高瀬幸途

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高瀬 幸途(たかせ よしみち、本名:中里 幸途[1]1948年[2] - 2019年4月24日[1])は、日本の編集者太田出版社長を務めた(1995年 - 2006年)[1]2013年に退社[要出典]後は、フリーとなった。

人物

東京都出身。法政大学時代、非合法革命党派に所属[3]

荒井晴彦に、『神聖喜劇』のシナリオ版を書かせた[4]

柄谷行人と交流があり、『NAM原理』(太田出版)では、日本の生協フィリピンの非資本系農家とのバナナ有機農業の協業をアソシエーショニズムケース・スタディとして報告している。生活クラブ生協や関西よつ葉連絡会・使い捨て時代を考える会/安全農産供給センターなど、都市消費者の力を集めて小規模農業者との連携を作る運動=産消提携(産直)をフェアトレード運動と同質のものであり、むしろ、世界最先端を切り開くものであると評価している。

1991年、湾岸戦争への自衛隊派遣に抗議し、柄谷行人中上健次津島佑子田中康夫らとともに『湾岸戦争に反対する文学者声明』を発表する。

『可能なるコミュニズム』(太田出版)の後書きで柄谷は高瀬に謝意を表明し、「本当の意味での絶望を知っている人」と評した[5]。 

高瀬が編集を手がけた雑誌『at』(2005年~2009年、オルター・トレイド・ジャパン)では柄谷行人の『世界史の構造』のもととなる論考や上野千鶴子の『ケアの社会学』が連載された。

ビートたけしとの交友もある。太田出版は、たけしの著作をよく出版していて、そのつながりからである。「ビートたけしのオールナイトニッポン」や「北野ファンクラブ」でも高瀬がネタになったことがよくあったという。

見城徹とは友人で、見城の『編集者という病』の編集を高瀬が手がけた[6]

2019年4月24日、大動脈解離のため死去。享年71[1]

編集業績

  • 『ぼくたちの時代』(田中康夫、1986、太田出版)
  • 『可能なるコミュニズム』(柄谷行人ほか、1999、太田出版)
  • 『NAM原理』(柄谷行人、高瀬幸途、2000、太田出版)
  • 『知恵蔵裁判全記録』(鈴木一誌ほか、2001、太田出版)
  • 『昭和の劇―映画脚本家・笠原和夫』(笠原 和夫、 スガ 秀実 、 荒井 晴彦、2002、太田出版)
  • 『食べもの運動論」(行岡 良治、2002、太田出版)
  • 『論争―アンペイドワークをめぐって』(上野 千鶴子、 行岡 良治 2003、太田出版)
  • 『シナリオ 神聖喜劇』(大西 巨人、荒井 晴彦、 2004、太田出版)
  • 『しなやかな生協への挑戦―続・食べもの運動論』(行岡 良治、 2004、太田出版)
  • 『縮図・インコ道理教』(大西巨人、2005、太田出版)
  • 『食べもの運動と人類史』(行岡 良治、 2006、太田出版)
  • 『おいしいコーヒーの経済論(「キリマンジャロの」苦い現実)』(辻村英之、 2009、太田出版)
  • 『女たちのお葬式』(NPO法人 葬送を考える市民の会 2012 太田出版)
  • 『ケアの社会学』(上野千鶴子、2011、太田出版)
  • 『往生の極意』(山折 哲雄、 2011、太田出版)
  • 『棺一基 大道寺将司全句集』(2012、太田出版)
  • 『生活クラブという生き方――社会運動を事業にする思想』(岩根 邦雄、2012年、太田出版)
  • 『永続敗戦論――戦後日本の核心』 (白井聡、 2013、太田出版)
  • 『農業を買い支える仕組み フェア・トレードと産消提携』(辻村英之 2013 太田出版)

論考

  • 「バナナ交易を通じた消費―生産者協同組合の連合」(『NAM原理』、2000、太田出版)
  • 「社会運動としての協同組合再考研究会(第12回)協同なるものをめぐって--零細版元の立場から思うこと」(『社会運動』/ 市民セクター政策機構 [編] 2009-11 p.47~53)
  • 「市民の手でお墓をつくる――杉並区・生活クラブ運動グループ地域協議会「みんなのお墓」プロジェクト報告」(『atプラス18』 、2013、太田出版)

脚注 

  1. ^ a b c d 前太田出版社長の高瀬幸途氏死去 たけしさんの著書担当”. 朝日新聞デジタル. 朝日新聞社 (2019年4月25日). 2019年5月2日閲覧。
  2. ^ 「2017年夏 長崎・広島・東京」 ”. 生活クラブ. 生活クラブ事業連合生活協同組合連合会 (2017年11月25日). 2019年5月2日閲覧。
  3. ^ ダ・ヴィンチ 2007年4月号
  4. ^ シナリオ「神聖喜劇」(太田出版)あとがき
  5. ^ 前掲書、二作
  6. ^ 雑誌ダヴィンチ(メディアファクトリー)記事

関連項目