年齢計算ニ関スル法律

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明治三十五年法律第五十号 (年齢計算ニ関スル法律)
通称・略称 年齢計算に関する法律
法令番号 明治35年12月2日法律第50号
効力 現行法
種類 民法
主な内容 年齢計算
関連法令 民法年齢のとなえ方に関する法律
条文リンク 総務省法令データ提供システム

年齢計算ニ関スル法律ねんれいけいさんにかんするほうりつ明治35年12月2日法律第50号)は日本の現行法律の一つであり、年齢の計算方法を定める。民法の附属法の一つに位置付けられる。

目次

[編集] 内容

本法によれば、年齢は出生の日よりこれを起算し(1項)、に従って年数又は月数によって計算する(2項、民法143条1項。なお、年齢のとなえ方に関する法律1項)。すなわち、毎年、誕生日(「起算日に応答する日」)の前日の終了をもってある年齢は満了するから(本法2項、民法143条2項本文)[1]、誕生日の前日の終了時に1歳を加えることになる。ただし、その年の誕生月に誕生日が存在しないとき(「年によって期間を定めた場合において、最後の月に応当する日がないとき」)は、その月の末日の終了をもってその年齢が満了する(本法2項、民法143条2項ただし書)。

例えば、2007年10月4日に出生した者の年齢は、誕生日の前日である毎年10月3日の終了時に1歳を加える。また、2008年(閏年)2月29日に出生した者の年齢は、平年には誕生月である2月に誕生日である2月29日が存在しないから、その月の末日である2月28日の終了時に、閏年には誕生日の前日としてやはり2月28日の終了時に、それぞれ1歳を加えるわけである。

よく「法律上は誕生日の前日に加齢することになっている」等の記述を見掛けるが、これは間違ってはいないが言葉足らずである。正しくは、「法律上は誕生日の前日の24:00に加齢することになっている」と言うべきなのである。こうした場合の記述における「法律」とは「年齢計算ニ関スル法律」を指すと思われるが、「年齢計算ニ関スル法律」に規定している内容を簡単にまとめると、「例えば、2007年10月4日に出生した者が満1歳になるのは、2008年10月3日の24:00である」ということだけであり、それ以上でも以下でもなく、全くブレはない。「10月3日の24:00」と「10月4日の00:00」とは、時刻としては完全に同一の瞬間であるため、「誕生日になった瞬間(誕生日当日の00:00)に加齢する」と思っている人が多いだけの話なのであり、「年齢計算ニ関スル法律」に規定している加齢法と、「誕生日当日に加齢を祝う」という日常生活上の感覚とは、実は何ら変わることはないのである(誕生日の前日が終了した≒誕生日を迎えた)。

ただ、「時刻としては完全に同一の瞬間」とはいうものの、「ではどちらのに属するのか?」となると、「日」未満(つまり「時刻」)の部分は当然切り捨てられるため、前者は10月3日、後者は10月4日と表示されることになるのである。したがって、「年齢計算ニ関スル法律」に規定する加齢法にブレはないものの、各個別の法令上の年齢規定が時刻基準なのか日基準なのかにより誕生日前日の扱いが異なるというのが正しい理解である。(加齢するタイミングが丸一日ずれるわけではない。加齢するタイミングはあくまで誕生日前日の24:00で決してブレない)

換言すると、年齢規定の表示方法には時刻基準日基準の二通りがあり、すべての法令(制度)で統一されているわけではないことを理解し、各個別の法令上の年齢規定が時刻基準なのか日基準なのかを正しく見極めることができれば、各個別の法令(制度)における誕生日前日の扱い(解釈)に迷うことはない。(通常は「○歳に達した」という具合に「日」という語が用いられていれば日基準、「以上」「未満」「とき」など「日」という語が用いられていなければ時刻基準である)

そう考えると、「法律上の加齢は一般の感覚とずれている」という指摘も散見するが、実は、各個別の法令上の年齢規定の条文表現が、○歳以内、○歳未満、○歳に達した日、○歳に達したとき、○歳に満たない場合、○歳に至らざるとき・・・などバラバラである上、時刻基準もあれば日基準もあることが真の問題点なのであり、「年齢計算ニ関スル法律」に規定している加齢法自体に問題があるわけではないのである。

