風雲ライオン丸
『風雲ライオン丸』(ふううんライオンまる)は、1973年(昭和48年)4月14日から同年9月29日までフジテレビ系で毎週土曜日19:00 - 19:30に全25話が放送された、ピー・プロダクション制作の特撮テレビ番組。『快傑ライオン丸』の後番組。前作との関連は特に語られていないが、第9話に快傑ライオン丸の登場シーンがある。
ストーリー
時は戦国時代。西日本の地下に潜むマントル一族は日本征服を企み、怪人や地虫忍者を使って次々と町や村を滅ぼしていた。若き忍者・弾獅子丸の兄・影之進もマントルの怪人の手にかかり瀕死の重傷を負う。彼は獅子丸にマントル帝国の野望を教え、その野望を阻止することを願い、息絶えた。 たった一人の兄を殺された獅子丸は打倒マントルを決意する。父から学んだ秘術・弾丸(ロケット)変身を用いてライオン丸に変身し、マントルの怪人と戦う旅に出る。
戦いを続ける獅子丸の前に、生き別れの父を探す志乃と三吉の姉弟が現れる。三人は時に道連れとなり、時には別れ、過酷な旅を続ける。そしてついに獅子丸はマントルの本拠地にたどりつく。そこで彼を待っていたのは強大なマントル一族の支配者・マントルゴッドだった。
概要
前作『快傑ライオン丸』の好評を受けて制作された作品。主人公である獅子丸役には、前作でも主人公を演じた潮哲也がキャスティングされた。主人公役の役者が後番組にも主人公として登板する変身ヒーロードラマが稀であると同時に、本作の場合は同じ名前の別人となっている。主演俳優が後番組でも主演したのは『イナズマン』→『イナズマンF』渡五郎役の伴直弥や、『仮面ライダーBLACK』→『仮面ライダーBLACK RX』南光太郎役の倉田てつをなどがあるが、この2作品は前後番組で主役キャラクターも同一人物である。
また、第11話からはライバル役のタイガージョーJr.に福島資剛が起用され、主役・ライバルともに前作と同じ役者だがキャラクターは別人、という異例な作品となった。
ヒーローものではあるが「時代劇」というスタイルを守っていた前作とは違い、各所に独自性が盛り込まれている。獅子丸はポンチョ風の服をまとい、志乃と三吉は幌馬車で旅をするなど、西部劇を強く意識した作りになっているが、時代考証を完全に無視したこの設定は視聴者に違和感を覚えさせることとなった。ライオン丸のデザインは兜を被った精悍なものだったが、兜によってタテガミが隠れてしまったため、兜は第11話で割られ、以後はタテガミを見せるようになった。
ストーリー展開は極めてハードなものとなっており、「兜なし」などの路線変更後もさらにエスカレートしてゆき、ストーリーには随所に戦乱に翻弄される人間のエゴや弱さを盛り込んでいる。最終回も獅子丸はマントルに勝利したものの、同時に戦乱を止められない自分の無力さを知り、厳しい表情で去っていくというものである。ほかにも従来のヒーローものとは違う重い話が作られたが、年少の視聴者の人気は得られず、さまざまな不評も重なった結果、番組は半年で打ち切りとなる。
スタッフ
- 企画・原案:うしおそうじ、別所孝治(フジテレビ)
- 制作:別所孝治、鷺巣富雄、篠原茂
- 掲載:サンケイ新聞(まんが:うしおそうじ、若林不二吾)、小学館学習雑誌、冒険王
- 監督:石黒光一、手銭弘喜、大塚莞爾、松本喜隆
- 脚本:まつしまとしあき、しのだとみお(篠原茂と鷺巣富雄の共同ペンネーム)、山崎晴哉、高際和雄
- 操演:日高秀行、中島徹郎
- 馬術:高橋正男
- キャラクター製作:高山良策、ゼン工芸、アルファ企画
- 合成作画:渡辺善夫、鷲巣富雄
- 音楽:筒井広志
- 選曲:KUグループ
- 効果:イシダサウンド
- 録音:アオイスタジオ
- 主題歌:「行け友よ ライオン丸よ」(作詞:中村しのぶ、作曲・編曲:筒井広志 、歌:浜ジョージ、コーラス:ブルーエンジェルス)
- エンディングテーマ:「行くぞ! ライオン丸」(作詞:中村しのぶ、作曲・編曲:和田昭治、歌:和田昭治とヤングエコーズ)
- 挿入歌「さすらいの誓い」(作詞:中山千夏、作曲:はしだのりひこ、編曲:青木望、歌:ブルーエンジェルス)
- 「志乃の数え唄」(作詞:中山千夏、作曲:はしだのりひこ、編曲:青木望、歌:宮野涼子)
キャスト
- 弾 獅子丸(だん ししまる):潮哲也
- 志乃:宮野涼子(第9、16、22話を除く)
- 志津:宮野涼子、(声):江川のり子(第17、18話)
- 三吉:新井つねひろ(第9、16、22話を除く)
- 黒影豹馬:早崎正樹(第2 - 4、6、10、11話)
- 虎錠之進(虎錠之助、虎錠之介):福島資剛(第11、13 - 16、21、25話)
- 七色虹之助:菅野直行(第17 - 20、22、24話)
- アグダーの声:大平透(第1話)、依田英助(第2 - 23話)
- マントルゴッドの声:小林清志
- スーツアクター
- ナレーター、怪人の声:岡部政明
放映リスト
放送日 | 話数 | サブタイトル | 登場怪人 |
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1973年4月14日 | 1 | 飛び出せ弾丸(ロケット)変身! | ネズマ(声:岡部政明、以下、特に記載のない怪人は岡部が演じた) |
1973年4月21日 | 2 | 荒野を走る黒豹(ブラックジャガー) | バラチ |
1973年4月28日 | 3 | 火を吹く亀甲車 | ドカゲ |
1973年5月5日 | 4 | シトシト爆弾を守れ! | シャゴン |
1973年5月12日 | 5 | 燃える水を奴らに渡すな | ガー |
