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「オオスカシバ」の版間の差分

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== 分布 ==
== 形態 ==
[[成虫]]の前翅長は3 [[センチメートル|cm]]ほど。体の背中側は黄緑色で、腹側は白い。腹部の中ほどに赤い横帯模様があり、その前後に黒い帯模様もある。また、腹部先端の左右には黒い毛の束がある。
[[日本]]では[[本州]]以南に分布し、日本以外でも[[インド]]、[[スリランカ]]、[[東南アジア]]、[[中国]]まで広く分布する。

== 特徴 ==
成虫の前翅長は3 [[センチメートル|cm]]ほど。体の背中側は黄緑色で、腹側は白い。腹部の中ほどに赤い横帯模様があり、その前後に黒い帯模様もある。また、腹部先端の左右には黒い毛の束がある。


和名のとおり翅は透明で、[[鱗|鱗粉]]がなく、黒い翅脈が走るのが大きな特徴である。[[羽化]]した直後には灰白色の鱗粉が翅をおおっているが、羽ばたくと鱗粉がすぐに脱落し、透明な翅になってしまう。この翅の表面には[[顕微鏡]]的な微細な顆粒が密生しており、[[光学]]的な効果によって、通常のチョウやガの鱗粉を除いた翅よりも、透明度を増していることが知られている。翅脈は枝分かれせず、根もとから後方に緩い曲線を描きながら伸びる。
和名のとおり翅は透明で、[[鱗|鱗粉]]がなく、黒い翅脈が走るのが大きな特徴である。[[羽化]]した直後には灰白色の鱗粉が翅をおおっているが、羽ばたくと鱗粉がすぐに脱落し、透明な翅になってしまう。この翅の表面には[[顕微鏡]]的な微細な顆粒が密生しており、[[光学]]的な効果によって、通常のチョウやガの鱗粉を除いた翅よりも、透明度を増していることが知られている。翅脈は枝分かれせず、根もとから後方に緩い曲線を描きながら伸びる。


[[幼虫]]は黄緑色か褐色で、尾に1本の角をもつ。
成虫は年に1 - 2回、夏に発生する。スズメガの多くは夜に活動するが、オオスカシバは[[昼行性|昼に活動する]]ので人の目につきやすい。[[幼虫]]は[[クチナシ]]を[[食草]]としていて、都市部でも見る機会が多い。


<gallery>
様々な花を訪れ、ホバリングしながら蜜を吸う。ただしオオスカシバの口吻は2 cmほどで、それ以上深い構造をもつ花からは蜜を吸うことができない。羽音を立てながら花にやってくる上、透明な翅と胴の模様から大きな[[ハチ]]に間違われることもあり、[[ヘンリー・ウォルター・ベイツ|ベイツ]]型[[擬態]]の例として紹介されることも多い。
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== 生態 ==
幼虫は黄緑色か褐色で、尾に1本の角をもつ。食草のクチナシはあまり大きい木ではないので、幼虫の数によっては葉が食べられて丸坊主になってしまうこともある。成長した幼虫は地表に降り、落ち葉などをつづって荒い[[繭]]を作り、[[蛹]]になる。冬は蛹で[[越冬]]する。
成虫は年に1 - 2回、夏に発生する。スズメガの多くは夜に活動するが、オオスカシバは[[昼行性|昼に活動する]]ので人の目につきやすい。様々な花を訪れ、ホバリングしながら蜜を吸う。ただし、オオスカシバの口吻は2 cmほどで、それ以上深い構造をもつ花からは蜜を吸うことができない。羽音を立てながら花にやってくる上、透明な翅と胴の模様から大きな[[ハチ]]に間違われることもあり、[[ヘンリー・ウォルター・ベイツ|ベイツ]]型[[擬態]]の例として紹介されることも多い。


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成長した幼虫は地表に降り、落ち葉などをつづって荒い[[繭]]を作り、[[蛹]]になる。冬は蛹で[[越冬]]する。
== 近縁種 ==
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: オオスカシバに似ているが、腹部の中ほどに横帯模様がなく、背中は一様に黄緑色をしている。日本では[[四国]]、[[九州]]、[[南西諸島]]に分布する。


