鳳凰星座の一輝

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鳳凰星座の一輝(フェニックスのイッキ)は車田正美漫画聖闘士星矢』および、それを原作とするアニメに登場する架空の人物。

作中ではほぼフェニックス一輝と呼称されている。アニメの公式表記も同じ。

プロフィール

  • 階級:青銅聖闘士(ブロンズセイント)
  • 守護星座:鳳凰星座(フェニックス)
  • 年齢:15歳
  • 身長:175cm
  • 体重:62kg
  • 誕生日:8月15日
  • 血液型:AB型
  • 出身地:日本
  • 修行地:デスクィーン島
  • 技:鳳凰幻魔拳(ほうおうげんまけん)、鳳翼天翔(ほうよくてんしょう)
  • 声優堀秀行(初代)、小西克幸(二代目)、上村典子(テレビ版における幼少期)、豊嶋真千子(OVA版における幼少期)

来歴

グラード財団総帥の城戸光政の非嫡出子として産まれる。聖闘士への修行に際して俗世間からの情を断ち切るため、光政からは認知されていなかった。とは父母を同じくする実兄であり、幼い頃から2人きりの兄弟として育つ。瞬と共にグラード財団による聖闘士養成の道を余儀なくされ、修行地を選択するくじ引きの際、赤道直下の南太平洋に位置し灼熱地獄と呼ばれるデスクィーン島を引き当てた瞬に代わり自らその修行地を選ぶ。瞬が代わりに引き当てたアンドロメダ島が、デスクィーン島となんら変わらない地獄であると知ったとき、瞬をいま一度救わんと孤児院を脱走しようとして失敗する。その際に1万ボルトの高圧電流を浴びても死ななかったことから、既に不死身の片鱗が見えていた[1]

暗黒聖闘士を封印していた仮面の聖闘士ギルティーに師事し、憎しみによって小宇宙を燃やす独特の教えを受けるが、元来男気あふれる優しい性格のため、聖闘士の資格はなかなか取得できなかった。

デスクィーン島で出会った瞬にそっくりな女の子、エスメラルダと親しくなるが修行の最終日に師の攻撃をかわした際の余波でエスメラルダを死なせてしまった事で正義の心を封じ込め、自らの拳でギルティーを倒した。額の傷は、この時にギルディーの拳を避けようとしたときに負ったものである。その直後、自分に過酷な運命を負わせた城戸光政こそが父親であり、すでに5年前に死亡していることをギルティーから知らされる。やり場のない憎しみが爆発したことにより、エスメラルダの死の哀しみを押し殺し、城戸光政の血を引く者、息のかかった者全てを滅ぼすことを決意する。暗黒聖闘士の暗黒四天王、そして暗黒聖闘士の長であるジャンゴを倒し、鳳凰星座の聖闘士の称号を得ると、ジャンゴに代わり暗黒聖闘士の長に就くこととなる。

暗黒聖闘士を操りグラード財団の開催する銀河戦争を襲撃し、沙織とグラード財団、星矢たち異母兄弟、さらには大事に思っていた弟・瞬とすらも敵対したが、死力を尽くしてぶつかり合った末に改心し、皆が兄弟である真実を語り本来の弟想いな自分を取り戻した。以後は星矢たちの味方となる。

なお、アニメでは星矢たちと城戸光政との間に血縁関係はないという設定から、一輝はアーレスに洗脳されたギルティーにより悪の聖闘士に仕立て上げられ、アーレスの刺客として星矢たちの抹殺を企んだとされている[2]

冥王ハーデス編では、幼少時に瞬をハーデスの肉体として狙って遭遇したパンドラから痛めつけられながらも、小宇宙を発揮して何とか瞬を守り抜いた過去が明らかになる。なお、その出来事についてはパンドラによって記憶を薄れさせられていた[3]

