高等学校卒業程度認定試験
高等学校卒業程度認定試験 | |
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英名 | Certificate for Students Achieving the Proficiency Level of Upper Secondary School Graduates |
略称 | 高認 |
実施国 | 日本 |
資格種類 | 国家試験 |
分野 | 教育・教養 |
試験形式 | マークシート |
認定団体 | 文部科学省 |
根拠法令 |
学校教育法第56条第1項 学校教育法施行規則第69条5項 高等学校卒業程度認定試験規則 |
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高等学校卒業程度認定試験(こうとうがっこうそつぎょうていどにんていしけん、英 Certificate for Students Achieving the Proficiency Level of Upper Secondary School Graduates)は、高等学校を卒業していない者等の学習成果を適切に評価し、高等学校を卒業した者と「同等以上の学力」があるかを認定する試験のことである。文部科学省が実施している。一般に高認(こうにん)と呼ばれる。かつては大検(大学入学資格検定)と呼ばれていた。国家試験の一種である。
概要
高等学校卒業程度認定試験に合格した場合、以下の効果が発生する。
- 公的に「高等学校を卒業した者と同等以上の学力がある」とみなされる。(高等学校卒業程度認定試験規則第1条)
- 大学・短期大学・専門学校・公務員試験・国家資格の受験資格を得ることができる。
- 就職の際、地方自治体・民間企業の一部から高等学校卒業者と同等に扱われることができる[1]。
合格者は高等学校を卒業した者と同等以上の学力があると認められるが、高等学校の課程を修了してはいないので、大学に進学しない限り最終学歴は中学校卒業のままになる[2]。『高卒』の学歴が欲しい場合、夜間高校や通信制高校などを卒業するというルートも用意されている。
現在では、合格者に対して高卒と同等の扱いが与えられるようになったことや、受験のチャンスが年2回へと変更されたことなどにより、受験者数が毎年増加する傾向となっている。最後の大学入学資格検定(大検)が行われた平成16年度の時点では、出願者が2万4,960人であった。これに対して、平成20年度に実施された高認試験においては3万3,264人の受験者数があり、受験者は4年間で33%の増加を見せた。
高認試験の試験会場は、各都道府県に一か所ずつ設けられている。東京都など受検者の多いところでは国立大学を使用しているが、他の道府県では公立高校を使用するケースが多い。受検者の少ない県では、県庁会議室などを会場として使用する場合もある。
高認試験の解答はすべてマークシート方式で行われている。40%程度の正答率があれば、高認試験の合格ラインを超えることができる。
高認試験の合格者が大学・短大や専門学校等への進学を希望する場合、学習塾や予備校などで補習することが望ましい。 高認の試験勉強では「最低限の基礎的な知識」を学習するだけなので、大学・短大等の入試問題を解く程度の学力を身につけることができないためである。
履歴書資格欄(学歴欄)記入例(文部科学省推奨) 「平成○○年○○月 高等学校卒業程度認定試験合格」
受験資格
受験する年度末までに満16歳以上になる者。
従来の大学入学資格検定では、高等学校の全日制課程に在籍する者(高校を休学中や不登校状態を含む)は受験できないなどの制限があった。高等学校卒業程度認定試験では、この試験を受験する年度中に満16歳以上になる者で大学入学資格を持たない者であれば、すべて受験可能になった。但し、16歳・17歳の時点で合格しても、合格証書には「18歳の誕生日になるまで(日本の学校教育法に基づく設置である)大学の受験資格がない」旨の条件が付記され、例外を除いて満18歳になる年度まで大学に入学する事[3]はできない。
旧制度の大学入学資格検定(大検)の合格者(=全科目合格者)は受験できない。(大学入学資格検定合格者も高等学校を卒業した者と「同等以上の学力」があると認められるので、大学受験や就職の際の扱いは高等学校卒業程度認定試験の合格者と同じである。また、大検で合格した科目は、高卒認定試験でも免除扱いになる。)
例外として、満17歳に達した者で、大学の定める分野において特に優れた資質を有すると大学が認めた者について、教育上の例外措置として大学入学資格が認められる[4]。なお現在、この特例措置は、大学を志願する場合のみ適用され、短期大学、専門学校等、大学以外の教育機関において適用される学校はない。
