エグモント (交響詩)
《エグモント》(Egmont, Symphonic Poem)は、ベルト・アッペルモントが作曲した吹奏楽曲。
ラモラール・ファン・エフモントの生涯を題材にした作品で、オランダで活動するファンファーレバンド、ラモラール・ファン・エフモント音楽協会(オランダ語: muziekvereniging Lamoraal van Egmont)の委嘱で作曲された。2004年にベリアト(Beriato)社からファンファーレバンド版、吹奏楽版ともに出版されている。
楽器編成
- 吹奏楽版
木管 | 金管 | 弦・打 | |||
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Fl. | 2, Picc. | Tp. | 3(Crnt.も可) | Cb. | ● |
Ob. | 2, C.A. | Hr. | 4 | Timp. | ● |
Fg. | 2 | Tbn. | 2, Bass | 他 | スネアドラム、バスドラム、クラッシュシンバル、サスペンデッドシンバル、ハイハット、トムトム、タンバリン、ウッドブロック、カスタネット、マラカス、ボンゴ、むち、グロッケンシュピール、ヴィブラフォン、チューブラーベル |
Cl. | 3, E♭, Alto, Bass | Eup. | ● | ||
Sax. | Alt. 2(Sop. 1 持替) Ten. 1 Bar. 1 | Tub. | ● | ||
その他 | ギター(任意) |
楽曲構成
全4部からなり、演奏時間は約18分。全曲は切れ目なく演奏される。
- 第1部 婚礼(The Wedding)
- エグモントとバイエルン公女ザビーナとの婚礼を描く部分。冒頭にユーフォニアムの独奏で現れる旋律はエグモントを表わすもので、この後の部分でも繰り返し扱われる。続いてルネサンス風の軽快な舞曲となり、16世紀の婚礼の雰囲気を再現する。後半になると音楽にスペイン風の雰囲気が漂いはじめ、スペインによるオランダの支配が暗示される。
- 第2部 フィリプスとエフモント(Filips & Egmont)
- テンポを上げると、ギターと打楽器の伴奏に乗ってソプラノサックスに"Diabolica"(邪悪に)と指示された主題が現れ、フェリペII世(題名の"Filips"はオランダ語表記)の暴君としての性格を描写する。そこにエグモントの主題が静かに現れ、王への忠誠と正義感の間で悩むエグモントを描写する。やがて二つの主題が同時に現れると荒々しく盛り上がっていき、二人の対立が表現される。クライマックスが鎮まるとギターによるカデンツァが残り、次の部分に続く。
- 第3部 「分別は命運に後れる」(ラテン語: Fato prudentia minor)
- 題名はエグモントのモットー。音楽は葬送行進曲となり、フェリペII世に囚われ処刑台に向かうエグモントの姿を描写する。高まっていく嘆きの声が急に断ち切られると、斬首が行われ、周囲は重苦しい空気に包まれる。
- 第4部 スペインに反抗する同盟(United against Spain)
- エグモントの死後に起こるオランダ独立戦争を描く部分で、不安げな序奏に続いてトロンボーンに戦闘的な主題が現れる。やがて戦いは勝利を収め、コラールが高らかに歌われてファンファーレと交錯する。最後にオランダとベルギーの国歌が同時に鳴り響き、力強く終わる。
参考文献
- 作曲者解説 - bertappermont.be
関連項目
- エグモント (劇音楽) - エグモントを描いたヨハン・ヴォルフガング・ゲーテの戯曲に基づき、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが作曲した作品。
外部リンク
- Egmont - beriato music - 出版社サイト。解説、試聴、スコア一部閲覧。
- 富樫哲佳の吹奏楽曲でたどる世界史【第24回】