1973年5月19日 | 6 | 黒豹よ 三吉を助けろ! | ケカビー(声:増岡弘) |
1973年5月26日 | 7 | 最後の砦 | マジン(声:増岡弘) |
1973年6月2日 | 8 | 謎の新兵器 ローク車 | ガズラー 三色仮面 |
1973年6月9日 | 9 | 蛇ケ谷にライオン丸を見た | ガムジン(声:増岡弘) |
1973年6月16日 | 10 | うなる大砲 怪人ズク | ズク |
1973年6月23日 | 11 | 生きていたタイガージョー! | ザグロ |
1973年6月30日 | 12 | 地獄谷に恨みをはらせ! | ガン(声:増岡弘) |
1973年7月7日 | 13 | たてがみかがやくライオン丸 | ペルソナ |
1973年7月14日 | 14 | 父のかたきライオン丸! | キツネバ |
1973年7月21日 | 15 | 脱獄囚を追跡しろ! | ゾリラ |
1973年7月28日 | 16 | 忍者(しのび)の掟に明日はない!! | ヤゴ |
1973年8月4日 | 17 | 西から来た男 | ヤリコウモリ |
1973年8月11日 | 18 | マントルゴッド 悪魔の要塞 | ズカング |
1973年8月18日 | 19 | よみがえれ弾丸(ロケット)変身!! | オニグモ |
1973年8月25日 | 20 | 敗れたり! ライオン丸 | ゲジム |
1973年9月1日 | 21 | 危うし! 伊賀の三兄弟 | ザソリ |
1973年9月8日 | 22 | 南蛮寺の秘密 | ヒトデロ |
1973年9月15日 | 23 | ライオン丸 アグダーを斬る!! | トビゲラ |
1973年9月22日 | 24 | 悲運!! 父との再会! | アブ |
1973年9月29日 | 25 | マントル地下帝国最後の日!! | マントルテロス |
補足
快傑ライオン丸のゲスト出演について
第9話Bパート開始直後に快傑ライオン丸が登場するのは、弾獅子丸が気を失っている間である。このことを受け「快傑ライオン丸は、弾獅子丸の夢の中に出て来たのでは?」という指摘もあるが、結局快傑ライオン丸が登場したという根拠は、彼の授けた刀だけである。なお、スーツアクターは『快傑ライオン丸』と同様、鴨志田和夫が担当した。
快傑ライオン丸の登場は脚本にもなく、次回予告にもない。現場で急遽決定されたようである[1]。
当時の雑誌掲載の漫画版『風雲ライオン丸』には、快傑と風雲の両ライオン丸が共闘し、会話を交わすストーリーとなっているものがあった。
タイガージョーJr.の本名・素性について
初登場となる第11話のエンディングテロップでは「虎錠之進」である。劇中では「俺の兄貴は虎錠之介とか言っていたが、あいにく俺は名前を忘れてしまった」と言っている。第12話は未登場、第13話はテロップなし、第14・15話は「〜進」、第16話は「〜助」、第21話は「〜介」、第25話では「〜助」になっている。第17 - 20話と第22 - 24話は未登場。弾獅子丸をはじめ、劇中の登場人物は一貫して「錠之すけ」と呼んでいる。
第13話のタイガージョーJr.は次回予告には登場しているが脚本にはない。現場で急遽決定されたようである[1]。
自称であるため、虎錠之介(タイガージョー)の実弟かどうか確認されていない。
ライオン丸の兜・タテガミについて
第11話で兜を割られてタテガミを見せるが、以後は必ずしもタテガミを見せたままではない。
第13話では第11話同様、最初は兜を被って登場するが、途中でタテガミを見せている。
第12話、第20 - 25話では兜を被ったままで、最初からタテガミを見せているのは第14 - 19話のみである。
第12話「地獄谷に恨みをはらせ!」にはタイガージョーJr.が登場せず、ライオン丸の兜も元のままである。これは放送順を変更し、既に完成していた「地獄谷に恨みをはらせ!」を後ろにずらし、後で完成した「生きていたタイガージョー!」を第11話として先に放送したためである[1]。
タイガージョーJr.のスーツについて
初登場の第11話では、前作のタイガージョーのものを修復して使用した。第13、15話も同様である。
第14話で新調され、以後こちらが使用される。
その他
- 七色虹之助はコメディリリーフだが、剣の腕も一定の水準をクリアしており、単なるお笑い担当ではない。自ら縫ったライオン丸のマスクを被り、陽動を行ったこともある。
地方局の放送状況
『怪傑ライオン丸』まで同時ネットだった仙台放送は、1973年4月~1974年3月の間は自社番組『東北新幹線クイズ プラザQ』を放送していたため、本番組は日曜午前11時からの遅れネットだった。(同時ネット再開は『電人ザボーガー』から。)
この節の加筆が望まれています。 |
漫画
- 『サンケイ新聞』 放映に併せ原作者のうしおそうじ自身が「若林不二吾」名義で執筆。
- 『冒険王』1973年4月号 - 10月号 一峰大二
- 『別冊冒険王映画テレビマガジン』1973年5月号 - 10月号 一峰大二
- 小学館の学年別学習雑誌
映像ソフト化
- 2005年3月25日に全話収録のDVD - BOXが発売された。
- 2011年現在、単巻のDVDは発売されていない。
関連項目
脚注
フジテレビ系 土曜19時台前半 | ||
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前番組 | 番組名 | 次番組 |
風雲ライオン丸
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