人物像

聖闘士として初めて現れた際には、ギルティーから植えつけられた、城戸光政の血に対する憎悪を全身からみなぎらせており、皆を恐れさせた。彼の眼には憎しみしか映っておらず、暗黒聖闘士にすらそれほどの眼を持った者はいないとブラックアンドロメダは驚いていた[4]。しかしそれは、実際には一輝が無理をして偽悪的に醸し出していたものであり、その眼についてもシャカは一点の濁りすらないと言っている。実際、ギルティーから憎しみを持つよう仕込まれた6年間も、彼は憎しみを身につけることはまるでできておらず、罵られていた。一輝の憎しみは、エスメラルダを失ったショックと自分の出生に対するショックを同時に味わったことから、無理に急いて作り上げたものでしかなかった。憎しみからの解放後は幼い頃のように弟を気遣う兄に戻った。

馴れ合いを嫌って普段は単独行動をとっているが[5]、聖闘士としての使命感は固く、仲間の危機には駆けつける[6]。実弟の瞬のことは、一度は拳を向けたことがあるものの誰よりも大事に思っており、星矢達と和解してからは瞬がピンチの時は必ず駆けつける[7]。また、敵でこそないもの城戸沙織(アテナ)に忠誠を誓っている訳ではなく、(結果的にはアテナを救うが)彼が力を貸すのは星矢達のピンチを救うためである。瞬以外にはあまり直接的な情を現すことは少ないものの、リュムナデスに敗北した後の氷河のプライドを尊重するような態度もさり気なく取る等、彼なりの気遣いはしている。

星矢たちと異なり憩いの場所と呼べるものはないのは弟の瞬同様で、闘いのない時に何をしているのかは原作では描かれていない。デスクィーン島で自分を気遣ってくれた瞬と酷似した少女エスメラルダは、瞬と同様に大切な相手であり、アニメのみ、エスメラルダの想い出のある場所として一輝がデスクィーン島を訪れる描写がある[8]。リュムナデスとの対戦時は、すぐ隣に本物の瞬がいたとはいえ弟の姿を模した相手を躊躇なく貫くことができる容赦のなさを見せたが、それがもしエスメラルダの姿であったならば自分は殺されていたと述べている。ただし冥王ハーデス編で瞬がハーデスに憑依された時は、瞬の望み(瞬の肉体ごとハーデスを倒す)であるにもかかわらず、苦悩の末瞬への攻撃を直前で止めてしまった。

青銅聖闘士最強といわれる実力者であり[7]、その強さは青銅聖闘士を超越し、格上の白銀聖闘士御者座のカペラを一撃で葬っている。「恐ろしく攻撃的な小宇宙」と称される強い小宇宙を持ち[9]、当たる相手も乙女座のシャカ双子座のサガベネトナーシュのミーメアルコルのバド海龍のカノンガルーダのアイアコスなど、敵の最強クラスであることが多い。その守護星座である鳳凰フェニックス)の如く、強力な敵との戦いにおいて消滅したと思われても必ず蘇り、仲間の危機にはさらに強大な小宇宙を発しながら現れる。十二宮編では双子座のサガから二度、ポセイドン編では海龍のカノンから二度にわたりギャラクシアンエクスプロージョンの直撃を受けるが、生き残っている。作中、ギャラクシアンエクスプロージョンによる直撃を持ちこたえたのは彼だけである。 また敵への攻撃も容赦が無く、ポセイドン編では「チマチマと倒すのは性に合わない」と海闘士よりポセイドンへの攻撃を優先したり 女性相手にはやや手ぬるくなる星矢達とは違い、パンドラやラスクムーンなどの女性相手にも全く手加減をしていない。

