国立劇場
日本の国立劇場(こくりつげきじょう)(National Theatre of Japan)は東京都千代田区隼町にある劇場。独立行政法人日本芸術文化振興会が運営する。日本の伝統芸能を上演するほか、伝承者の養成や調査研究も行っている。。
歌舞伎・日本舞踊・演劇が演じられる大劇場、文楽・邦楽・日本舞踊(小規模公演)・雅楽・声明・民俗芸能が演じられる小劇場、落語・漫才などが演じられる演芸場の3つで構成されている。また、伝統芸能の公演の他これに携わる人材育成も行っている(歌舞伎俳優や囃子方など。文楽関係は国立文楽劇場で行う)。2003年、国立劇場裏に伝統芸能情報館が開館した。
また、毎年4月に行われる日本国際賞の授賞式には日本の天皇・皇后や首相、衆参両議院議長らが出席している。
2012年3月11日には政府主催による東日本大震災一周年追悼式もここで行われた。こちらも日本の天皇・皇后や首相、衆参両議院議長らが出席している。
設置までの経緯
明治時代の演劇改良運動の中で国立劇場の設置が構想されたほか、何度か設置運動が行われてきたが実現には至らなかった。
第二次世界大戦後、文化財保護委員会(文部省の外局)に芸術施設調査研究協議会が設置され、同協議会の答申(1956年)に基づき、国立劇場の計画が具体化した。
設計案についてはコンペが行われ、奈良の正倉院を思わせる校倉造風の外観とした竹中工務店の岩本博行案が当選した(1963年)。建物は1966年10月に竣工した。
1966年7月の国立劇場法により、特殊法人国立劇場が設立され、同年11月1日に国立劇場本館(歌舞伎を中心とする大劇場・文楽を中心にする小劇場)が開場した。1979年には隣接地に落語・講談を中心とする国立演芸場が開場した。(その後、千駄ヶ谷に国立能楽堂、大阪に国立文楽劇場、沖縄に国立劇場おきなわが開場)
1990年、特殊法人国立劇場は日本芸術文化振興会に改称、2003年に独立行政法人化した。
録音複製問題
国立劇場の内部規約として、国立劇場での録音テープを複製する場合、たとえ委嘱新作の作曲家本人であろうとも、1秒につき220円(30分とすると396000円)を音源の複製料として支払う規定がある。この金額には著作権および隣接権に伴う料金は含まれていない。また演奏に関わった人物全員の捺印が必要であり、CDなど販売に用いる際は印税5%を収める必要がある。この規約は国立劇場が独立行政法人日本芸術文化振興会となった際に改定された。
作曲家の吉松隆は、国の伝統芸能を守るべき立場の国立劇場がその伝統芸能を発展させるために委嘱した作曲家本人に対して当然還元されるべき録音の権利を独占し事実上非公開にさせるものだとしてウェブサイト上で問題を提起し経緯を公開した。作曲家のファンを中心に反響が見られた。
交通
※帰りには、「劇場バス」が運行される。詳細はこちらを参照。