ユーティリティープレイヤー

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ユーティリティープレイヤー(Utility Player、UT)は、スポーツ、特に球技において、1人でいくつものポジションをこなす選手を指す言葉である。

概要

レギュラー選手の故障や、長期連戦途中の休養による穴を埋める役目を果たすことができるため重宝される。

野球においてのユーティリティープレイヤー

野球においては、一塁手二塁手三塁手遊撃手の内野4ポジションのうち複数、あるいはそれに加えて外野手をこなせる選手を指すことが多い。内外野と捕手を兼務する選手も存在するが、捕手は他のポジションに比べて専門的な動きを要求されることから、数は少ない(大抵は、元々のポジションが捕手であることが多く、兼務するうちにどちらか片方のみに固定される)。投手との兼務となるとさらに稀で、プロレベルではほとんど存在しない。

最も一般的なのは、打力に優れる選手の出場機会を増やすために多彩なポジションを守らせるパターンである。外野では左翼手、内野では一塁手、三塁手などは、他のポジションに比べると選手に守備技能がそれほど要求されないため、打撃型の選手が守ることが多い。さらに右翼手や二塁手を兼務できる選手も存在するが、難易度が高い遊撃手中堅手も一緒に守る選手は非常に稀である。基本的にプロにおいては、遊撃手や中堅手は内外野のほぼ全てポジションを守れたり、肩がとても強かったりなど特筆的な技能を備えた選手が、専任的に守るものであるとされる(遊撃手が、守れる技量があるからといって一塁手を守ることはほとんどない)。よって実質的には、守っているポジションが多い=ユーティリティープレイヤーであるからといって、その選手の守備技量が他と比べて高いとは言い切れないものがある。

日本プロ野球において、投手を含めた全9ポジションを守る1試合全ポジション守備高橋博士が記録し、全ポジション守備は加えて五十嵐章人がいるが、彼らが投手を務めたのはいずれも全ポジション守備という記録を達成するための、ファンサービス的な1試合のみである。メジャーリーグベースボールではバート・キャンパネリスシーザー・トーバースコット・シェルドンシェーン・ホルターの4人が1試合全ポジション守備を記録し、全ポジション守備クッキー・ロハスホセ・オケンドードン・ケリージェイク・エルモアの4人が加わる。

サッカーにおいてのユーティリティープレイヤー

サッカーにおいても意味合いは変わらず、ディフェンダーミッドフィールダーフォワードといったフィールドプレーヤーの複数ポジションをこなせる選手を指す。「DFとFW」といった極端な兼務でなくとも、DFの中でサイドバックとセンターバックを両方こなせたり、MFの中で攻撃的なポジション、守備的なポジション、サイドのポジションを兼務できたりする選手もユーティーリティーとみなされる。元サッカー日本代表監督のイビチャ・オシムは、そうした選手を「ポリバレント(「多価」を意味する化学用語)」と呼んで重用した。

ゴールキーパーとフィールドプレーヤーを兼務する選手は皆無と言っていいが、GKでありながら他のポジションで結果を残した選手も稀に存在する。

またサッカーの例えで、「フリットが11人いるチームとマラドーナが11人いるチームではどちらが強いか?」と引き合いに出される元オランダ代表ルート・フリットは、DF・MF・FWと全てこなす有名なユーティリティープレイヤーである。

バスケットボールにおいてのユーティリティープレイヤー

バスケットボールにおいては試合中に複数のポジションを行き来する選手を示す用語として、トゥイナー(Tweener;betweenからの派生語)、あるいは、ユーティリティープレーヤーがあり、コンボガード[1]スウィングマン[2]ポイントフォワード[3]フォワードセンター[4]などカバーするポジションによって呼び名がある。NBA選手のボリス・ディアウはポイントガードからセンターまでの全てのポジションをこなせる稀有なプレーヤーとして知られる。 NBAのレブロン・ジェームズはPGからPFまで、C以外の全てのポジションをこなすことが出来る。NBAのアンソニー・デイビスケビン・デュラントは高校から大学までに急激に身長が伸び、一流ガードのスキルをもったフォワードに変貌した。

脚注

  1. ^ A Combo Guard Is...”. scout.com (2005年9月15日). 2015年10月30日閲覧。
  2. ^ Basketball U on Swingmen” (2003年10月8日). 2015年10月30日閲覧。
  3. ^ Analysts say point forwards are few and far between”. webcitation.org (2012年7月20日). 2015年10月30日閲覧。
  4. ^ Era of the postmodern big man” (2012年3月22日). 2015年10月30日閲覧。

関連項目