海の家

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海の家

海の家(うみのいえ)とは、沿いに建てられた施設や店舗。

  1. 企業従業員、官公庁職員、市民に対するの保養のための厚生施設。
  2. 海水浴場海水浴客の便宜を有料で提供する小屋のこと。海水浴のシーズンと共に仮設の小屋を建てて営業を行い、一定の期限を経た後に撤去するのが一般的である。新潟県石川県など日本海沿岸地域では「浜茶屋(はまぢゃや)」とも呼ばれる。

本項では、2.について解説する。

概要

更衣室、休憩場所、シャワーなど海水浴に必要な便宜を図るとともに軽食などの提供を行う。一般に更衣室、休憩場所、シャワーなどを利用する場合、施設利用料として1人当たり1日500円~2,000円程度を徴収する。飲食のみの利用が可能な店舗も多い。営業期間が短いため専業化は困難で、地元の民宿や飲食店(特に夜間営業がメインとなる店など)が兼業することが多い。

営業権

海水浴場毎に「海岸組合」や「海の家組合」といった任意組合が設立されており、組合員の希望を調整し出店場所の運営、権利金の管理を行なう形態が採られている。一般的に、新規参入を希望する業者は、脱退する業者が現れるのを待つか、著しく人影が少ない海水浴場の隅での営業を強いられるなど不利益を受けがちである。また、2014年現在では国有地の海岸の占有海岸法による市町村の許可が必要であるが、市町村によっては条例又は指針などで新規の占有許可は出さず、経過的措置として従来占有が(法律上、又は慣習により)認められてきた業者のみに許可を出すとしている場合があり、これにより、これらの任意組合に加入しなければ海の家を営業することができない場合がある。

兵庫県須磨海岸では、須磨海の家協同組合という組合が営業権の管理をしており、権利売買も行われている。

不法占拠問題

一般客が立ち入ることのできる海岸(海水浴場)の多くは国有地又は公有地である。そのため、海岸を占有して海の家を営業するには海岸法に基づいて管理権限をもつ都道府県から使用許可を得る必要がある。しかし、このような許可を得ずに営業をしている海の家もあり、また一方で慣例として占有が都道府県から黙認されていたこともあって、その占有の法的根拠についてトラブルとなっている例が日本各地で発生している。

2006年9月5日には、千葉県九十九里町九十九里浜片貝海岸で、退去勧告に応じず海岸を不法占有している海の家2軒を行政代執行を以って強制撤去した例がある[1]

傾向

  • 神奈川県は受動喫煙火傷傷害や吸い殻の投げ捨てによるゴミ問題から海水浴場において喫煙場所以外における喫煙を禁止している事から、由比ヶ浜海岸では日本たばこ産業が協賛し喫煙可能で未成年入店不可能な海の家が営業されている。

漫画などでの扱い

  • 漫画などでは、海の家は登場人物の夏のアルバイト先として扱われることがある。この場合、冬のスキー場コテージのアルバイトと同様に、「リゾート地で遊べると思ったらだまされた」というような、厳しい労働の象徴というステレオタイプな扱い(あだち充みゆき』)や、登場人物間の恋愛感情を進める舞台としての扱いが多い。
  • 海の家を描いた作品としてはつげ義春の『海辺の叙景』などがあり、うだるようなを表現する上で効果的に描かれている。
  • 安部真弘の『侵略!イカ娘』は一部の番外編を除いて季節を夏に限定し、海の家を主要な舞台の一つとして、そこで働く人々や海水浴客、ライフセーバーなどを描いている。
  • 高橋留美子の『うる星やつら』に登場する藤波竜之介親子は、友引高校の購買部を任されるまで、「浜茶屋」という店名[2]の年中無休の海の家を経営していた(と言っても小屋は簡素な作りのもので、誰も泳がない吹雪の日でも小屋内に雪が積もっていても営業していた)。

脚注

  1. ^ 土地の不法占は問題がある 九十九里浜の「海の家」強制撤去へ
  2. ^ 作者の高橋留美子は新潟県出身のため、「海の家」ではなく「浜茶屋」と呼称した。

関連項目