Evernote

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Evernote
開発元 Evernote Corporation
最新版
10.28 (Android) / 2022年3月7日 (2年前) (2022-03-07)
10.28 (iOS) / 2022年3月7日 (2年前) (2022-03-07)
10.32.4 (macOS) / 2022年3月3日 (2年前) (2022-03-03)
10.32.4 (Windows) / 2022年3月3日 (2年前) (2022-03-03)
対応OS Android
iOS
macOS
Microsoft Windows
ライセンス プロプライエタリ
公式サイト 公式ウェブサイト
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Evernote Corporation
種類 株式会社
市場情報 非上場
本社所在地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
Redwood City, CA, United States
代表者 Francesco Patarnello (CEO)
関係する人物 Stepan Pachikov(創業者)
外部リンク evernote.com ウィキデータを編集
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Evernote(エバーノート)は、ノートを取るように情報を蓄積するWebサービスである。開発・提供元はEvernote Corporation(以下「Evernote社」と表記)。競合サービスにMicrosoft OneNoteGoogle KeepSimplenoteなどがある。

解説[編集]

ウェブサイトを通じて登録し、アカウントを設定すれば、誰でも無料で利用できるようになり(有料のプレミアム版もあり)、同社が提供するサーバ上にテキスト・画像・PDF などのデジタルデータを保存することができる。各自が設定した「ノートブック」と称するサブジェクトごとにデータを保存、記録したものは全て自動的にインデックスが作られ検索可能となる。任意のタグを付けたり、別のノートブックに整理することもできる。

利用者は用意された個人用ウェブページもしくは各プラットフォーム向けに用意された専用クライアント・アプリケーション、あるいは携帯情報端末などのデバイス経由で保存したドキュメントにアクセスし、保存したデータの閲覧・編集が可能である。共有の設定を行うことで、他者と保存した情報の共同利用も可能となる。

プラン[編集]

無料サービスと有料サービスを組み合わせたフリーミアムビジネスモデルを採用している。無料プランの「ベーシック」は月ごとのアップロード容量制限(サービスを利用するにあたっての保存容量そのものに制限はない)が60 MBとされ、利用可能な端末数は2台まで、同期されるファイル形式に制限があるほか、画面隅に有料版へのアップグレードを促す広告が表示される。

2015年4月29日からの有料プランは、一般ユーザー向けとして「ベーシック」にアップロード容量の増加と、モバイル端末利用時のオフライン編集機能を追加した「プラス」(日本向けは月額240円/年額2,000円)と、ビジネスユーザー向けとして従来のプレミアム会員と同じく全機能が利用とアップロード容量が無制限となる「プレミアム」(月額450円/年額4,000円)の2種類に分けられた。

企業ユーザー向けプランとして「プレミアム」アカウントに共同作業に関する機能と管理ツールを加えた「Evernote Business」が用意されている。

各プランの機能や料金は随時変更されるため、詳細は公式サイトを参照。

クライアント[編集]

2024年1月現在、公式に提供されているクライアントソフトウェアAndroidiOSmacOSMicrosoft Windows がある。BlackBerry 搭載の端末向けは2015年に提供が終了した[1]

フィーチャーフォンからの利用はiアプリ(後述)以外にも、専用のメールアドレスに電子メールを送信することにより、指定したノートへ保存するアプリケーションに依存しない機能が用意されている(「ベーシック」では回数制限あり)。

市場・利用者[編集]

2010年9月時点の登録ユーザーが約450万人[2]、2010年11月には500万人[3]、2011年8月に1,250万人[4]と成長している。

2011年8月時点で利用者の36%がアメリカから、27%が日本、4%でイギリスおよび韓国と続く[4]

日本市場[編集]

2010年3月3日に日本語版のサービスを開始し[5]、2010年6月23日に初の国外法人として日本法人を発足して日本語認識機能を強化[6]。日本法人会長に外村仁が就任[7]VAIOXperiaがEvernoteをプリインストール[8]し、iモード端末もiアプリとして利用できる[9]。NTTドコモの Android ユーザーは、2010年11月から1年間無償でプレミアム版を利用可能であった[10]東日本大震災後は2011年3月11日から1か月間、日本国内の全てのユーザーが一時的にプレミアム版に無償アップグレードされた[11]

