コンテンツにスキップ

スピンオフ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。116.254.57.116 (会話) による 2012年5月26日 (土) 07:39個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (→‎スピンアウト(作品制作))であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

スピンオフ: spin-off, spinoff)の語義としては、派生的に生じることや派生により生じた物、副産物などをさす。転じて各分野における特定の派生現象や派生物をさす。異なる概念が同じ用語を使用しているため詳細はそれぞれの節にしるす。

また、分野によっては同義語や類義語として使用される言葉にスピンアウト: spin-out, spinout)がある。これは本来は自動車スピンしてコースから飛び出すことをさし、「飛び出す」の意味から転じて、特定の派生現象をさす場合がある。スピンオフ (ビジネス)スピンオフ (作品制作)の各項を参照。

スピンオフ (科学技術)

科学技術分野におけるスピンオフとは特定の分野で開発された技術を民間の需要に転用すること。または転用された技術を利用して生産された民需製品(スピンオフ製品とも呼ばれる)のこと。特に、国家的研究開発機関の開発技術(軍事技術開発、宇宙開発自然科学研究など)の民間への転用をさす場合が多い。

対義語としてはスピンオン: spin-on, spinon)があるが、これは民間の技術(民生技術)を軍事技術に転用する場合をさす。

関連項目

外部リンク

スピンオフ(ビジネス)

経営経済ビジネス分野におけるスピンオフおよびスピンアウトとは、既存の企業組織(以下、便宜上「親会社」と呼ぶ)の一部を分離し、独立した別の企業や組織とすることをさす。親会社との資本関係があるなど関係が深い別会社とすることをスピンオフ、親会社との関係が薄いか全くない別会社を興すことをスピンアウトとして区別する。

関連項目

スピンオフ(作品制作)

作品制作の分野におけるスピンオフとは、既存の作品(本編)から派生した作品全般を指す。または、そうして制作された派生作品(スピンオフ作品とも呼ばれる)のこと。日本ではテレビドラマや映画漫画などの派生作品によく使われる。

元々はラジオドラマテレビドラマなどから別番組が派生することをさす英語。外伝作品、または続編、番外編などとも訳されることがあるが、単純に外伝とスピンオフを同義にとらえるのは誤りである。

本編と同じ媒体で制作されることが多いが、異なる媒体で制作される場合もある(テレビドラマから映画へのスピンオフなど)。この場合、物語の焦点が本編とは異なる点で、一般的な映画化やドラマ化、漫画化などとは区別される。

日本での広がり

日本においては外国(特にアメリカ)映画などを扱う業界では比較的以前から使われていた言葉だが、一般にはなじみの薄い言葉であった。テレビ業界では新作放映時に視聴者をつなぎとめるため、前作の出演者から1人次の作品に残すという慣習が存在したことがあり、これを出演者のスピンオフと呼んでいたことが桜井浩子毒蝮三太夫の対談などで語られている。具体的には、『ウルトラQ』から『ウルトラマン』への桜井、『ウルトラマン』から『ウルトラセブン』への毒蝮がそれに該当する。マスメディアによって「スピンオフ」という言葉が頻繁に使われ、一般に知られるようになったのは2000年代の半ば以降である。当時、企業の統廃合や分離が頻繁に行われ、まず、ビジネス用語としてのスピンオフが知られるようになっていた。

スター・システムとのちがい

あるキャラクターが別の作品で主人公になるのはスター・システムにもみられるが、スピンオフ作品はもとの作品と舞台背景が共通するのに対して、スター・システムはキャラクターを俳優に見立てて全く別の舞台背景の作品に登場させているという違いがある。

スピンアウト(作品制作)

ビジネス用語としてのスピンアウトが広義にスピンオフと同義であることから、作品制作においてもスピンオフの同義語としてスピンアウトが挙げられることがあるが、これは英語の用法として誤りである。

本編に準じる設定、本編の著作者や著作権者が制作したものや公式とされるもの(親会社との関係が深いもの)である「スピンオフ」に対して、本編にこだわらない設定、第三者が制作したものや非公式なもの(親会社との関係が薄いか全くないもの)である「スピンアウト」という使い分けである。Web上などで散見されるこれは、英語の用法としては本来誤りであるが、ビジネス用語の転用としては誤りとはいいがたい。

なお、英語で使用される用法として、他者が制作し成功した無関係の作品からの模倣に過ぎないパクリ剽窃に近い内容の映画作品を「リップオフ」と呼ぶことがある。最低映画を選出するゴールデンラズベリー賞にも「リメイク・リップオフ部門」が存在する。

関連項目

参考文献