起業

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起業(きぎょう)とは、新たに事業を手がけること。その担い手を起業家(アントレプレナー)と呼ぶ。創業ともいう。

日本における起業

第二次世界大戦後の日本において起業が活発となったのは、主に終戦後と高度経済成長期である[1]

起業のうち、1.独立性、2.新規性、3.開発志向、4.成長性を有する事業を特に「ベンチャー」(略称「VB」)と呼ぶが[2]、ベンチャーの起業についてみると、1970年代日本ベンチャー・ビジネス協会設立頃の第一期の「ベンチャーブーム」、1980年代ハイテクブームを背景とした第二期のベンチャーブームがある[3][4]

バブル経済崩壊後は、起業は減少傾向にあるが、インターネット・バブル以降、情報関連企業の起業が活発化した時期もある。

創業期の支援や育成について

起業する際の経営スキル向上のための一般向けの起業家教育が行われている[5]

また、資金力や経営ノウハウの乏しい創業期において、インキュベーターによる援助を受ける場合もある。近年、大学等がインキュベーターの設立に乗り出し、起業支援体制は徐々に整いつつある。

日本での起業と資金

日本政府は、起業しやすい法制度とするため、当時(1990年改正の商法で)存在した会社設立時の資本金規制(株式会社で1000万円以上、有限会社で300万円以上)について、サラリーマンなどの事業経営者以外の者が設立する際に限り資本金規制を緩和する等、中小企業支援のための法整備を行った。2006年5月には会社法が施行されたが、同法においては、資本金規制が完全撤廃されている[6]

  • 形式的には資本金1円で株式会社の設立が可能である。しかし、業種によっては個別の法令で最低資本金の制限が存在し、登記にかかる費用などは別途20万円以上かかる。そもそも現在の通貨価値において1円の資本金の企業の存在意義についての問題もある。
  • 一連の法整備では、創業間もない企業に資金を供給する「エンジェル」と呼ばれる個人投資家に対する税制の優遇措置も行われたが、諸外国に比べメリットの少ない問題点が指摘されている[7]

日本での実業教育の消滅と起業教育のはじまり

日本の学生は、生涯にわたり企業や官公庁雇用されること (「就社」とも言われる ) を希望する者が多く、米国台湾と比較すると起業を目指す若者が少ない。資金調達が主に銀行などの間接金融に限られるため、経験のない個人には資金の調達が難しく経営に失敗すると多額の借金を負うこと等に原因があるともいわれるが、起業家 ( アントレプレナー ) があらわれなければ、制度的、経営的に起業環境が整えられたとしても、起業が活発になることはない[8]

日本の学校教育では、戦前の旧国民学校高等科、さらに戦後しばらくの間、義務教育中学校)の課程において職業教育(実業教育)が行われていた時期もある(戦前は実業科、戦後は職業科という教科)。 しかし、旧文部省は義務教育における実業教育を課程から削除したため、実業教育は、職業高等学校や実業学科を置く一部の大学のみに委ねられることとなり、起業を含めた実業に関する理解を深める機会がほとんど無いまま社会に出される若者が大量にあらわれるようになった。

こうした状況において、起業家の輩出に対応できるような教育制度の改革が求められている。起業に関する講座を開設したり、アントレプレナーコース(起業家養成コース) などの専門課程を大学院に開設する大学も出ている。

文部科学省の調査によれば、起業家育成のための授業を新たに開設した大学は、国立30大学、公立12大学、私立97大学が数えられており、開設講座数は合計で330科目 になっており、今後の教育成果に期待される[9]

脚注

  1. ^ 松田修一・大江建『起業家の輩出』p.23
  2. ^ 財団法人ベンチャーエンタープライズセンターの定義による
  3. ^ ニッセイ基礎研究所『ベンチャー・起業と投資の実際知識』p.15
  4. ^ 松田修一・大江建『起業家の輩出』p.23
  5. ^ 日本商工会議所による「創業塾」、地方公共団体主催による起業セミナー、その他民間主催の起業向けの講習などがある
  6. ^ 経済産業省「最低資本金規制の特例制度について」
  7. ^ [1]
  8. ^ ニッセイ基礎研究所『ベンチャー・起業と投資の実際知識』p.85・他
  9. ^ 文部科学省「大学におけるカリキュラム等の改革状況について」

関連項目