B型肝炎ウイルス

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B型肝炎ウイルス
Hepatitis B virus 1.jpg
分類(ウイルス)
: 第7群(2本鎖DNA)
: ヘパドナウイルス科
: オルソヘパドナウイルス属

B型肝炎ウイルス(Bがたかいえんウイルス、Hepatitis B Virus)は、ヘパドナウイルス科オルソヘパドナウイルス属に属するDNAウイルスである。B型肝炎の原因ウイルスである。略してHBVと呼ばれる。

疫学[編集]

B型肝炎ウイルスは遺伝子配列の違いによって、ヒトA〜Gの7種とチンパンジー型1種の遺伝子型 (genotype) が確認されているが、解明は不十分で調査が行われていない地域もある。ウイルス遺伝子型の分布には地域差があり、ヨーロッパでは genotyp AとDが多く、日本ではgenotyp Cが多くA,B,C,D がほとんどを占めている[1]

比較的熱に強く、60℃×10分間の加熱処理でも不活化されず、感染性を失わない[2]が、60℃×10時間では不活化される[3]

構造[編集]

HBVの環状のDNA。プラス鎖は不完全な状態で存在している。

HBVは直径42nmで3.2kbの環状の二本鎖DNAとそれを包むエンベロープからなる。ただ、このDNAは完全な二本鎖ではなくプラス鎖のほうが一部欠けていて短い。内部にはコアを持つ(Dane粒子とも呼ばれる)。表面にある抗原 (HBs) によってadr・adw・ayr・aywなどの亜型が存在する。

歴史[編集]

1964年にBlumbergらにより、オーストラリア原住民の血清から、後にHBs抗原とされる「オーストラリア抗原」が発見される。その後、1968年、大河内一雄(後に九州大学医学部輸血部教授・名誉教授)によりオーストラリア抗原と肝炎の関連を報告された。

ヒト以外の感染例では、ドイツのミュンスター大学の研究チームは鳥類DNAに混入しているB型肝炎ウイルスの痕跡を研究することにより、鳥の感染例は古いもので8200万年前ごろの可能性が高いことを、科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに報告している。 哺乳類が感染するようになったのは1210万年前以降とされている[4]

生活環[編集]

HBVは細胞に感染するとまず、自分のDNAを細胞の核に送り込む。そこで、プラス鎖のDNAを修復して完全な二重鎖のスーパーコイルDNAになるとこれを鋳型として宿主細胞由来のRNAポリメラーゼを使ってプレゲノムRNAを合成する。そこから、ウイルスDNAポリメラーゼにある逆転写酵素活性をもちいてこのRNAからマイナス鎖のDNAを合成する。この過程ではRNAのプライマーが次々に転移し、全長のマイナス鎖DNAを完成させる。その後、DNAポリメラーゼにより、プラス鎖が合成されるが、合成が全て終わる前に小胞体内腔に出芽したウイルス表面分子のHBsに覆われ細胞外に放出される。

感染[編集]

臨床像[編集]

ジアノッティ病や、膜性腎症等の原因ともなる。

治療[編集]

出典[編集]

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ [1] 特殊免疫研究所
  2. ^ B型肝炎ウイルスの不活化 肝臓 Vol.18 (1977) No.8 P584
  3. ^ 加熱人血漿蛋白液輸液とHBe抗原・抗体 肝臓 Vol.19 (1978) No.5 P510
  4. ^ 8200万年前に鳥類感染か=B型肝炎ウイルス―独大学 時事通信(2013年5月1日)

外部リンク[編集]