カイロプラクター
カイロプラクター(英語: Chiropractor)とは、カイロプラクティックを業務として行なう施術者を指す。
概要
アメリカやヨーロッパでは、カイロプラクターの資格制度が法制化されており、国際カイロプラクティック教育評議会加盟の評価機関から認証を受けた4~5年制のカイロプラクティック専門の大学を卒業後、国や地域が指定する資格試験に合格することでカイロプラクターの資格を取得する。無資格のものがカイロプラクターを名乗って開業することは規制されている。日本ではこのような教育や資格を規制する法律が無いため、誰もがカイロプラクターを自称できる状況にある。
世界保健機関による見解
世界保健機関 (WHO) は、2005年に、国がカイロプラクターの試験や免許制度を設ける際のガイドラインについて定めた『カイロプラクティックの基礎教育と安全性に関するガイドライン』 (WHO guidelines on basic training and safety in chiropractic) [1]を作成し、公表しており、この基準に適合した資格制度を設けている国が多数ある。2006年に和訳の『カイロプラクティックの基礎教育と安全性に関するガイドライン』 [2]が発行された。
世界カイロプラクティック連合による見解
世界保健機関の NGO に加盟するカイロプラクティックの団体世界カイロプラクティック連合 (WFC) では、カイロプラクターという名称の使用基準として以下の宣言を公表している。
「 |
1. 「カイロプラクター」「ドクター・オブ・カイロプラクティック」あるいはそれに類する名称使用は、下記の者に限定する。
|
」 |
—WFC政策宣言 カイロプラクターのタイトル使用[3] |
ただし、上記の宣言に法的な拘束力はない。
WFC は、上記の宣言が WHO の『カイロプラクティックの基礎教育と安全性に関するガイドライン』で提示された数類型のカイロプラクティック教育のモデルに整合するものであると説明している。
日本におけるカイロプラクター
日本では、カイロプラクターの公的な資格が存在しないため、法的な意味でのカイロプラクターは存在しない。厚生労働省はカイロプラクティック療法は法的資格制度のない医業類似行為とされ、職業としてはその他の保健医療もしくはサービス業として分類されている[4] 。日本は誰でもカイロプラクターと名乗ることが可能で、開業者の9割以上は短期養成学校や週末セミナー等でしか学んでおらず[要出典]、カイロプラクティックとは言えない様な施術をする所[要出典]もあり、矯正などの施術を受ける側は注意が必要である。矯正を行わない店舗も存在するがその方が安全と言える。また、「あなたも先生になりませんか?」と誘う資格商法をしている所もある。 またこのように開業している者が広告やHPなどで治療などと謳っている場合があるが、法律がないためカイロプラクターの治療行為は合法であるとも違法であるともいえない。
国際基準を自称するカイロプラクター
以下は、民間資格の説明である。海外の正規開業資格を得た者(D.C.)ではない。 なお、Doctor of Chiropractic(D.C.)は、ただの学位であり、海外における正規の開業資格ではない。通常、アメリカにおいて開業するには、D.C.の学位に加えて、国家試験を含んだ開業を希望する州の州試験に合格する必要がある。
WFCの日本代表団体である日本カイロプラクターズ協会(JAC)は、上記のWFCの基準を実践し、カイロプラクターの法制化を目指しているJACは、WFCの基準を満たす者に対して「正規」カイロプラクターという呼称は使用していない。WFCの基準を満たすカイロプラクターは日本に約800名存在し、推定2万名前後ともいわれる全カイロプラクティック業者の5%程度と言われる[5]。
日本カイロプラクティック登録機構(JCR)では、WHOガイドラインに基づいたWFC基準の(2)を満たす教育を修了し登録している者について、登録者名簿を公開している[6]。日本政府が認定するカイロプラクティックの学位は存在しないので、日本において(2)の基準を満たす者は、各地域のカイロプラクティック教育評議会(CCE)認定の学位もしくは修了証を取得した者ということになる。この学位は国外では正式な学位[要出典]と認めている国もあるが、日本の学校教育法で認められた学位ではない。
