藩王国
藩王国(- はんおうこく、英語:princely state, native state, indian state)とは、イギリスが植民地統治していた時代のインド(現在のインド・パキスタン・バングラデシュ、およびミャンマーを含むインド帝国)において、イギリスの従属下で一定の支配権を認められていた藩王(prince)の領国のことである。「土侯国」とも訳される。
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歴史 [編集]
その起源は、18世紀初頭に、ムガル帝国の皇帝アウラングゼーブが死亡して、帝国が分裂したのち、独立した州やその周囲にあった諸領邦のうちで、イギリス東インド会社と軍事保護条約を結び、同盟関係にあった諸国である。
その数は約600あり、広さはニザーム藩王国(ハイダラバード藩王国)、ジャンムー・カシミール藩王国のように20万平方キロメートルを超えるものから、数平方キロメートル程度のものまで様々であで総面積は独立前のインド全体の約45%、人口は約24%を占めた。
藩王の称号はさまざまで、ヒンドゥー教徒の場合はマハーラージャ(大王)、ラージャ(王)など、ムスリム(イスラム教徒)ならナワーブ(太守、知事)など、ハイダラーバード藩王はムガル帝国時代に由来するニザーム(統治者)を称したが、イギリス政府からはいずれも「藩王」(prince:「諸侯」の意味)と呼ばれた。
藩王国はイギリスとの軍事保護条約により、防衛・外交権を除いた自治権を認められてはいたが、しばしばイギリスが派遣した政治顧問(駐在官)の内政干渉を受けた。
また、インド総督ダルフージーによる「失権の原理」(養子相続を認めない藩王国併合政策)の強行により、イギリス領に併合された藩王国も多かったが、インド大反乱後は分割統治に利用できる傀儡勢力として一転して保護されるようになった。
そのため当時、インド議会の法律は適用されず藩王たちは自由に統治した。極少数の藩王国では近代国家並みに発展したところもあるが大半は支配階級の贅沢に国家予算の大部分が使われる時代遅れの体制だった。
同様の支配体制は宗教・文化が異なるミャンマー(ビルマ)でも行なわれ、現在のカレン州、カチン州、シャン州など少数民族の居住地域に藩王国が建国された。
1947年8月15日、インド・パキスタン分離独立の際、ほとんどの藩王国はどちらかの国に所属し、翌1948年にニザーム藩王国はインドに強勢併合され、カシミール地方に存在したジャンムー・カシミール藩王国の帰属問題は、インド・パキスタンの間で紛争になり、現在も係争中である。
ミャンマー(ビルマ)の藩王国は、同国の独立後も(同国の政治的混乱もあり)一定の支配力を保ち続けたが、1962年のネ・ウィンによる軍事クーデターでビルマ式社会主義体制が樹立すると、政府軍の実力行使によって支配層から排除された。また、シャン州などの一部の藩王国は、旧ビルマ共産党などの新興の反政府勢力によって駆逐されたものもあった。
主な藩王国 [編集]
現・インド [編集]
- ニザーム藩王国(ハイダラバード藩王国)
- アワド藩王国
- ベンガル藩王国(ムルシダーバード藩王国)
- グワーリオール藩王国
- インドール藩王国
- ナーグプル藩王国
- バローダ藩王国 (Baroda Residency)
- サーターラー藩王国
- コールハプール藩王国
- マイソール藩王国
- ジャーンシー藩王国
- タンジャーヴール藩王国
- ジャイプル藩王国
- ウダイプル藩王国
- ジョードプル藩王国 (Jodhpur)
- ビーカネール藩王国
- ジャイサルメール藩王国
- トラヴァンコール藩王国 (Travancore)
- コーチン藩王国 (History_of_Kochi)
- ジュナガル藩王国 (Indian integration of Junagadh)
- プドゥコーッタイ藩王国
- コッチ・ビハール藩王国
- バスター藩王国
- バガール藩王国 (Baghal)
- ポルパンダール藩王国
- シェール・シャー藩王国
- ダール藩王国
- パタウディ藩王国
- ダルバンガ藩王国
- ボーパール藩王国
- シャン藩王国
- クッチ・ビハール藩王国
- パンダリーコット藩王国
- デーワース藩王国
- パンダリーコット藩王国
- ボーポール藩王国
- ラダク藩王国
- トプール藩王国
- ラージャスターン藩王国
- ビルバリ藩王国
- テーリ・ガルワール藩王国
現・パキスタン [編集]
- バハーワルプル藩王国
- カイルプール藩王国
- カラート藩王国
- ラスベラ藩王国
- マクラン藩王国
- カラン藩王国
- アンブ藩王国
- チトラル藩王国
- ディール藩王国
- スワート藩王国
- フンザ藩王国
- ナガール藩王国
- バルーチスタン藩王国
- シンド藩王国
- チョリスタン藩王国
- バハーワルプル藩王国
- ラス・ベラ藩王国
- シックゥ藩王国
現・ミャンマー(ビルマ) [編集]
その他 [編集]
参考文献 [編集]
- 「ブリタニカ国際百科事典」株式会社ティービーエス・ブリタニカ
- 「新版 世界各国史7 南アジア史」 山川出版社 辛島 昇
関連作品 [編集]
- 『マハラジャ歓楽と陰謀の日々―インド裏面史』 ディワン・ジャルマニ・ダス (著) 佐野 光昭 (訳) 荒地出版社