2012年にグッドデザイン賞を受賞した[12][13]

企業姿勢[編集]

元CEOのフィル・リービン

Evernote社は、ビジネスモデルとして顧客のデータを預かる以上、長期の信用が求められると考え、老舗企業が多い日本に学び「自社を今後100年続く企業にしたい」[4]とした。

2013年末までにIPOの予定であったが、企業規模が拡大した段階であるためリスクを取り、法人利用にも堪えうるサービス開発に注力し、公開企業として恥じない企業体質を整えるため[14]、実施は以降の適切な時期に行うとした。

その後Evernoteブランドのグッズ販売事業や、本業以外のアプリケーションを相次いで発表するなど迷走し、2015年7月にフィル・リービンからクリス・オニールへCEOが交代し、10月に2割近い従業員をレイオフし、12月にSkitchやClearlyの開発停止を発表した。2016年2月にグッズ販売事業から撤退し、6月に有料プランの価格を1.5倍に引き上げ、無料ユーザーがクライアントを利用して同期可能な端末を2台に制限した。2020年10月にEvernote Webの機能向上を理由に、ウェブブラウザからの利用も端末数制限の対象とした[15]。2018年10月に、クリス・オニールからイアン・スモールへCEOを交代した[16]

不祥事[編集]

2013年3月に、Evernote社はサーバへの大規模な不正アクセスを受けたとして、全ユーザのパスワードを強制的にリセットした。ユーザの保存データや決済情報などの漏洩は確認できなかったが、登録メールアドレス、暗号化されたパスワードが漏出した可能性がある[17]

脚注[編集]

  1. ^ Evernote to end support for Hello, Peek, BlackBerry 7, and PlayBook
  2. ^ EVERNOTE、新サービスと国内企業との連携に関する説明会 INTERNET Watch、2010年9月29日
  3. ^ Evernoteユーザー数が500万人を突破 マイコミジャーナル、2010年11月11日
  4. ^ a b c Evernoteが初の開発者イベント - 出口戦略を否定、目標は"100年企業" マイコミジャーナル、2011年8月26日
  5. ^ 記憶するウェブサイト「Evernote」、日本正式サービス開始 ASCII.jp、2010年3月4日
  6. ^ 「エバーノート株式会社」設立 連携サービス・製品も続々 ITmedia News
  7. ^ 急成長の「Evernote」が日本上陸、米エバーノートが日本法人設立”. 株式会社BCN. 2022年8月20日閲覧。
  8. ^ 「脳の拡張」Evernote日本語版リリース 日本法人設立へ ITmedia News
  9. ^ Evernote、“ガラケー”にもフル対応へ ドコモが協力 ITmedia News
  10. ^ Evernote、ドコモのAndroidユーザーを無償でプレミアム会員に INTERNET Watch、2010年11月8日
  11. ^ 日本で地震や津波の被害に遭われた方々へ”. Evernote日本語版ブログ. Evernote Corporation (2011年3月12日). 2012年11月24日閲覧。
  12. ^ パーソナル・クラウド・サービス Evernote|受賞対象一覧|Good Design Award”. 公益財団法人日本デザイン振興会. 2013年5月17日閲覧。
  13. ^ Evernote がグッドデザイン賞を受賞”. Evernote日本語版ブログ. Evernote Corporation (2012年10月1日). 2013年5月17日閲覧。
  14. ^ Evernoteが2013年末までに上場準備、リービンCEO「100年構想」語る INTERNET Watch、2012年5月17日
  15. ^ Evernote ベーシックへの変更について” (jp-JP). evernote.com | Blog (2020年10月21日). 2020年10月22日閲覧。
  16. ^ 新しい CEO 就任のお知らせ” (jp-JP). evernote.com | Blog (2018年10月30日). 2020年10月10日閲覧。
  17. ^ 米Evernoteがハッキング被害で全ユーザーのパスワードをリセット INTERNET Watch、2013年3月3日

関連項目[編集]

競合製品[編集]

外部リンク[編集]