神秘 (ピンク・フロイドの曲)
神秘(しんぴ、A saucerful of secrets)は、イギリスのロックグループであるピンク・フロイドが1968年に発表した楽曲。同名アルバム『神秘』に収録。約12分にわたるインストゥルメンタルナンバーである。
ピンク・フロイドは結成当初はシド・バレットのワンマンバンドであったがバレットが薬物中毒で奇行が目立ち、ついにはバンドを脱退するにいたる。残されたメンバーはバレット抜きのバンドの方向性を模索していた。その過程で出来上がった曲がこの「神秘」である。
この曲は12分近いインストゥルメンタルナンバーである。ファースト・アルバムに引き続いてノーマン・スミスがプロデュースを担当した。レコーディングセッションの終盤に入り、スミスはバンドに対して「レコーディングをがんばったご褒美に、12分だけ好きなように演奏してよい」と言った。そうして完成させた曲が11分53秒に渡るこの曲だった。
デヴィッド・ギルモア、ロジャー・ウォーターズはこの曲のテーマは戦争であると述べている。起承転結が明快な曲であり、曲の展開が4部に分かれている。この曲の作者は実質的にはギルモアである。ただし、曲の構成はウォーターズとニック・メイスンである。2人は建築の専門学校を出ており、曲の構成に当たってまるで設計図を描いているかのように組み立てていったという。ギルモアは当時バンドに加入したばかりで、この出来上がったテイクを聴いて「これは曲なのか」と驚いたという。
現在発売されているCDには記載されていないが、実は過去に「パート別」のタイトルが冠されていた。ただし以後の再発盤ではカットされている。
- "Something Else"
- "Syncopated Pandemonium"
- "Storm Signal"
- "Celestial Voices"
ライブでは主要なレパートリーと成り、最長で20分強に渡る長尺演奏が繰り広げられた。1972年9月まで演奏され続けた。1969年発表のライブアルバム『ウマグマ』、1972年発表の映画『ピンク・フロイド・ライブ・アット・ポンペイ』でライブバージョンを聴くことができる。