きよしこの夜
きよしこの夜(きよしこのよる、ドイツ語:Stille Nacht)は、有名なクリスマス・キャロルのひとつ。
原詞の“Stille Nacht”は、ヨゼフ・モールによって、ドイツ語で書かれ、フランツ・クサーヴァー・グルーバーによって作曲された。 この曲の英語曲が「Silent night」(作詞者不明)であり、日本語曲が「きよしこの夜」(作詞・由木康)である。
楽曲解説
1818年12月25日にオーストリアのオーベルンドルフの聖ニコラウス教会で初演された。この歌にまつわる逸話として、 "クリスマス・イヴの前日、教会のオルガンが発音できない状態になった(音の出なくなった理由はネズミにかじられた等、諸説あり)。そして、クリスマスに歌う賛美歌の伴奏ができなくなり、急遽ヨゼフは“Stille Nacht”の詞を書き上げ、グルーバーに、この詞にギターで伴奏できる讃美歌を作曲してくれるように依頼を行った。グルーバーは最初「教会でギターを弾いても誰も気に入らないのではないか?」と懸念していたが、ヨゼフの説得もあって詞に曲をつけることを了承した。グルーバーは一晩中懸命に考え続け、ついにこの曲を完成させた。曲が完成したのは教会でミサが始まるわずか数時間前のことであった" という逸話があるが、近年の研究では数年前にヨゼフは詩を完成させていたという説が有力である。しかし、グルーバーが短期間で作曲したのは正しいと推測されている。
1988年に製作された西ドイツ(当時)の映画「マグダレーナ/『きよしこの夜』誕生秘話」は、上記の出来事をベースにし、神父と娼婦の禁じられた恋というフィクションが加えられたものである。
日本での受容
「きよしこの夜」にはじまる日本語の歌詞は由木康による。初めて収録されたのは1909年の『讃美歌』第2編である。1961年には小学校6年生の音楽の教科書に採用され、1988年まで掲載されていた[1]。近年では中学校などで英語教育も兼ねて英語の歌詞で歌われている。
なお、日本のカトリック教会においては、別訳にてカトリック聖歌集111番の「しずけき」として親しまれている。
- 原詞詞名(初行)
- Stille Nacht, heilige Nacht!
- 曲名(チューンネーム)
- STILLE NACHT
- ミーター
- 76 77 55(日本語)、Irregular(英語、ドイツ語)
著名な歌手が歌った「きよしこの夜」も存在する。日本の歌手ではザ・ピーナッツが1960年頃に「清しこの夜」と言う題名でレコードをリリースしていた。この曲は「ザ・ピーナッツ メモリーズBOX」に収録されている。
また、TBSが毎年クリスマスの時期に放送している音楽番組『クリスマスの約束』では2009年に番組ホスト役の小田和正、ゲストの大橋卓弥(スキマスイッチ)、根本要(スターダスト・レビュー)、吉岡聖恵(いきものがかり)の4人によるア・カペラで披露。2011年から番組のオープニング・テーマとして使用されている。
収録讃美歌
- 讃美歌(1954年版) 109番
- 讃美歌第二編 244番
- 讃美歌21 264番
- 聖歌 148番
- 聖歌 (総合版) 96番a (中田羽後訳)
- 聖歌 (総合版) 96番b (由木康訳)
- 新聖歌 77番
- 新生讃美歌 163番
- 教会讃美歌 37番
- インマヌエル讃美歌 413番
- 救世軍歌集(1997年版) 45番
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脚注
- ^ 「大人のための教科書の歌」 251頁。
参考文献
- 川崎洋 「大人のための教科書の歌」 いそっぷ社、1998年。ISBN 4-900963-05-4