イヌビワ
![]() |
イヌビワ | |||||||||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
![]() | |||||||||||||||||||||||||||||||||
分類(APG III) | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| |||||||||||||||||||||||||||||||||
学名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
Ficus erecta Thunb. | |||||||||||||||||||||||||||||||||
変種・品種 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
|
イヌビワ(犬枇杷、学名: Ficus erecta)は、クワ科イチジク属の落葉小高木。別名イタビ、姫枇杷。
果実(正確にはイチジク状果という偽果の1種)がビワ[2]に似ていて食べられるが、ビワに比べ不味であることから「イヌビワ」の名がある。
形態・生態[編集]
![]() | この節の加筆が望まれています。 |
高さは5mくらいまで。
葉は狭い倒卵形から長楕円形、基部は少し心形か丸まる。葉質は薄くて草質、表面は滑らかかあるいは短い毛が立っていてざらつく。変異が多く、海岸沿いでは厚い葉のものも見ることがある。ごく幅の狭い葉をつけるものをホソバイヌビワ (var. sieboldii (Miq.) King)、葉面に毛の多いものをケイヌビワ (var. beecheyana (Hook. et Arn.) King) というが、中間的なものもある。
雌雄異株で、花期は4〜5月頃。
果嚢は9月末~10月頃に完熟し、直径10~13ミリ位で、白い粉を吹いたような濃紫青色となる。
ビワのような固い種子は無く、食感も味も小型イチジクといえる。何故、日本名に「ビワ」の名を付したのか不明。
樹皮を傷つけると、イチジクと同様に乳白色の液が出る。
蜂との共生[編集]
イヌビワの花序には、他の多くのイチジク属植物と同様に、イチジクコバチ科のハチ(イヌビワコバチ)が寄生する。雄花序の奥側には雌花に似た「虫えい花」(花柱が短く、不妊)があり、これにハチが産卵する。幼虫は虫えい花の子房が成熟して果実状になるとそれを食べ、成虫になる。初夏になると雌成虫は外に出るが、雄成虫は花序の中で雌成虫と交尾するだけで一生を終える。雌成虫は雄花序の出口付近にある雄花から花粉を受け、この頃(初夏)に開花する雌花序に入った際には授粉をするが、ここでは子孫を残せず、雄花序に入ったものだけが産卵し、翌年春にこれが幼虫になる。このように、イヌビワの授粉には寄生蜂が必要であり、イヌビワと寄生蜂は共生しているということができる。
分布[編集]
日本(本州関東以西、四国、九州、沖縄)の海岸や沿海の山地に自生する。
なお、イチジク属のものには熱帯性のものが多く、本種は落葉性を獲得したため、暖温帯まで進出できたものと考えられる。本種はイチジク属の木本としては本土で最も普通に見られるため、南西諸島などに分布する同属のものには「○○イヌビワ」という本種に比した名を持つものが多い。
脚注[編集]
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Ficus erecta Thunb. var. erecta” (日本語). BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2014年8月7日閲覧。
- ^ なお、ビワはバラ科で、本種とは近縁関係にない。
- ^ 安田守 『イモムシハンドブック』高橋真弓・中島秀雄監修、文一総合出版、2010年、35頁。ISBN 978-4-8299-1079-5。
参考文献[編集]
- 茂木透写真 『樹に咲く花 離弁花1』高橋秀男・勝山輝男監修、山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑〉、2000年、338-339頁。ISBN 4-635-07003-4。
- 林将之 『樹木の葉 : 実物スキャンで見分ける1100種類 : 画像検索』山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑〉、2014年、323頁。ISBN 978-4-635-07032-4。
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
- "Ficus erecta Thunb". Germplasm Resources Information Network (GRIN). Agricultural Research Service (ARS), United States Department of Agriculture (USDA). 2014年8月7日閲覧。 (英語)
- "Ficus erecta". National Center for Biotechnology Information (NCBI) (英語). (英語)
- "Ficus erecta" - Encyclopedia of Life (英語)
- 波田善夫. “イヌビワ”. 植物雑学事典. 岡山理科大学生物地球学部. 2014年8月7日閲覧。
- 福原達人. “イヌビワ(クワ科イチジク属)”. 植物形態学. 福岡教育大学教育学部. 2014年8月7日閲覧。