織田敏定
 織田敏定画像（実成寺蔵） | |
| 時代 | 戦国時代初期 |
| 生誕 | 享徳元年（1452年）?[1] |
| 死没 | 明応4年7月5日（1495年7月26日）[2] |
| 改名 | 敏定、常英（号） |
| 別名 | 三郎、五郎、伊勢守、大和守 |
| 戒名 | 蓮光院殿常英大居士 |
| 幕府 | 室町幕府尾張下四郡守護代 |
| 主君 | 斯波義敏→義寛 |
| 氏族 | 清洲織田氏（織田大和守家） |
| 父母 | 父：織田久長、母：朝倉教景の娘？ |
| 兄弟 | 敏定、常寛、敏任 |
| 子 | 寛定、寛村ほか |
織田 敏定（おだ としさだ）は、戦国時代の武将。尾張下四郡の守護代。室町幕府の管領斯波氏の家臣。清洲織田氏（織田大和守家）の当主。清洲三奉行の一家「織田弾正忠家」の織田信定（織田信長の祖父）の父とする系図もあるが仮冒の可能性も指摘されている。
家系
尾張守護職・斯波氏の被官である織田氏の一族。敏定の家系・「織田大和守家」は元々は尾張守護代の「織田伊勢守家」の分家にてその代官である又守護代の地位にあった。後に敏定は守護代となり清洲城を居城としたため、この家系は「清洲織田氏」とも呼ばれた。
父は楽田城主・織田久長[3]、母は朝倉教景の娘[4]といわれる。通称は三郎[5]、五郎[6]、伊勢守[5]、大和守[5]。号は常英[7]。兄弟は常寛[3]、敏任[3]。子は寛定[8]、寛村[8]、敏信[9]、敏宗、良信、秀敏[10]。その他は信定[11]、信安[12]、飯尾定宗[13]、大雲永瑞[14]とされており、続柄については諸説ある。また、織田信友が養子であったともいわれる[5]。
生涯
応仁元年（1467年）、応仁の乱が起きると、先代の尾張守護斯波義敏と共に東軍に属した。そのことにより、斯波義廉を擁立して西軍に属した岩倉城を拠点とする織田氏の総領「織田伊勢守家」出身の守護代である織田敏広と対立した。
文明8年（1476年）11月、主君・斯波義敏の命で、尾張中島郡にある尾張守護所の下津城を攻め、敏広と岳父である美濃の斎藤妙椿ら岩倉方と戦い、勝利を収めた。この際に下津城は炎上したため、敏広は山田郡の国府宮（稲沢市）に敗走したという[15]。その後の動向は定かではないが、尾張を離れて京都に滞在していたとされる。
文明10年（1478年）9月9日、敏定は室町幕府から尾張守護代に任じられ、「凶徒退治」（凶徒とは西軍に属す斯波義廉と敏広を指す）を下命されて京都から尾張に下国した。これによって敵方であった美濃守護の土岐成頼・斎藤妙椿らの援助を受け、新たに守護所が置かれた清洲城に無事入城した[16]。
同年、10月12日に再び勢力を盛り返した敏広と戦い勝利するが、12月4日に敏広は清洲城を攻撃し、妙椿が敏広救援に乗り出してきたため形勢は逆転した。この時敏定は美濃牽制のため、信濃の小笠原家長に援助を求めたという[17]。この戦いで清洲城は一時的に炎上し、敏定は山田郡の山田庄に敗走している[18]。また実成寺所蔵（現在名古屋市博物館に寄託）の敏定の寿像上部に記された横川景三の賛文によるよると、この戦いで右目に矢を受けたといい、実際に寿像下部の肖像画には片目姿で描かれている。
不利な状況のため、翌文明11年（1479年）1月19日には妙椿の仲介で両軍は尾張を分割統治することで和睦した[19]。大和守家は尾張の南東部（中島郡と海東郡山田郡の一部）[20]を安堵されて伊勢守家と尾張を共同統治することになった。後に大和守家は愛知郡、知多郡、海東郡、海西郡の下四郡を支配する守護代となっている。その後、義敏の嫡男で尾張守護斯波義寛と共に在京していたという。文明12年（1480年）、元侍所所司代の多賀高忠から弓道書の『犬追物記』を借り、筆写したことが実成寺に伝わっている。
文明13年（1481年）3月に伊勢守家と再び争うが、勝利している[21]。その後に敏広は死去している。同年7月、敏広の後を継いだ養子（甥）の寛広、敏広の弟広近らが斯波義寛に帰順した[22]。さらに同年8月には寛広、広近らと共に上洛し、8代将軍足利義政に尾張平穏の報告も兼ねて礼物の献上をしたという。
長享元年（1487年）、9代将軍足利義尚による六角高頼征伐（長享の乱）に参陣した斯波義寛に伊勢守家と共に従軍している。同年、主君・義寛の名代として敏定は越前の主権を幕府に願い出ているが、要求は退けられた。延徳3年（1491年）、10代将軍足利義稙による六角高頼征伐でも義寛に従軍し、軍功があったという（延徳の乱）。
その後も伊勢守家と対立を続けるが、翌年の明応4年（1495年）7月、布陣中に死去したという。享年は44とされる[2]。『船田戦記』によると病死とあり、『武功夜話』では戦死したとも。戒名は「蓮光院殿常英大居士」[23]。
日蓮宗との係わり（清洲宗論）
敏定は熱心な日蓮宗の信徒で大和守家の宗旨決めのため、当時本末を争っていた甲斐身延山久遠寺と、京都本圀寺を文明13年（1481年）清洲城内で両者を論争させた。結果は本圀寺方の勝訴となり、久遠寺方に帰順の起請を提示させた。以後、敏定は日蓮宗寺院の長久山実成寺を庇護するなど日蓮宗の振興に務めている。
脚注・出典
- ^ 『尾張群書系図部集』掲載の享年44からの逆算。
- ^ a b 『尾張群書系図部集』上 216頁
- ^ a b c 『信長公記』
- ^ 「朝倉系図」によると、朝倉教景の女子に「織田弾正忠久長室、敏定母」とある。
- ^ a b c d 『寛政重修諸家譜』
- ^ 参考『織田信長の系譜・信秀の生涯を追って』
- ^ 『武功夜話』、『寛政重修諸家譜』
- ^ a b 参考『清洲町史』の織田氏系図
- ^ 『信長公記』、『寛政重修諸家譜編』。新井喜久夫の『織田信長辞典』では親子関係には無理があると指摘し、兄弟か従兄という説を説いている。
- ^ 『信長公記』。織田信秀の叔父で、織田信長の大叔父にあたるという。
- ^ 織田信長の祖父にあたるという。『寛政重修諸家譜』
- ^ 『信長公記』。一説に織田敏信の子ともされる。
- ^ 『信長公記』によると、織田敏宗の子とされる。
- ^ 万松寺の住職。織田信秀の伯父で一説に子とされる。
- ^ 『和漢合符』
- ^ 『親元日記』
- ^ 『小笠原文書』
- ^ 『大乗院寺社雑事記』の裏文書
- ^ 『大乗院寺社雜事記』
- ^ 元々は尾張8郡のうち知多・海東（海西郡とも）は一色氏の領地であった。
- ^ 『梅花無尽蔵』
- ^ 『親元日記』
- ^ 『系図纂要』
