虫こぶ

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イングリッシュオークQuercus robur )の先端に形成されたタマバチの一種(Andricus quercuscalicis)の虫こぶ(写真左上、塊状の部分)。
ケヤキの葉についたケヤキフシアブラムシの虫こぶ。
割った中にオレンジ色の虫体と質の綿が見える
クリの枝に発生したクリタマバチの虫こぶ(褐色の塊状の部分)。

虫こぶ(虫瘤、: gall)は、植物の内部に昆虫を産み付けることによって、植物組織が異常な発達を起こしてできるこぶ状の突起のこと。虫癭(ちゅうえい)ともいい、英語カナ読みのゴールが使われることもある。

に見られるほか、草類の樹木の細などにも見られる。似ているものに、菌類によるこぶ状突起の菌癭、細菌によるクラウンゴールなどもあるが、すべてまとめて虫こぶという場合も多い。数少ない虫こぶの図鑑として『日本原色 虫えい図鑑』がある。

また、その原因となった昆虫により、虫こぶ自体に「~フシ」という名前がつけられている。

でき方

ハチ目タマバチの仲間やハエ目タマバエの仲間、カイガラムシなどが産卵管を植物体に差し込み、内部に卵を産む。卵の状態ではそれほど目立たない虫こぶも、幼虫と成長していくうちに大きく膨れ上がり色づいて立派な虫こぶとなる。

生き物とのかかわり

人間

虫こぶは時には果樹などにもできる。害虫として作物寄生する昆虫が虫こぶを作るものの場合、表面に昆虫が露出していないので駆除がしづらい。さらに病気を持ち込むこともあり、タマバチやタマバエは厄介な害虫として君臨している。

役に立つ例もある。オークヌルデの虫こぶにはタンニンが豊富に含まれるため、それぞれ皮革のなめし剤やお歯黒の材料として用いられた。マタタビ酒と呼ばれるものの原料(通称マタタビの実)はマタタビの生果ではなく、マタタビミタマバエによる「マタタビフクレフシ」という虫こぶとなった果実である。

動物

ネコトラなどネコ科の動物が、いわゆるマタタビ酔いを起こすのは、マタタビ生果ではなく、当該寄生昆虫によってマタタビの果実が変化した虫癭果(香気を発しやすいよう、粉末にすると効果が高い)である。

関連項目

参考文献

外部リンク