トルコの競馬
トルコの競馬(とるこのけいば)では、トルコにおける競馬について記述する。
歴史
- 1856年、イズミル(当時の国際名称はスミルナ)において、イギリスのスミルナ総領事と地元の有力者がスミルナレースクラブを設立、初めて近代競馬が行われる。
- 1913年、イスタンブールで血統改良協会が設立され、ヴェリエフェンディ競馬場が開設される。
- 1926年、家畜改良法に基づき競馬と馬産の統括団体として高等競走・改良委員会が設立される。
- 1927年、全国で高等競走・改良委員会による競馬施行が開始。第1回ガジ賞(ガジダービー)が行われる。
- 1950年、廃止が決定された高等競走・改良委員会に代わる民間の競馬競技団体としてトルコジョッキークラブが創設される。
- 1954年、トルコジョッキークラブによる競馬施行が開始[1]。
特徴
法律上、競馬に関する権限は国(食料農業畜産省)にあり、競馬施行団体のトルコジョッキークラブ(トルコ語: Türkiye Jokey Kulübü)が期限を切って施行権を国から与えられている[2]。トルコジョッキークラブは民間の非営利団体であるが[3]、食料農業畜産省の委員会(トルコ語: Yüksek Komiserler Kurulu)に監督されており、競馬と馬産は国の管理下にある。
競走
サラブレッドとアラブ(純血アラブ)の平地競走が行われる。馬場は芝、ダートの両方があるが、国内 G1 や国際競走は芝が主体である。2013年現在は全国の競馬場でほぼ毎日(1日ごとに1~2場)競馬が開催されている[4]。
競走の名称は、トルコ語では固有名称に「競走」を意味する名詞"koşu"を付けた形(固有名称+koşu+所有接辞su)で表される。競走名が英語に訳される場合、直訳になる形(固有名称+race)はあまり用いられず、海外の類似したレース(ダービー、オークス、2000ギニーなど)の名称が用いられたり、ステークス、カップ、トロフィーなどの意訳が行われる[5]。
例:トルコ語: Gazi Koşusu(ガーズィ・コシュスゥ) / 英語: Gazi Derby(ガジ・ダービー) / 日本語: ガジ賞、ガジ杯
馬券
馬券(勝馬投票券)は、トルコでは宝くじ、スポーツくじと並ぶ合法的なギャンブルで、パリミュチュエル方式で行われる。
馬券は各競馬場の場間・場外発売が行われているほか、市中に小規模な場外馬券売場(トルコジョッキークラブの代理店)が多数存在し[6]、トルコジョッキークラブのHPを通じたインターネット投票も可能である。
控除率は約50%と他の国・地域より高く設定されているが[7]、馬券の券種が非常に豊富で、高額配当もある。
メディア
主要な日刊紙には競馬欄があり、当日の出馬表などが掲載されているが扱いは大きくない。大きな記事が組まれるのはガジ賞(ガジダービー)のような大レースが開かれるときのみ。
中継(トルコ語: Canlı Yayın)は衛星放送の『TJK TV』[8]などで行われている。衛星放送番組はインターネットでも視聴でき、ドバイワールドカップのような海外の大レースも観戦できる。
馬産
年間の生産頭数はサラブレッド約1500頭、アラブ約1500頭の合計約3000頭である[9]。
サラブレッドについては繁殖用の種牡馬を積極的に海外から導入しており、ヴィクトリーギャロップ、マニラといった名馬のほか、日本生産馬のディヴァインライトも2007年12月、輸入されている。2020年12月22日、G1・3勝馬ヴィクトワールピサ、クルーガーの2頭の輸入発表[10]。2021年3月30日、G1馬メールドグラースのトルコでの種牡馬入り発表[11]。2022年4月29日、前年の菊花賞2着オーソクレースのトルコでの種牡馬入り発表[12]。
主な競走
トルコの主要な競走は『国際セリ名簿基準書』のパート2に記載されている。従って格付けは国内グレードであるが、一部の国際競走はパート1に記載されており、国際グレードのG2である。
サラブレッド競走
- トプカプトロフィー(国際G2)
- ボスポラスカップ(国際G2)
- ディシ・タイ・デネメ(トルコ1000ギニー)
- エルケック・タイ・デネメ(トルコ2000ギニー)
- ガジ賞(ガジ・ダービー、トルコダービー)
- クスラック賞(トルコオークス)
- トルコ首相賞(トルコ首相杯)2019年から、ユーラシア賞
- トルコジョッキークラブ賞(トルコジョッキークラブカップ)
- チャルディラン賞(チャルディランステークス)
