宗教戦争
宗教戦争(しゅうきょうせんそう)は、宗教上の問題が原因で生じた戦争。一般には、宗教改革後の16-17世紀、ヨーロッパにおけるカトリックとプロテスタントの対立から起こった一連の戦争を指す。必ずしも宗教上の対立のみではなく、政治的な利害も複雑にからみ、深刻な争いとなった。同国民同士が血を流して争いあう宗教戦争への反省から、西ヨーロッパでは政治と宗教の分離が進められるようになった。
主な宗教戦争
- カッペル戦争
- シュマルカルデン戦争
- ユグノー戦争(フランス宗教戦争)
- 八十年戦争
- 三十年戦争
現代の宗教戦争
イスラエルと周辺アラブ諸国とで戦われた中東戦争および以降のパレスチナ武装勢力との紛争は、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の聖地であるエルサレム・ヘブロンなどの帰属問題が絡んでおり、宗教戦争の色彩も強い。元々、イスラエル建国以前にパレスチナに土着していたユダヤ人は民族的にはパレスチナ人とほぼ同じであり、信仰する宗教の違いで区別されていた経緯もある。
2001年のアメリカ同時多発テロ事件以降、アメリカは同盟国に呼びかけて対テロ戦争を継続しているが、最近では中東地域の民主化というスローガンも掲げている。2004年のイラク戦争は、その典型である。中東には同じイスラム教を信仰している観点から、義勇軍として多くのイスラム教徒がイラクの支援に向かい、また、反米運動が各地で展開されるようになった。現代ではこのようなイスラム教徒と非イスラム教徒の対立の構図が少なからずとも見られるようになり、「文明の衝突」とも呼ばれている。