裏番組
裏番組(うらばんぐみ)とは、あるテレビ・ラジオ局の番組と同じ時間帯に同じ地域で受信できる他局の番組のことを指す業界用語である。1969年から放送された日本テレビ系列『コント55号の裏番組をぶっとばせ!』がきっかけで、この言葉は一般的にも認知されるようになった。
裏番組への出演
基本的に、芸能人は“同時間帯の番組に重複出演してはいけない”という、業界における暗黙のルール(紳士協定)があるとされている。万が一重複しそうな場合は、「出演時間をずらす」「裏番組が(民放の場合のみだが)CM中の間だけ出演する」「編集を行い、極力出演していないように見せる」「その放送分のみ出演自体を自粛する」「どちらか一方が生放送の場合は重複する時間帯だけ退場して、他の出演者に番組進行などを担当させる」などの調整が行われる。
またレギュラー番組を持つタレントがその番組の放送時間の裏の特別番組などに出演する際は、その放送局が所在する地名を使い表現することもある。例えばタレントAが、フジテレビにレギュラー番組を持っているが、NHK総合テレビで特別番組があり時間が重複するため、単発番組放送日のみレギュラー番組を休む際、司会や進行の者が「タレントAは渋谷(NHK放送センターが所在する住所)に旅に出ているため、今日はお休みです」など。
このルールは放送局(民放の場合スポンサーも)への配慮を込めたものであり、レギュラー出演している番組の裏番組に重複出演した場合は、レギュラーを降板させられる場合も少なくないが、この暗黙のルールを逆手に取って、2つのテレビ局の生放送番組に同時出演して注目を集める芸能人も多い。このため、このルールは絶対的な存在とは言えないことになるが、放送業界の不況で「背に腹は変えられない」のか収録も被るようになり、このルールは消滅しつつあるようだ。
かつては本人だけではなく、同じ芸能事務所に所属する芸能人の裏番組出演も極力避けるようにしていたが、吉本興業が本格的に東京進出して以降は、調整が難しくなってきた事などから自主規制は特に行われなくなった。同じ事務所同士の冠番組が同時間帯に重複する例も見られる。現在でもジャニーズ事務所などはゲスト出演も時間帯が被らないようにしているが、それでもテレビドラマとバラエティ番組など別々のジャンルの番組同士では被るようになってきた。
アニメ番組等の原作者の競合、同じ学校(主に大学出身)・同じ出身地・同じジャンルの裏番組同士は配慮するなど、内容面での配慮もある。
出演ができるケース
- テレビ同士でも地上波同士ではない場合(少なくとも一方がBSやCS、独立U局など)[1]
- 地上波同士でも、2局またはそれ以上の放送局で同じ内容を放送する場合(但し、事前の取り決めが必要なため頻度は少ない)。
- スポーツ中継延長で繰り下げになった場合や、少なくとも一方の番組が再放送や遅れネットの場合
- 重複している番組の一方が映画である場合
- テレビアニメや吹き替えによる洋画、ナレーションなどで声優やナレーターによる声の重複
テレビとラジオの場合の重複出演もできるが、出演者が配慮して出演頻度を減らすことや出演を見送る場合がある。
脚注
- ^ 例えば1990年代初期に桂小枝がABC『探偵!ナイトスクープ』と全く同じ時間に放送されていたサンテレビの裏番組『おとなのえほん』の両方にレギュラー出演していたことがあったが、後者が独立U局のため重複出演とはみなされていなかった(ただし『EXテレビ』出演時、上岡龍太郎にそのことを嗜められたことがある)。