天皇海山群
天皇海山群(てんのうかいざんぐん、英: Emperor Seamount Chain[1])とは、北太平洋の西側にある海山群(海底山脈)。中央海嶺と区別して非地震性海嶺 (aseismic ridge) の一種としても位置づけられる。天皇海山列、北西太平洋海山列 (Northwest Pacific Seamount Chain)[2]という別名でも知られる。
名称
[編集]1954年にアメリカ合衆国の海洋学者ロバート・シンクレア・ディーツにより、海山の一つ一つに日本の天皇(主に古代)の名前が付けられ、海山群を総称して天皇海山群と付けられた[2]。なお、天皇の即位順と海山の並び順は無関係である。また、すべての海山に歴代天皇の名前がついているわけではない[2]。
概要
[編集]北端はカムチャツカ半島の根元に至り、南端はハワイ海山群(主要なものは水面上に出てハワイ諸島を形成する)に繋がっている。海山は火山岩で構成されており、北に行くほど形成年代が古くなっている[2]。
ホットスポット上に生まれた海底火山により、現在のハワイの位置に生まれた島々は、太平洋プレートの移動に伴い海底へ沈んで海山群となっている。かつてはプレートが北に向かって移動していたため、南北に海山群を形成していったが、やがて4000万年ほど前から、移動する向きが西に変わったので、東西に海山群が生まれていくことになった。この4000万年以前に生まれ北北西‐南南東に連なる海山群を天皇海山群、4000万年前以降に生まれ西北西‐東南東に続く海山群をハワイ海嶺(Hawaiian ridge)と呼び、この二つを合わせてハワイ‐天皇海山列と呼ばれている。
並行してツアモツ諸島の海山群、オーストラル諸島の海山群があるが、これもハワイ‐天皇海山列と同じように「く」の字形になっている。この形はドッグ=レッグ・ベンド(Dog-leg bend、犬の脚の曲り目)と表現されることがある[3]。
なお、ホットスポットは移動するものであるとの研究が出てきており(プルームテクトニクス)、従来考えられていた海洋底拡大説、プレートの移動向きの変更説は、見直しが進められている[2]。
主な海山名
[編集]海山名と形成時期
- クレ環礁(約3300万年前 ?) - 参考(ハワイ諸島の西端)
- ハンコック海山(約3300万年前 ?)
- コラハン海山(約3900万年前)
- アボット海山(約4200万年前)
- 桓武海山(約4300万年前)
- 大覚寺海山(約4200万年前)
- 雄略海山(約4300万年前)
- 欽明海山(約4400万年前)
- 光孝海山(約4800万年前)
- 応神海山(約5500万年前)
- 神功海山(約5500万年前)
- 仁徳海山(約5600万年前)
- 用明海山(約5800万年前)
- 推古海山(約6500万年前)
- デトロイト海山(約8100万年前)
- 明治海山(約8500万年前)
脚注
[編集]- ^ GEBCO/NOAA gazetteer(地名辞典) > Emperor Seamount Chain
- ^ a b c d e 杉山明、「天皇海山列 ―発見・命名のいきさつと生成の謎―(紹介)」 『地球科学』 2005年 59巻 1号 p.72-79, doi:10.15080/agcjchikyukagaku.59.1_72, 地学団体研究会
- ^ Sara E. Pratt「The question of mantle plumes」。2015年。