワ」という本種に比した名を持つものが多い。

脚注[編集]

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  1. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Ficus erecta Thunb. var. erecta”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2014年8月7日閲覧。
  2. ^ なお、ビワはバラ科で、本種とは近縁関係にない。
  3. ^ 安田守 『イモムシハンドブック』 高橋真弓・中島秀雄監修、文一総合出版2010年、35頁。ISBN 978-4-8299-1079-5

参考文献[編集]

  • 茂木透写真 『樹に咲く花 離弁花1』 高橋秀男・勝山輝男監修、山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑〉、2000年、338-339頁。ISBN 4-635-07003-4
  • 林将之 『樹木の葉 : 実物スキャンで見分ける1100種類 : 画像検索』 山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑〉、2014年、323頁。ISBN 978-4-635-07032-4

関連項目[編集]

外部リンク[編集]