登録カイロプラクター
登録カイロプラクターとは、法的資格制度のないカイロプラクティック業務に従事する人を対象とした、世界保健機関(WHO)ガイドラインに準拠した教育基準を満たしていることを証明する日本カイロプラクティック登録機構(JCR)による民間登録資格である。登録要件として、WHOガイドラインに準拠した教育プログラムを修了し、登録試験に合格する必要がある。登録試験は毎年、国際カイロプラクティック試験委員会(IBCE)の協力のもと実施している。登録カイロプラクターの名簿は厚生労働省へ定期的に提出され保管されている。
WFC基準のカイロプラクター養成教育機関
日本国内にはWFC基準を称するカイロプラクティック教育機関が、現在1校存在する[7]が、これらの機関は日本の学校教育法上の大学ではない故、同法上の学位や単位を取得することは出来ない。
- 1995年 - RMIT大学日本校カイロプラクティック学科が日本初のWFC基準教育校として東京都港区新橋で開校。
- 2005年 - RMIT大学日本校が、アジア初の学校としてCCE認定を受け、WFC承認校となったとされた。[8]
- 2007年 - マードック大学インターナショナルスタディセンタージャパンが東京都江戸川区東葛西に開校。東京都三鷹市に移転。webサイトは、ほとんど「現在、入学生募集を行っておりません。」となっている。2012年2月
- 2009年 - RMIT大学日本校が、東京カレッジ・オブ・カイロプラクティックと名称を変更し、DC教育プログラム開始。
- 2012年 -東京カレッジ・オブ・カイロプラクティックのDC教育プログラムが南洋州カイロプラクティック教育評議会からアクレディテーションを受ける。
WFCが定めるカイロプラクティック教育機関に関する基準は以下の5点の条件からなる[9]。
- 非営利性であること
- 第三者評価があること
- クリニック臨床施設を保有し、1000時間以上の臨床実習を行うこと。
- 基礎医学およびカイロ学両面で有資格者による講師であること
- CCEが認めるカイロプラクティック教育機関であること
脚注
- ^ WHO Guidelines on Basic Training and Safety in Chiropractic - 世界保健機関(WHO)
- ^ カイロプラクティックの基礎教育と安全性に関するWHOガイドライン - 世界保健機関(WHO)
- ^ WFC政策宣言 - 日本カイロプラクターズ協会
- ^ ハローワークインターネットサービス 職業分野別検索 - 厚生労働省職業安定局
- ^ 健康被害防止へ安全指針カイロ療法団体が作成 法制化が今後の課題 - 共同ニュース
- ^ カイロ施術者の名簿公開 - 産経新聞
- ^ List of Chiropractic Colleges October 28, 2009 - About Chiropractic - World Federation of Chiropractic 検索日2009年11月11日 (英語)
- ^ http://www.ccea.com.au/Accreditation/accreditationstatus.htm
- ^ カイロプラクティックの最高学府・大学レベルのカイロを学ぼう/《国際承認プログラム》
関連項目
外部リンク
- 世界カイロプラクティック連合(英語)(フランス語)(スペイン語)(国際的なカイロの職業団体)
- 日本のカイロプラクティックの歴史
- 業界の歴史
- 登録カイロプラクター検索 (日本カイロプラクティック登録機構)
- Japan Statistics (Chiropractic Diplomatic Corps)(英語)
- カイロプラクティック学位・修了証 (日本カイロプラクティック登録機構)
- List of Chiropractic Colleges October 28, 2009 (世界カイロプラクティック連合)(英語)
- 厚生労働省 カイロプラクティック
- 厚生労働省職業安定局 カイロプラクター
- 独立行政法人中小企業基盤整備機構 カイロプラクティックオフィス