力率

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力率(りきりつ、Power factor)は、交流電力の効率に関して定義された値であり、皮相電力に対する有効電力の割合である。料金計算などの電力の管理では、パーセントで表される。

概要

0-1の値となり、抵抗負荷では全て有効電力のため1(100%)、電力を消費しない誘導負荷および容量負荷では全て無効電力のため0となる。

正弦波交流において、RLCからなる線形負荷では、インピーダンスに応じて電圧電流がずれ、その位相差の余弦となる。

正弦波電圧源に対し、電流が正弦波でなくなる非線形負荷では、1未満となる。

電力との関係

計算の簡易化のため、総合インピーダンスをZ、電気抵抗成分をR、リアクタンス成分をX、総合アドミタンスをY、電気伝導成分をG、サセプタンス成分をB、加える電圧実効値をVe、流れる電流の実効値をIe、電流と電圧の位相差をθとする。また、皮相電力をS、有効電力をP、無効電力をQとする。

有効電力の皮相電力に対する割合で表すと

また、位相角を利用して表すと

このときのcosθである。

主な力率の例
回路 力率
RL直列回路
RC直列回路
RLC直列回路

力率の管理

インピーダンスのリアクタンス成分によって、交流電圧と交流電流の位相に差が生じ、負荷回路で消費される電力よりも多くの電力の配電が必要となる。そのため、電気工作物の必要容量の増大や損失の増加や電圧の低下・上昇による障害などが起こる。それを軽減するためコンデンサリアクトルなどを回路に接続し力率の管理をおこなう。

エネルギーとして電力を必要とする装置は、容量性負荷のものより誘導性負荷のもの(インダクタンス成分)が多く、誘導性負荷の力率改善のためのにコンデンサを用いることが多い。この用途で用いるコンデンサのことを進相コンデンサと言う。誘導性負荷では電圧に対して電流の位相が遅れるため、この位相を合わせる方向に調整することで力率が向上する。具体的な誘導性負荷の装置としては、モーターが代表的なものであり、照明用の蛍光灯(の安定器)も誘導性を示す。交流電源を使用する家庭電化製品の大半は変圧器(あるいはスイッチング電源)やモーターを内蔵しているため、純粋な抵抗負荷である白熱電球電気ストーブトースター等の例外を除いて、ほとんどが誘導性負荷である。

高圧受電の場合、低圧回路に力率改善回路を分散設置すると高価になるが、高圧受電設備の容量が低減でき高調波障害の局在化につながる。また、高圧回路に接続すると受電設備の容量は大きくなるが安価である。

電力会社では、力率改善を行った一定以上の受電設備容量の需要家の電気料金を割り引いているので、電気料金の低減にもつながる。

関連項目

外部リンク