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自警団

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自警団(じけいだん、英:Vigilante)とは、権利の侵害が強く想定される場などにおいて、司法手続によらず自らの実力行使をもって自己および共同体の権利を維持確保するために結成される組織(私設軍隊民兵)、およびそれを模した防犯組織。

概要

自力救済機関としての自警団

自警団のひとつ、フィンランド内戦の際のフィンランド白衛軍

自警団とは自力救済の発露の一つ。しかし、大災害や戦争時及び植民地など大国に支配下にあって独自の軍隊が編成されていない状態などのような局面において警察治安機関が機能していないと民衆が判断した場合に自衛のために結成されることがある。その中には、専門化・プロ化して民兵へと成長するものもある。こうした混乱期の自警団は、司法が機能不全を起こしている故に、暴力に歯止めがきかず、私刑行為が横行する事がある。こうした行為は多くの近代国家で規制の対象になっている。

阪神大震災他、震災被災地において地元住民を中心に結成されたなどの事例が挙げられる。

このような例は世界中で見られ、旧ユーゴ内戦ルワンダ内戦等における大規模な虐殺でも戦端を切ったのは国軍や警察によるものではなく、扇動された自警団や民兵が引き起こしたと考えられている。

敗戦直後の八重山諸島において組織された自警団(八重山自治会参照)は、後の米軍統治下の住民統治機構への嚆矢となった。

共同体維持のための自警団

埼玉県川越市の新河岸自警団倉庫。近隣の神社の氏子によって組織されている。

上記のような緊急時に結成される自警団のほか、共同体の成員が共同体維持のため持続的に結成している自警団もある。この自警団は「共同体維持のためのボランティア組織」となっている。治安が悪化している大都市部(ニューヨークなど)において有志によって結成されているガーディアン・エンジェルスはその一つである。日本においても大規模災害対策への認識が高まっていることや犯罪検挙率が低下していることなどを背景として、自主防災組織・自主防犯組織などのように、共同体維持のための住民による自主的な組織化への動きが活発化しつつある。しかし現実の運用では混乱期の自警団と同じく、必ずしも法に則った自警行為が行われる訳ではない。また日本の河川流域で消防団水防団を兼ねる場合に「自警団」と称することがある。(写真参照)この場合は非常時以外の治安維持行為は行わない[1]。また、地方の生活安全担当部局や警察組織への協力ボランティア組織として認定・支援の対象になることもある[2]イタリアでは2002年、自警団による巡回が合法化された[3]

現代日本社会においては一部特殊な場合を除き、自警団は商店街風紀取締りなどの自発的ボランティア活動組織として認知されている。前述したように自警団の構成員には、国からの正式な法的権限委託がない場合が多い。従って構成員に拳銃警棒刀剣等の武器の携帯は認められていない。自警団の構成員が相手に対し何らかの暴力を振るう、あるいは集団で威圧した場合は警察からの逮捕任意同行の対象になりうる。

電子自警団

20世紀後葉から21世紀初頭にかけて、電子ネットワーク社会(インターネットなど)が急速に構築されているが、その進展があまりにも急速であるため、電子ネットワーク社会で発生する事象に対処できる法整備は立ち遅れていると言われている。そうした中、自力救済を目的として、電子ネットワーク上の猥褻図画や誹謗中傷を除去したり荒らし行為を排除する「電子自警団」「ネット自警団」と呼ばれる存在が現れている。日本ガーディアンエンジェルス傘下の「サイバー・ウォッチ・ネットワーク」は、電子自警団が法人格を取得した実例である(アメリカには同種の団体として「サイバー・エンジェルズ」がある)。

脚注

関連項目