なお、「年齢計算ニ関スル法律」における初日算入規定(1項)を削除すれば(つまり民法140条の原則どおり初日不算入にすれば)、時刻基準でも日基準でも誕生日当日00:00加齢になるという議論も耳にするが、「年齢計算ニ関スル法律」が準用する民法143条は、あくまで「起算日に応当する日の前日に満了」となっているので、結局同じである。むしろ、初日不算入(つまり出生当日を第0日)にすると、出生当日の新生児に人権があるのかどうかが不明確になる(「私権の享有は、出生に始まる」という民法3条の規定との間に齟齬を来すおそれがある)。

[編集] 時刻基準か日基準か(例)

[編集] 飲酒・喫煙、酒類・タバコ等の販売

「満20年ニ至ラサル者」の飲酒・喫煙は法令で禁止されている。また、「満20年ニ至ラサル者」に対して酒類・タバコ等を販売することも禁止されている(未成年者飲酒禁止法未成年者喫煙禁止法)。「満20年ニ至ラサル」ということは「20歳未満」という意味であり、時刻を基準としているため、20歳の誕生日の前日の者は飲酒・喫煙はまだ禁止だし、これらの者に対する酒類・タバコ等の販売はまだ禁止である。

このほか、条例等で未成年者に販売することが禁止されている成人雑誌、アダルトビデオ等や、R指定の映画などにおける誕生日前日の扱いについては、それぞれの規定が時刻基準なのか日基準なのかで変わってくる。

[編集] 婚姻届

婚姻届等の戸籍の届出に関しては、法務省民事局民事第一課の見解により誕生日から適齢としている。例えば、日本女子の場合満16歳で婚姻適齢に達するが、これは、16歳の誕生日の前日ではなく誕生日当日に適齢に達するとされている。民事第一課によると、身分法においては、前日が経過をして初めて年齢が1歳繰り上がるという考え方によるものである。 民法第731条の規定は「男は、18歳に、女は、16歳にならなければ、婚姻をすることができない。」とだけあり「日」を基準とはしていない、つまり時刻基準のため、法務省の見解どおり誕生日当日からが正解である。

[編集] 就学

学校教育法第17条第1項本文は、「保護者は、子の満6歳に達したの翌日以後における最初の学年の初めから、満12歳に達したの属する学年の終わりまで、これを小学校又は特別支援学校の小学部に就学させる義務を負う。」 と日を基準とした規定となっている。よって、4月1日生まれの者は3月31日24:00に加齢していることから、加齢は日未満(24:00)の部分を切り捨てて3月31日となり、「早生まれ」となるのである。そのため、保護者はこの翌日である同年4月1日以後(「以後」なので、当日を含む)における最初の学年の初め(つまりこの場合は同じ4月1日)からその子女を小学校等に就学させる義務を負うことになる。このため、4月1日に生まれた者は3月31日までに生まれた者と同じ学年となり、4月2日以降に生まれた者はその次の学年となる。

[編集] 選挙権

選挙権を有するのは、「年齢満20年以上の者」である(公職選挙法9条1項、2項)。これを普通に解釈すると時刻基準になってしまうが、選挙管理委員会による運用によれば、投票日の翌日が20歳の誕生日である場合、その選挙への投票が可能である。例えば、2007年4月8日が投票日である選挙の場合、1987年4月9日が誕生日である人も投票できることになる。また、被選挙権の基準も同様である。これは、公職選挙法10条2項において、「被選挙権」に関する年齢が「選挙の期日により算定する」とされており、この規定を「選挙権」についても類推適用しているからであり、裁判所も認めている。[2]

いずれにせよ、期日=日を基準としている以上、20歳になったは誕生日の前日である。大きな選挙の際にテレビ等で「19歳で投票」と銘打って紹介される場合があるが、これは時刻基準と日基準を混同した間違った議論である。公職選挙法の規定は、前述のように、運用上も判例でも日を基準として解釈されており、20歳になったは誕生日の前日だからこそ投票権(選挙権)があるのである。要するに、法令では「20歳に達したから」と解釈されているのに、テレビ等では「20歳に達したとき」と誤って解釈しているから不思議に思うだけの話である。日基準の場合の誕生日前日の24時間は、まだ加齢されていないのに法的な効力は発生しているわけだが、日基準である以上、当たり前の話である。

なお、不在者投票については選挙の当日に選挙権を有していればよいが、期日前投票については投票する当日に選挙権を有していなければ投票することができない(公職選挙法43条)。

[編集] 自動車運転免許

道路交通法(昭和35年6月25日法律第105号)第88条では、次のように「免許の欠格事由」を規定している。(抜粋)