- アンカラ賞(アンカラステークス、トルコセントレジャー)
- トルコ大統領賞 (トルコ大統領杯)
- クイーンエリザベス2世カップ
- トラキアトロフィー
- アナトリアトロフィー
- イスタンブールトロフィー
アラブ競走
- トルコ大国民議会賞(トルコ大国民議会杯)
- トルコ独立戦争賞(イスティクラルサヴァシュステークス)
- 食料農業畜産省賞(食料農業畜産省杯)
- ハタイ賞(ハタイステークス)
- トルコ共和国賞(トルコ共和国杯)
- マラズギルトトロフィー(アラブG3)
- IFAHRトロフィー(アラブ非重賞)
- アリ・ルザ・ベイステークス(アラブG2)
現在のトルコの主なサラブレッド競走のレース日程
- 3月- (第3週)エーゲダービー
- 4月- (第1週)アクテニズダービー
- 5月- (第3週)エルケック・タイ・デネメ、ディシ・タイ・デネメ
- 6月- (第2週)クスラック賞(第4週)金角湾賞(第5週)ガジ賞、 アナファルタラー賞
- 7月- (第2週)ヤブ・スルタン・セーレン賞(第3週)(第4週)ユーラシア賞、
- 8月- (第2週)ファティ・スルタン・メハメット賞、カライェル賞(第4週)黒海賞
- 9月- (第2週)国際競走フェスティバル(トプカプトロフィー、ボスポラストロフィー、トラキアトロフィー、アナトリアトロフィー、イスタンブールトロフィー)、バヤズィト1世賞(第4週)アンカラ賞、スプリントトロフィー、クイーンエリザベス2世カップ(第5週)トルコジョッキークラブ賞
- 10月- (第2週)バィヤリートゥルク賞、ハーレム賞、チャルディラン賞 (第3週)アンカラ城賞(第4週)トルコ大統領賞
暦の関係上、開催が前の月に前倒しする時や、翌月にずれ込むことがあり、第○週と書いてあるものがずれることがよくある。よってあくまでも目安として判断していただきたい。
主な競馬場
- ヴェリエフェンディ競馬場(イスタンブール)
- アンカラ75年競馬場(アンカラ)
- オスマンガズィ競馬場(ブルサ)
- エラズー競馬場(エラズー)
- シリニア競馬場(イズミル)
- シャンルウルファ競馬場(シャンルウルファ)
- イェシロバ競馬場(アダナ)
- ディヤルバクル競馬場(ディヤルバクル)
- カルテペ競馬場(コジャエリ)
- アンタルヤ競馬場(2022年1月19日オープン)
脚注
- ^ “Tarihçe” (トルコ語). TJK. 2013年6月30日閲覧。
- ^ “About The Board of High Stewards” (英語). The Board of High Stewards. 2013年6月30日閲覧。
- ^ “History” (英語). TJK. 2013年6月30日閲覧。
- ^ “Takvim” (トルコ語). TJK. 2013年6月30日閲覧。
- ^ “Major Races” (英語). TJK. 2013年6月30日閲覧。
- ^ “OTB Agents” (英語). TJK. 2013年6月30日閲覧。
- ^ “Turkey Year 2011 Betting Statistics” (英語). International Federation of Horseracing Authorities. 2013年6月30日閲覧。
- ^ “Canlı Yayın” (トルコ語). TJK. 2013年6月30日閲覧。
- ^ “Turkey Year 2011 Breeding Statistics” (英語). International Federation of Horseracing Authorities. 2013年6月30日閲覧。
- ^ “ヴィクトワールピサ、クルーガー トルコで種牡馬に「クラブからラブコール」 | 競馬ニュース”. netkeiba.com. 2020年12月24日閲覧。
- ^ “乗馬予定のメールドグラースがトルコで種牡馬入り|極ウマ・プレミアム”. p.nikkansports.com. 2021年3月30日閲覧。
- ^ “昨年の菊花賞2着オーソクレース トルコで種牡馬入り「日本の友人に感謝します」 - スポニチ Sponichi Annex ギャンブル”. スポニチ Sponichi Annex. 2022年4月30日閲覧。
外部リンク
- Türkiye Jokey Kulübü(施行団体)
- Yüksek Komiserler Kurulu(監督機関)