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ピカイア

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ピカイア
生息年代: 505.00 Ma
保全状況評価
絶滅(化石
地質時代
約5億0,500万年前
古生代カンブリア紀中期〈ミドルカンブリアン[en]〉)
分類
: 動物界 Animalia [1]
亜界 : 真正後生動物亜界 Eumetazoa
階級なし : (未整理[2]左右相称動物 Bilateria
(未整理)新口動物 Deuterostomia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 頭索動物亜門 Cephalochordata
: 不明
: ピカイア科 Pikaiidae
: ピカイア属 Pikaia
学名
genus Pikaia 
Walcott1911
和名
ピカイア
英名
Pikaia
下位分類(
  • ピカイア・グラキレンス
    P. gracilens Walcott, 1911

ピカイア学名genus Pikaia)は、約5億0,500万年前(古生代カンブリア紀中期〈ミドルカンブリアン[en]〉)のに棲息していた原始的脊索動物バージェス動物群に属する。ピカイアの存在は、脊索動物が他の多くの動物と同様、カンブリア爆発の時期に登場したことを示唆している。

1911年多毛類として記載(学術的発表)された化石種であるが、1979年に始原的脊索動物に分類し直されて以降、より古い時代の動物群(澄江動物群)が知られていなかった1980年代後半までの10年弱の間は、脊椎動物の直接的祖先もしくはその近縁と考えられていた。

体長は4cm弱程度。下位分類ではグラキレンスP. gracilens)のみが知られる。

発見と命名

最初の化石アメリカ人古生物学者チャールズ・ウォルコットによってカナダブリティッシュコロンビア州バージェス頁岩累層に属するピカ山(Mount Pika)のから発見され、時を置かず、1911年に多毛類環形動物門多毛綱)の化石種として発表(記載)された。

属名 Pikaia は上記の地名に由来。 模式種の種小名 gracilensラテン語で「ほっそりした」の意である。

系統分類

見直されてきた分類(原始的多毛類→ 始原的脊索動物→ 原始的頭索動物)
バージェス頁岩累層から発掘されたピカイア・グラキレンスの化石標本(体長約4cm弱。米国はニューヨーク州国立自然史博物館所蔵)

発見者チャールズ・ウォルコットは、本種を原始的な多毛類に分類したが、バージェス動物群の研究が進むことによってこの認識は見直され、1979年にはイギリス人古生物学者サイモン・コンウェイ・モーリスen)により、「始原的脊索動物」との分類に改められた。 アメリカ人古生物学者スティーヴン・ジェイ・グールドの著書『ワンダフル・ライフ[3]などはこの学説に準じて、「脊椎動物の祖先」とか、「人類の祖先」などといった解説がなされていた。

ピカイアは脊索動物であるが、脊椎動物ではなく、ナメクジウオなどが属する頭索動物亜門(en)に属している。この類は古くから脊椎動物の先祖に当たる形と見られることが多く、サイモン・コンウェイ・モーリスによる1979年学説の発表当時では、ピカイアがその中で最も古い時代のものとなっていたため、そのように見なされていたわけである。しかしその後、バージェス動物群より更に約2,000万年古いカンブリア紀前期後半(アトダバニアン;Atdabanian)に属する澄江動物群から脊椎動物亜門に属するハイコウイクティスen)やミロクンミンギアが発見されたため、ピカイアは脊椎動物の直接の祖先ではなく、単にカンブリア紀に棲息していた脊索動物の1属と見なされるようになった。

生物的特徴

ピカイア・グラキレンスの体構造を表した図

現生する脊索動物門- 頭索動物亜門のナメクジウオによく似ているが、呼吸器摂食器官はナメクジウオに比べて原始的である。体長1.5in(4cm弱、3.81cm)程度の体の先端には一対の触角があり、背中には脊索がある。尾は状になっている。を持たず、筋節を持ち、体をくねらせて泳いでいたと思われる。ただし、この復元像は、前後逆である可能性が指摘されている(右上に示したような復元図では体の細い方が前になっているが、ナメクジウオのように太い方が前で、後は先細りになっている可能性がある)。

脚注

  1. ^ 動物界より上位の階級(ドメイン真核生物、等)は省略する。
  2. ^ 分類学上、現在未整理の階級。以下同様。
  3. ^ このほか、日本では『ワンダフル・ライフ』を元に作られたテレビ番組『NHKスペシャル生命40億年はるかな旅』が著名。

関連項目