生食 (ウマ)
生食(いけずき、同義同音異字:生唼、同義異音異字:池月[いけづき]、生月[いけづき])は、平安末期の日本にて軍馬として活躍した名馬(一個体)の名。
概要
古くから下総台地(北総台地。下総国南東部地域。現在の行政区分では、おおよそ千葉県北西部の、船橋市、鎌ケ谷市、松戸市、柏市、白井市と周辺地域にあたる)は馬牧(馬の放牧)に適しており、軍馬の生産が行われていた(下総牧。cf. 諸国牧#牧と所在地の下総国)。
平安末期に八幡神の使いと信じられるほどの名馬が下総国葛飾郡内の牧(江戸幕府直轄の小金牧の前身となる牧場。現・柏市市内)で生まれ、「生食」と呼ばれて信仰を集めていた。 のちに生食は源頼朝に献上され、宇治川の戦いで佐々木高綱に与えられた。生食を駆る高綱は、同じく名馬の磨墨(するすみ、cf. 磨墨塚)を与えられた梶原景季と先陣争い(宇治川の先陣争い)を演じ、栄誉を勝ち取っている。現在においても白井市・柏市等の地域には生食に由来する神社が複数存在している。
生食(および、生唼)は生き物をも食らうほどの猛々しさ、池月は池に映る月に由来することから、立場の違いに起因する異字と考えられる。