  • 大型免許にあつては二十一歳(政令で定める者にあつては、十九歳)に、中型免許にあつては二十歳(政令で定める者にあつては、十九歳)に、普通免許、大型特殊免許、大型二輪免許及び牽引免許にあつては十八歳に、普通二輪免許、小型特殊免許及び原付免許にあつては十六歳に、それぞれ満たない者(には第一種免許又は第二種免許を与えない。)
  • 大型仮免許にあつては二十一歳(政令で定める者にあつては、十九歳)に、中型仮免許にあつては二十歳(政令で定める者にあつては、十九歳)に、普通仮免許にあつては十八歳に、それぞれ満たない者に対しては、仮免許を与えない。

つまり時刻基準のため、受験する日に当該年齢の誕生日を迎えていなければならない。ちなみに、自動車運転免許の場合、免許の有効期限について、他の制度と異なり、誕生日を基準としているが、道路交通法第92条の2(「備考」の第5条第5項)では、「その者の誕生日が二月二十九日である場合におけるこの表の適用については、その者のうるう年以外の年における誕生日は二月二十八日であるものとみなす。」と規定している。

[編集] 少年法

少年法(昭和23年7月15日法律第168号)における主な年齢規定とその解釈を挙げてみる。少年法の年齢規定は基本的に時刻基準となっている。

  • 第2条第1項 この法律で「少年」とは、二十歳に満たない者をいい、「成人」とは、満二十歳以上の者をいう。(20歳の誕生日前日は「少年」
  • 第3条第1項 次に掲げる少年は、これを家庭裁判所の審判に付する。(第2号 十四歳に満たないで刑罰法令に触れる行為をした少年)(14歳の誕生日前日の者も含む
  • 第3条第2項 家庭裁判所は、前項第二号に掲げる少年及び同項第三号に掲げる少年で十四歳に満たない者については、都道府県知事又は児童相談所長から送致を受けたときに限り、これを審判に付することができる。(14歳の誕生日前日の者も含む
  • 第20条第2項 前項の規定にかかわらず、家庭裁判所は、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であつて、その罪を犯すとき十六歳以上の少年に係るものについては、同項の決定をしなければならない。(16歳の誕生日前日は無関係
  • 第23条第3項 第十九条第二項の規定は、家庭裁判所の審判の結果、本人が二十歳以上であることが判明した場合に準用する。(20歳の誕生日前日は無関係
  • 第26条の4第2項 家庭裁判所は、前項の規定により二十歳以上の者に対して第二十四条第一項第三号の保護処分をするときは、その決定と同時に、本人が二十三歳を超えない期間内において、少年院に収容する期間を定めなければならない。(20歳の誕生日前日は無関係、「二十三歳を超えない期間」とは24歳の誕生日前日24:00までの意
  • 第51条第1項 罪を犯すとき十八歳に満たない者に対しては、死刑をもつて処断すべきときは、無期刑を科する。(18歳の誕生日前日は適用
  • 第51条第2項 罪を犯すとき十八歳に満たない者に対しては、無期刑をもつて処断すべきときであつても、有期の懲役又は禁錮を科することができる。この場合において、その刑は、十年以上十五年以下において言い渡す。(18歳の誕生日前日は適用

[編集] 年齢計算に関する国会質問

民主党の平野博文は学年や年度は4月1日から始まるのに就学の年齢が4月2日を基準にしているのは一般常識(誕生日当日の00:00加齢)と異なっているのではないか、また前記のような選挙権についての取扱にも問題があるのではないかと衆議院で質問した[3]

これに対し、政府は、法令(誕生日前日の24:00加齢)に則っているので「一般常識(誕生日当日の00:00加齢)と異なった」ものであるとの指摘は当たらないと答弁している(つまり前日24:00と当日00:00は時刻としては同一なので問題ない、との認識)([4]

これは要するに、法令におけるすべての年齢規定を時刻基準にすれば平野代議士のいう「一般常識」(誕生日当日の00:00加齢)に合致するのであり、「年齢計算ニ関スル法律」(誕生日前日の24:00加齢)を改正するのではなく、各個別の法令における規定の問題なのである。

[編集] 脚注

  1. ^ 民法141条により、期間が満了するのは末日の終了時であるから、ある年齢が満了するのはその末日(誕生日の前日)の終了時(24:00)である。
  2. ^ このことを明らかにした裁判例として、大阪高等裁判所昭和54年11月22日判決・判例情報。同判決に対する上告は最高裁判所昭和55年8月26日判決により棄却され、高裁判決が確定した。
  3. ^ 平成14年7月25日提出 質問第154号「年齢の計算に関する質問主意書」
  4. ^ 衆議院議員平野博文君提出年齢の計算に関する質問に対する答弁書

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

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