== 分布 ==
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[[日本]]では[[本州]]以南に分布し、日本以外でも[[インド]]、[[スリランカ]]、[[東南アジア]]、[[中国]]まで広く分布する。
<!-- == 人間との関わり == -->

== オオスカシバ属 ==
{{Wikispecies|Cephonodes|オオスカシバ属}}
{{Commonscat|Cephonodes|オオスカシバ属}}
'''オオスカシバ属'''(オオスカシバぞく、[[学名]]: {{Snamei||Cephonodes}})は、[[スズメガ科]]の[[属 (分類学)|属]]の一つ。

* {{Snamei||Cephonodes apus}}
* {{Snamei||Cephonodes armatus}}
* {{Snamei||Cephonodes banksi}}
* オオスカシバ {{Snamei||Cephonodes hylas}}
* {{Snamei||Cephonodes janus}}
* {{Snamei||Cephonodes kingii}}
* {{Snamei||Cephonodes leucogaster}}
* {{Snamei||Cephonodes lifuensis}}
* {{Snamei||Cephonodes novebudensis}}
* {{Snamei||Cephonodes picus}}
* {{Snamei||Cephonodes rothschildi}}
* {{Snamei||Cephonodes rufescens}}
* {{Snamei||Cephonodes santome}}
* {{Snamei||Cephonodes tamsi}}
* {{Snamei||Cephonodes titan}}
* {{Snamei||Cephonodes trochilus}}
* {{Snamei||Cephonodes woodfordii}}
* [[リュウキュウオオスカシバ]] {{Snamei||Cephonodes xanthus}} - オオスカシバに似ているが、腹部の中ほどに横帯模様がなく、背中は一様に黄緑色をしている。日本では、[[四国]]、[[九州]]、[[南西諸島]]に分布する。

<gallery>
ファイル:Cephonodes hylas ill.JPG|オオスカシバ
ファイル:Bee hawk moth newspaper.jpg|{{Snamei|Cephonodes kingii}}
ファイル:ClearwingSphingidaeMudigere.jpg|{{Snamei|Cephonodes picus}}
ファイル:Cephonodes trochilus.JPG|{{Snamei|Cephonodes trochilus}}
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== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist}}

== 参考文献 == <!-- {{Cite book}}、{{Cite journal}} -->
* {{Cite book|和書
|author = 福田晴夫ほか
|title = 昆虫の図鑑 採集と標本の作り方 : 野山の宝石たち
|edition = 増補改訂版
|year = 2009
|publisher = [[南方新社]]
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|page = 66
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* {{Cite book|和書
|author = 安田守
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|year = 2010
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|isbn = 978-4-8299-1079-5
|page = 77
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== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
{{Wikispecies|Cephonodes hylas}}
{{Wikispecies|Cephonodes hylas}}
{{Commons&cat|Cephonodes hylas|Cephonodes hylas}}
{{Commonscat|Cephonodes hylas}}
* [[スズメガ科]]
* [[スズメガ科]]
* [[クチナシ]]


== 外部リンク ==
== 外部リンク == <!-- {{Cite web}} -->
* {{NCBI|151547|''Cephonodes hylas''}} {{En icon}}
* [http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/youtyuu/HTMLs/oosukasiba.html オオスカシバ(大透翅蛾)]
* [http://tpittaway.tripod.com/china/c_hyl.htm ''Cephonodes hylas''(Linnaeus, 1771)] (英語)
* {{EOL|507746|''Cephonodes hylas''}} {{En icon}}
* {{Cite web
|author =
|date =
|url = http://www.jpmoth.org/Sphingidae/Macroglossinae/Cephonodes_hylas_hylas.html
|title = オオスカシバ
|work = みんなで作る日本産蛾類図鑑V2
|publisher =
|accessdate = 2012-04-10
}}
* {{Cite web
|author = [[青木繁伸]]
|date = 2011-08-31
|url = http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/youtyuu/HTMLs/oosukasiba-b1.html
|title = オオスカシバ(大透翅蛾)
|work = 幼虫図鑑
|publisher = [[群馬大学]]社会情報学部
|accessdate = 2012-04-10
}}
* {{Cite web
|author =
|date =
|url = http://tpittaway.tripod.com/china/c_hyl.htm
|title = Cephonodes hylas
|work = Sphingidae of the Eastern Palaearctic
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|accessdate = 2012-04-10
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2012年4月10日 (火) 06:40時点における版

