クレウーサ
クレウーサ(古希: Κρέουσα, Kreoūsa, ラテン語: Creusa)は、「王女」を意味し、この名前を持つ人物がギリシア神話には4人いる。長母音を省略してクレウサとも表記される。
ガイアの娘
ガイアの娘にあたるナーイアスのクレウーサは、河神ペーネイオスとの間にラピテース族の王ヒュプセウスと娘スティルベー[1]、キューレーネーを産んだ。
ライオンが父親の羊を襲った時、キューレーネーはライオンと格闘になるが、たまたま通りかかったアポローンがキューレーネーに恋し、誘拐。キューレーネーを北アフリカに連れて行き、都市キュレネおよびキレナイカ地方の名前の由来となった。キューレーネーはアポローンとの間に、息子アリスタイオスをもうけた。
クレオーンの娘
コリントス王クレオーンの娘クレウーサは、メーデイアと離婚したイアーソーンと結婚することになる。しかし、メーデイアは呪いをこめた衣裳をクレウーサに贈ることによって復讐を果たす。この呪いにより、衣裳はクレウーサの肉体に貼りつき、脱ごうとするやいなや彼女を燃やした。アポロドーロスの『ビブリオテーケー』 (1.9.28) などではグラウケーという名で知られる。
プリアモスの娘
プリアモスの娘クレウーサ[2]は、アイネイアース(ラテン語:アエネアース)の妻で、アスカニオス(ラテン語:アスカニウス)の母。ウェルギリウスの『アエネーイス』では、ギリシア軍によってトロイアが略奪され、トロイアを脱出する際に死ぬ。
エレクテウスの娘
アテーナイ王エレクテウスとその妻プラークシテアーの娘のクレウーサ[3]。姉妹たちはアテナイを守るために死んだが、クレウーサは幼かったので助かった。ヘーシオドスの『Eoiae』によると、クレウーサには息子アカイオス[4]、娘ディオメーデーがいた。イオーンも息子とされ[5]、エウリーピデースの『イオーン』ではクラウーサは重要な登場人物で、アポローンとの間にイオーンを、夫クスートスとの間にアカイオスとドーロスをもうけた。アポローンをイオーンの父とする文献はこれのみで、劇のために創案されたものかも知れない。