受験日及び出願期間
- 受験日:8月初旬及び11月中旬、各2日の日程
- 出願期間:5月中及び9月中、各約13日間
試験科目
合格に必要な科目は以下の通りで、科目数は8(現代社会でなく、倫理と政治・経済を選択した場合は9)となる。
合格基準
大検時代の末期より各科目とも40点前後が合格基準となっていて[5]、必要な科目の合格基準をすべて満たせば高卒認定合格となる。
一部の科目だけ合格した場合、当該科目は翌年以降に科目免除になるため、改めて受け直す必要がない。1科目1年で8年間かけても可。
科目免除
過去にまだ合格していない高卒認定試験科目のうち、次の条件に合う科目は申請すれば免除される。
- 高校や高等専門学校、指定高等専修学校などで免除要件に合う必要単位数を修得した科目
- 文部科学大臣認定の在外教育施設で免除要件に合う必要単位数を修得した科目
- 過去に大学入学資格検定で一部合格した科目
- 以下の技能審査(検定試験)を取得している科目
- 英語:実用英語技能検定(英検)準2級以上、全商英語検定試験2級以上、国際連合公用語英語検定試験(国連英検)C級以上
- 数学:実用数学技能検定(数検)2級以上
- 日本史:歴史能力検定(歴検)日本史2級以上
- 世界史:歴検世界史2級以上
また、以上の科目免除を行った結果全科目が免除となる場合は、任意の1科目を受験し合格すれば高卒認定合格となる。
特例措置
視覚障害等の身体上の障害がある場合申請することによりいくつかの特例措置がとられる。主な特例措置は以下の通り
大学入学資格検定からの変遷
単に大学入学資格を与えるという意味では、大学入学資格検定も高等学校卒業程度認定試験も違いはない。しかし、従来の大学入学資格検定よりもより高等学校卒業者と「同等以上」である事を「強調」する観点から、大学入学資格検定を廃止して、高等学校卒業程度認定試験が2005年度から実施されている。高等学校卒業程度認定試験になっても、制度の本質は変わっていない。
この背景には、様々な理由で高校を中退した、または中退するおそれのある若者(不登校の高校生や高校休学者など)が、改めて「専門的な知識を学びたい」、「新たな技能を身につけたい」と思った時の再出発を容易にとの機運が高まった事が挙げられる。
従来の大学入学資格検定との違いは以下の通り。
- 大学入学資格検定の受験資格は、中学卒業、または中学校卒業程度認定試験に合格している事が必要であったが、高等学校卒業程度認定試験では、それらが不要になった。
- 全日制高等学校の在学者が受験可能
- 家庭(必修科目)の廃止
- 選択科目の廃止
- 英語(選択科目)の必修化
- 合格科目の高等学校卒業単位への算入が可能(全日制は高等学校の校長の裁量に基づくが、定時制や通信制では概ね認められる場合が多い)。
採点ミス
2005年6月(平成17年度第1回)から2007年11月(平成19年度第2回)までに実施された、全6回分の高校卒業程度認定試験の『世界史A』でコンピュータのプログラム不備による採点ミスがあり、本来大学入学資格が得られるはずの合計80人を不合格にしていたことが判明した。文部科学省はこの80人を判明した分から新たに追加合格とし、追加合格者に対し、既に締め切られた大学入試センター試験受験の意思を急遽電話で聞くなどの特例を実施し、2008年度の大学入試を受験できるよう関係機関に協力を求めた。
根拠法令
- 学校教育法(昭和22年法律第26号)第56条第1項
- 学校教育法施行規則第69条5項
- 高等学校卒業程度認定試験規則
脚注
- ^ 文部科学省:「高等学校卒業程度認定試験(高卒認定)に関する調査結果」
- ^ 文部科学省 高等学校卒業程度認定試験とは
- ^ 実際は「18歳の誕生日になるまで大学入学資格がない」のであり、高等学校卒業程度認定試験合格が18歳未満でも、早生まれ等で合格した年度の3月31日までに18歳(法律上)になることが確実であれば大学入試受験は可能である。
- ^ 文部科学省ホームページより一部抜粋
- ^ ただし文部科学省は公式には得点基準を公表していないため、40点前後というのはサポート校などの推測による。
関連項目
- 就学義務猶予免除者等の中学校卒業程度認定試験
- 大学入学資格検定(高等学校卒業程度認定試験の前身)
- 独立行政法人大学評価・学位授与機構
- GED
- 第一高等学院
- 河合塾(コスモコース)
- サポート校
- 紺野あさ美
- 中卒・東大一直線 もう高校はいらない!
- 恵那司千浩