民間人校長
民間人校長(みんかんじんこうちょう)とは、一定の「教育に関する職」の経歴年数がない国立および公立の小学校、中学校、高等学校・中等教育学校等の校長を指す。企業人などの前歴を考慮して選ばれることが多い。
概要
斬新な学校運営を行うため、社会経験者が校長として赴任する制度として省令の改正によって定められた。
法令の定め
学校教育法施行規則(昭和22年文部省令第11号)の第1章第2節に定めがある。
まず、校長(学長及び高等専門学校の校長を除く。)の資格としては、次の「教育に関する職」に、原則として就いていなければならない。
- イ 学校教育法第1条に規定する学校および同法第82条の2に規定する専修学校の校長の職
- ロ 学校教育法第1条に規定する学校の教授、准教授、助教、教頭、教諭、助教諭、養護教諭、養護助教諭、栄養教諭、講師(常時勤務の者に限る。)および同法第82条の2に規定する専修学校の教員(以下「教員」という。)の職
- ハ 学校教育法第1条に規定する学校の事務職員(単純な労務に雇用される者を除く。以下同じ。)、実習助手、寄宿舎指導員および学校栄養職員(学校給食法 (昭和29年法律第160号)第5条の3に規定する職員のうち栄養教諭以外の者をいい、同法第5条の2に規定する施設の当該職員を含む。)の職
- ニ 学校教育法第98条の規定により廃止された従前の法令の規定による学校および旧教員養成諸学校官制(昭和21一年勅令第208号)第1条の規定による教員養成諸学校の長の職
- ホ ニに掲げる学校および教員養成諸学校における教員および事務職員に相当する者の職
- ヘ 日本国外に在留する日本邦人の子女のための在外教育施設(以下「在外教育施設」という。)で、文部科学大臣が小学校、中学校または高等学校の課程と同等の課程を有するものとして認定したものにおけるイからハまでに掲げる者に準ずるものの職
- ト ヘに規定する職のほか、日本でない国の学校におけるイからハまでに掲げる者に準ずるものの職
- チ 少年院法 (昭和23年法律第169号)による少年院または児童福祉法 (昭和22年法律第164号)による児童自立支援施設(児童福祉法等の一部を改正する法律(平成9年法律第74号)附則第7条第1項の規定により証明書を発行することができるもので、同条第2項の規定によりその例によることとされた同法による改正前の児童福祉法第48条第4項ただし書の規定による指定を受けたものを除く。)において教育を担当する者の職
- リ イからチまでに掲げるもののほか、国または地方公共団体において教育事務または教育を担当する国家公務員または地方公務員(単純な労務に雇用される者を除く。)の職
- ヌ 日本でない国の官公庁におけるリに準ずる者の職
その例外として、国立もしくは公立の学校の校長の任命権者または私立学校の設置者は、学校の運営上特に必要がある場合には、以上に掲げる資格を有する者と同等の資質を有すると認める者等を校長として任命しまたは採用することができると定められている。
不祥事
- 横浜市教育委員会が応募し採用決定した民間人校長の採用予定者の中に、過去に逮捕歴がある者が混じっていたことが2010年に発覚した。市に寄せられた匿名の情報により判明し、この予定者は採用を辞退した[1]。
- 大阪市立小学校に2013年春に着任した50歳の男性の民間人校長が、同年6月に、自身の評価を児童の保護者に対し尋ねる形式のアンケートを、「民間人校長の採用の参考にする」と虚偽の説明をした上で実施していたことが判明し、同市教委は7月にこの民間人校長を厳重注意とした[2]。
- 大阪市で2013年度に採用された民間人校長11人のうち4人が、セクハラや経歴詐称などで辞職したり、懲戒免職となった(2015年3月時点)。
民間人校長が登場する作品
関連項目
脚注
- ^ “民間人校長:採用の会社員に盗撮で逮捕歴、辞退 横浜”. 毎日新聞. (2010年1月14日)[リンク切れ]
- ^ “民間校長偽アンケート、教委実施装い自身の評価”. 読売新聞. (2013年9月13日). オリジナルの2013年9月22日時点におけるアーカイブ。