オオスカシバ
アベリアの花で吸蜜するオオスカシバの成虫
アベリアの花で吸蜜するオオスカシバの成虫
(神戸市)
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 昆虫綱 Insecta
上目 : Panorpida
: チョウ目 Lepidoptera
亜目 : Glossata
下目 : Heteroneura
上科 : Bombycoidea
: スズメガ科 Sphingidae
亜科 : ホウジャク亜科 Macroglossinae
: Dilophonotini
亜族 : Hemarina
: オオスカシバ属 Cephonodes
: オオスカシバ C. hylas
学名
Cephonodes hylas
(Linnaeus1771)[1]
シノニム

Sphinx hylas Linnaeus1771
Macroglossa confinis Boisduval1875

和名
オオスカシバ(大透翅)
英名
Pellucid hawk moth
亜種
  • C. h. australis
  • C. h. hylas
  • C. h. melanogaster
  • C. h. virescens

オオスカシバ(大透翅、学名: Cephonodes hylas)は、チョウ目スズメガ科昆虫の一種。和名のとおり、が透明なガで、の日中によく活動する。

形態

成虫の前翅長は3 cmほど。体の背中側は黄緑色で、腹側は白い。腹部の中ほどに赤い横帯模様があり、その前後に黒い帯模様もある。また、腹部先端の左右には黒い毛の束がある。

和名のとおり翅は透明で、鱗粉がなく、黒い翅脈が走るのが大きな特徴である。羽化した直後には灰白色の鱗粉が翅をおおっているが、羽ばたくと鱗粉がすぐに脱落し、透明な翅になってしまう。この翅の表面には顕微鏡的な微細な顆粒が密生しており、光学的な効果によって、通常のチョウやガの鱗粉を除いた翅よりも、透明度を増していることが知られている。翅脈は枝分かれせず、根もとから後方に緩い曲線を描きながら伸びる。

幼虫は黄緑色か褐色で、尾に1本の角をもつ。

生態

成虫は年に1 - 2回、夏に発生する。スズメガの多くは夜に活動するが、オオスカシバは昼に活動するので人の目につきやすい。様々な花を訪れ、ホバリングしながら蜜を吸う。ただし、オオスカシバの口吻は2 cmほどで、それ以上深い構造をもつ花からは蜜を吸うことができない。羽音を立てながら花にやってくる上、透明な翅と胴の模様から大きなハチに間違われることもあり、ベイツ擬態の例として紹介されることも多い。

幼虫はクチナシ食草としていて、都市部でも見る機会が多い。食草のクチナシはあまり大きい木ではないので、幼虫の数によっては葉が食べられて丸坊主になってしまうこともある。

成長した幼虫は地表に降り、落ち葉などをつづって荒いを作り、になる。冬は蛹で越冬する。

分布

日本では本州以南に分布し、日本以外でもインドスリランカ東南アジア中国まで広く分布する。

オオスカシバ属

オオスカシバ属(オオスカシバぞく、学名: Cephonodes)は、スズメガ科の一つ。

脚注

  1. ^ 日本産昆虫学名和名辞書(DJI)”. 昆虫学データベース KONCHU. 九州大学大学院農学研究院昆虫学教室. 2012年4月10日閲覧。

参考文献

  • 福田晴夫ほか『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方 : 野山の宝石たち』(増補改訂版)南方新社、2009年、66頁。ISBN 978-4-86124-168-0 
  • 安田守『イモムシハンドブック』高橋真弓・中島秀雄監修、文一総合出版、2010年、77頁。ISBN 978-4-8299-1079-5 

関連項目

外部リンク