教会のステンドグラス

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交響的印象『教会のステンドグラス』(きょうかいのステンドグラス、Vetrate di chiesa)は、オットリーノ・レスピーギ1925年に完成させた4楽章からなる管弦楽曲

概要[編集]

1927年ボストンにて初演された。

この作品はピアノ曲『グレゴリオ聖歌による3つの前奏曲』(1919年)を管弦楽編曲し、さらに終曲として第4楽章を加えたもの。交響詩ローマの松1924年)』と交響詩『ローマの祭1928年)』の間に位置する。

  • 演奏時間:約27分

楽器編成[編集]

木管楽器
金管楽器
打楽器
その他
弦楽器

構成[編集]

  • I. エジプトへの逃避 (La fuga in Egitto)
    • 5/4拍子。ヘロデ王の迫害からイエス親子が逃避する場面(ただし表題は編曲時につけられた)。物憂げな旋律が分厚いオーケストラの中で高調する。
  • II. 大天使ミカエル (San Michele Arcangelo)
    • 天使とサタンの激しい戦闘を描く、万華鏡とも言うべき絢爛な大迫力の楽章。レスピーギの卓越した管弦楽技法が最大限に発揮されている。
    • 低音部の力強い旋律は特に有名。最大音量で全管弦楽が鳴り渡ったあと、ドラの一撃がサタンの転落を表す。
    • 吹奏楽コンクールで定番曲化したことから、この大音量の楽章が特に有名になった(後述)。
  • III. 聖クララの朝の祈り (Il Mattutino di Santa Chiara)
    • 5/4拍子。静かで繊細な音楽。イエスが病床で悲しんでいたクララに奇跡を起こし、教会へ出ることが出来たという物語をこの楽章に当てている。
  • IV. 偉大なる聖グレゴリウス (San Gregorio Magno)
    • 管弦楽で追加された作品ということで、管弦楽独自の効果が強調されている。
    • 3音が様々な楽器に次々と渡されていく。コラール風旋律、オルガンのソロを経て高潮し、全管弦楽によるグローリアの絶叫を表現し、壮麗に結ぶ。
    • 4楽章中、やや長め。

その他[編集]

この曲は、作曲から半世紀の間、日本での知名度は極めて低かったが、その後、吹奏楽編曲版(作曲者自身による吹奏楽版は存在せず、他者の編曲家による)が吹奏楽のレパートリーとして定着した。これによって原曲の知名度が上がったと指摘する者もいる。

ヨーロッパでは放送交響楽団が放送用によく取り上げる曲目である。

外部リンク[編集]