ナシ亜科
ナシ連 | |||||||||||||||||||||||||||
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セイヨウリンゴ(ふじ)
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分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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シノニム | |||||||||||||||||||||||||||
Maleae | |||||||||||||||||||||||||||
亜連 | |||||||||||||||||||||||||||
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ナシ亜科(ナシあか、Pyroideae) あるいは リンゴ亜科 (Maloideae)は、かつて提唱されていた、バラ科の亜科の1つである。Maloideae をナシ亜科と訳すこともある。リンゴ、ナシ、ビワ、ナナカマドなどを含んでいた。現在の分類では、サクラ亜科(モモ亜科)のナシ連 (Pyreae) またはリンゴ連 (Maleae) にほぼ等しい。
分類
[編集]現在の分類
[編集]ナシ亜科(リンゴ亜科)の正確な範囲は学説により若干揺らぎがあったが、おおよそ、シモツケ亜科に内包されており、シモツケ亜科が側系統になっていた。そのため、同様にシモツケ亜科に内包されていたサクラ亜科なども加え、1亜科に統合された。その新しい亜科の名は当初シモツケ亜科とされた[1]が、Spiraeoideae Arn. (1832) より Amygdalaceae Marquis (1820) が先行していたことから、サクラ亜科(モモ亜科)Amygdaloideae が使われるようになった[2]。
従来のナシ亜科(リンゴ亜科)は、おおよそナシ連(リンゴ連)となった。Potter et al. (2007) によると、ナシ連は基底的な連未定の3属と、ナシ亜連 Pyrinae に分かれる。それらの系統関係は次のとおり[3][* 1]。ただし、交雑が起こっているなどの理由で、ナシ亜連内の大半(図の「BC」以下)の系統は不確実である。
Pyrodae |
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過去の分類
[編集]Schulze-Menz (1964) のリンゴ亜科は、Potter et al. (2007) のナシ亜連にあたる。彼らはリンゴ亜科を2連
- リンゴ連 (Maleae)
- サンザシ連 (Crataegeae)
に分けた。この2連は比較的最近まで認める分類があった (Kalkman 2004) が、Takhtajan (1997) による初期の分子系統分類では認められず、実際、系統を反映してはいなかった[1]。また扱いが一定しなかった属として、ディコトマンテス属 Dichotomanthes については、リンゴ連に含める説 (Kalkman 2004) もサンザシ連に含める説 (Hutchinson 1964) もあり、さらに、ナシ亜科から外し単型亜科のディコトマンテス亜科 Dichotomanthoideae に分ける説 (Takhtajan 1997) まであったが、この属は実際には(上掲系統樹のように)ナシ亜連内部に位置している[1]。
基底的な3属 Kageneckia・Lindleya・Vauquelinia については、Schulze-Menz (1964) はシモツケ亜科に含めていた。また多くの分類で、これらもしくはその一部が、ヤナギザクラ属 Exochorda などと同じ連に分類され (Schulze-Menz 1964; Hutchinson 1964; Kalkman 2004)、リンゴ亜科(Schulze-Menz の意味で)と近縁とは考えられていなかった[1]。それに対しTakhtajan (1997) は、これら3属をナシ亜科に含め、ナシ亜科を3連
- リンゴ連 (Maleae) - Schulze-Menz (1964) のリンゴ亜科、ただし Dichotomanthes を除く
- Kageneckieae - Kageneckia
- Lindleyieae - Vauquelinia と Lindleya
に分けた[1]。ただし実際には Kageneckia と Lindleya が近縁なようである[1]。
特徴
[編集]近縁なギレニア属と比べ、3つの特徴がある。
- 染色体数が異なる。ギレニア属が9本(祖先形質)なのに対し、おそらくは8本の種との交雑により、17本に増えた。ただし Vauquelinia は15本に減っている[3]。
- ギレニア属が草本に変じたのに対し、すべて木本である[3]。
- 原基の形が異なり、ギレニア属は flat-topped、ナシ連は ring-shaped である。
ナシ亜連では、果実(リンゴやナシの芯の部分)を花托(萼の根元)が包んで肥厚し偽果(ナシ状果:ふつう食べる部分)となる。ただしナシ亜連以外は祖先的な形質の蒴果を保っている[3]。
心皮は2ないし5個あり、合着して1本の雌蕊になっている。子房下位。
属
[編集]Potter et al. (2007) によるナシ連の属を挙げる[1]。※は、ナシ亜科(リンゴ亜科)以外の亜科とすることがあった属[1]。
基底的な3属
[編集]便宜的に1節に記すが、必ずしも互いに類縁関係にはない。
- Kageneckia ※シモツケ亜科とする説もあった
- Vauquelinia ※シモツケ亜科とする説もあった
- Lindleya ※シモツケ亜科とする説もあった
ナシ亜連
[編集]- ザイフリボク属 Amelanchier - ザイフリボク、ジューンベリー
- Malacomeles
- Peraphyllum
- アロニア属 Aronia
- カナメモチ属 Photinia - カナメモチ
- カマツカ属 Pourthiaea - カマツカ
- Docyniopsis
- ビワ属 Eriobotrya - ビワ
- Eriolobus
- Heteromeles
- リンゴ属 Malus - リンゴ
- ナシ属 Pyrus - ナシ
- シャリンバイ属 Rhaphiolepis - シャリンバイ
- ナナカマド属 Sorbus - ナナカマド
- アズキナシ属 Aria - アズキナシ、ウラジロノキ
- ボケ属 Chaenomeles - ボケ、カリン
- マルメロ属 Cydonia - マルメロ
- Docynia
- カリン属 Pseudocydonia
- Chamaemeles
- コトネアスター属(シャリントウ属) Cotoneaster
- サンザシ属 Crataegus - サンザシ
- Hesperomeles
- Mespilus
- テンノウメ属 Osteomeles
- トキワサンザシ属 Pyracantha - トキワサンザシ、タチバナモドキ
- ディコトマンテス属 Dichotomanthes ※ディコトマンテス亜科 Dichotomanthoideae とする説もあった
出典
[編集]- ^ a b c d e f g h Potter, D.; Eriksson, T.; Evans, R.C.; Oh, S.H.; Smedmark, J.E.E.; Morgan, D.R.; Kerr, M.; Robertson, K.R.; Arsenault, M.P.; Dickinson, T.A.; Campbell, C.S. (2007), “Phylogeny and classification of Rosaceae”, Plant Systematics and Evolution 266 (1–2): 5–43, doi:10.1007/s00606-007-0539-9
- ^ McNeill, J.; Barrie, F.R.; Buck, W.R.; Demoulin, V.; Greuter, W.; Hawksworth, D.L.; Herendeen, P.S.; Knapp, S.; Marhold, K.; Prado, J.; Reine, W.F.P.h.V.; Smith, G.F.; Wiersema, J.H.; Turland, N.J. (2012). International Code of Nomenclature for algae, fungi, and plants (Melbourne Code) adopted by the Eighteenth International Botanical Congress Melbourne, Australia, July 2011. 154. A.R.G. Gantner Verlag KG. ISBN 978-3-87429-425-6 Article 19.5, ex. 5
- ^ a b c d Lo, Eugenia Y.Y.; Donoghue, Michael J. (2012), “Expanded phylogenetic and dating analyses of the apples and their relatives (Pyreae, Rosaceae)”, Molecular Phylogenetics and Evolution 63: 230–243