アゴン (ストラヴィンスキー)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
アゴン
Agon.jpg
構成 1幕
振付 G・バランシン
作曲 I・ストラヴィンスキー
初演 1957年12月1日
(バレエとしての初演)
初演バレエ団 ニューヨーク・シティ・バレエ団
主な初演者 T・ボレンダー
Ballet-dancer 01.jpg ポータル 舞台芸術
Viola d'amore.png ポータル クラシック音楽
テンプレートを表示

アゴン』 (Agon) はイーゴリ・ストラヴィンスキー1953年12月から1957年4月にかけて作曲したバレエ音楽、およびそれに基づくバレエ作品である。

ストラヴィンスキーの同時代の他の作品と同様、十二音技法が部分的に使われている。

概要[編集]

題名は「集まり・競争・闘争」などの意味を持つ古代ギリシア語ἀγών に由来する。ストーリーは存在しない。

中央部分ではサラバンドガイヤルドブランルのような古い舞曲を組み合わせている。カースティンはストラヴィンスキーに17世紀のフランソワ・ド・ローズ(フランス語版)のダンス教本を送り、それを参考にしている[1]

音楽は部分的に十二音技法が使われているが、その割には聞きやすい。また、全体に12という数が象徴的に使われている。12の曲が前奏曲と2つの間奏曲によって3曲ずつ4部に分かれるように構成されている。またダンサーの数も12人(男4人・女8人)から構成される[2]

作曲の経緯[編集]

ニューヨーク・シティ・バレエ団リンカーン・カースティン英語版による委嘱を受けて、ストラヴィンスキーは1953年12月に作曲を開始した[3]。しかし作曲は『ディラン・トマスの思い出に』(1954)および『カンティクム・サクルム』(1955)によって中断された。1956年8月に滞在中のヴェネツィアで再開したが、かつての『夜鳴きうぐいす』の場合と同様、その間にストラヴィンスキーの音楽語法は大きく変化していたため、すでに作曲した部分もやり直す必要があった[4][5]。同年10月から翌月にかけて血栓症で入院したために[5]再び中断し、1957年4月末に完成した。

初演[編集]

演奏会初演は1957年6月17日に作曲者75歳の誕生日を祝う目的で行われたオールストラヴィンスキー演奏会にて、ロバート・クラフトの指揮により演奏された[6]。バレエはジョージ・バランシンが振付け、同年12月1日にニューヨークにてニューヨーク・シティ・バレエ団により初演された。

ストラヴィンスキーは抽象的な内容の『アゴン』が観衆に受けるとは思っておらず、舞台での初演は見ないで出ていった[7]。ところが実際には大成功であり、『アゴン』はモダニズムを代表する傑作としてニューヨーク・シティ・バレエ団だけでなく世界中のバレエ団体にとって重要なレパートリーとなった[8]

編成[編集]

フルート3(3奏者はピッコロ持ち替え)、オーボエ2、コーラングレクラリネット2、バスクラリネットファゴット2、コントラファゴットホルン4、トランペット4、テナートロンボーン2、バストロンボーンマンドリンピアノティンパニタムタムシロフォンカスタネットハープ弦五部

演奏時間は約20分[6]

構成[編集]

  • パ・ド・カトル(男4人)
  • ダブル・パ・ド・カトル(女8人)
  • トリプル・パ・ド・カトル(男4人・女8人)
  • パ・ド・トロワ(前奏曲、男1人・女2人)
  • サラバンド(男1人)
  • ガイヤルド(女2人)
  • コーダ(男1人・女2人)
  • パ・ド・トロワ(間奏曲、男2人・女1人)
  • ブランル・サンプル(男2人)
  • ブランル・ゲー(女1人)
  • ブランル・ダブル・ド・ポアトー(男2人・女1人)
  • パ・ド・ドゥ(間奏曲で始まる、男1人・女1人)
  • ダンス・ド・カトル・デュオ(男4人・女4人)
  • ダンス・ド・カトル・トロワ(男4人・女8人)

前奏曲と2つの間奏曲はほぼ同じ内容である。

パ・ド・ドゥは特に長く、複雑な曲になっている。その後の2曲はごく短く、最後に冒頭の特徴的なファンファーレが帰ってくる。

脚注[編集]

  1. ^ Homans (2011) p.527
  2. ^ White (1979) pp.490-491
  3. ^ White (1979) pp.135
  4. ^ White (1979) pp.491-492
  5. ^ a b クラフト(1998) p.213
  6. ^ a b White (1979) p.490
  7. ^ クラフト(1998) p.227
  8. ^ Alastair Macaulay (2007-11-25), 50 Years Ago, Modernism Was Given a Name: ‘Agon’, New York Times, http://www.nytimes.com/2007/11/25/arts/dance/25maca.html 

参考文献[編集]

  • 「最新名曲解説全集6 管弦楽曲III」(音楽之友社
  • Jennifer Homans (2011). Apollo's Angels: A History of Ballet. Random House. ISBN 0812968743. 
  • Eric Walter White (1979) [1966]. Stravinsky: The Composer and his Works (2nd ed.). University of California Press. ISBN 0520039858. 
  • ロバート・クラフト 『ストラヴィンスキー 友情の日々』上、青土社1998年ISBN 4791756541

外部リンク[編集]