聖衣

鳳凰星座の聖衣
師ギルティーを倒したのち、デスクイーン島を席巻していた暗黒聖闘士の長・ジャンゴを倒し手に入れた聖衣[10]。最強の青銅聖衣とされるこの聖衣は、聖衣の力を引き出すだけの小宇宙の持ち主でなければ纏うことはできず、それだけに鳳凰星座の聖闘士は未来永劫現れないとまでいわれていたが、聖闘士の歴史上、一輝が初めて鳳凰星座の聖闘士の称号を手にした[11]。原作では不死鳥の炎をイメージしたオレンジ色の彩色で描かれているが、アニメ版では十二宮編までは白を、アスガルド編以降は青を基調にした配色となっている。
全聖衣の中で唯一、他の聖衣とは異なり強い自己修復機能を持っており、破壊されても一握りの灰さえあれば完全に甦る[6]。この機能はシャカも「黄金聖衣にもないもの」と驚嘆した[12]。アニメでは十二宮戦の直後の修復前にシャカの血を受けたことがある。尾の部分は、牽制攻撃として手裏剣のように使用することもできる[6]。初登場時にはマスクと共に遮光ゴーグルが装備されていた[6]
さらに自己進化能力もあり、サガとの戦いに挑んだ際や、冥界に赴いた際には形状までもが変化した。鳳凰の翼は装着時には収納されているが、パンドラの首鐶を受け取りエリシオンに向かう際には翼が展開した。エリシオンの最終決戦においてはアテナの血を受け、他の青銅聖衣と共に神聖衣へと進化を遂げた[6]
続編『聖闘士星矢 NEXT DIMENSION 冥王神話』では神聖衣から元の青銅聖衣の姿に戻っている。

必殺技

聖闘士に同じ技は通じないと豪語する一輝だが、彼自身の技は2種類と少ない。

鳳凰幻魔拳(ほうおうげんまけん)[13]
相手の心の中に潜んでいる恐怖心を増大させることで、相手の神経にダメージを与え、幻覚や悪夢を見せて精神を破壊する技[14]。その威力はサガ・カノン兄弟が用いた伝説の魔拳・幻朧魔皇拳に匹敵する程で、この技で精神をズタズタにされた相手の体には、力はほとんど残らない。
威力を調節することで、相手を操ったり、自白させたりすることも可能[15]。一度拳で攻撃を当てた後に幻覚が発動する、遅効性の鳳凰幻魔拳も存在し、御者座のカペラに対して使用した[16]
なお富士山麓での戦いでは氷河に跳ね返された幻魔拳を一輝自身が浴びてしまい、デスクイーン島での忌まわしい記憶は呼び覚まされたものの、それらの過去の出来事により既に精神は傷だらけであるとして、さらなるダメージは受けなかった。またシャカにも通用せず、逆に賽の河原の幻影を見せられている。
鳳翼天翔(ほうよくてんしょう)
小宇宙を最大限に高めた拳により、鳳凰の羽ばたきのような強力な烈風を放って相手を吹き飛ばす技[14]
一輝最大の技で威力は高く、エリシオンではタナトスのマスクを真っ二つにしてみせた。その一方で実力差から不発に終わることもあり、シャカやサガには何度もあしらわれている。

脚注

  1. ^ 単行本5巻、62-73頁。
  2. ^ 週刊少年ジャンプ特別編集 『聖闘士星矢 アニメ・スペシャル』 集英社、1988年。110-111頁。
  3. ^ 単行本25巻、47-55頁。
  4. ^ 単行本4巻、20頁。
  5. ^ 単行本7巻、26頁。
  6. ^ a b c d e 『聖闘士星矢大全』 53-55頁。
  7. ^ a b 聖闘士星矢 冥王ハーデスエリシオン編、ただし原作中、瞬一人のピンチに一輝が駆け付けたことは実は一度もない。ほかの全員が倒れた場合か、星矢のピンチ、というパターンだけである
  8. ^ テレビアニメ第32話。
  9. ^ 単行本6巻、167頁。
  10. ^ 単行本5巻、29-30頁。
  11. ^ 週刊少年ジャンプ特別編集 『聖闘士星矢コスモスペシャル』 集英社、1988年、54頁。ただし原作ハーデス編にて「前聖戦では88人(つまり全星座の)聖闘士がいた」という発言がある。
  12. ^ 単行本10巻、59頁。
  13. ^ アニメ版では『フェニックス幻魔拳』。
  14. ^ a b 『聖闘士星矢コスモスペシャル』 216-217頁。
  15. ^ 単行本18巻、14頁。
  16. ^ 単行本7巻、16頁。

参考文献

外部リンク