荒山徹
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荒山 徹(あらやま とおる、1961年 - )は、日本の小説家。
富山県生まれで現在は大阪府在住。上智大学卒業。新聞社、出版社勤務を経て作家となった。新聞記者2年目に在日コリアンの指紋押捺反対運動を取材したのがきっかけで大韓民国に興味を抱き独学で韓国語を学びはじめ、その熱が高じて留学した[1]。その後、資料集めに日韓両国を行き来しながら日本と朝鮮の二国間を舞台にした独創的な時代小説を野心的に執筆し続けており、伝奇作家として注目を集めている。
目次 |
[編集] 作風
荒山徹は、山田風太郎や隆慶一郎といった奔放不羈(ほんぽうふき)な作風を持つ作家と比較されることがある。しかし彼の作風は、こうした先輩作家が守っていたタガをも逸脱することがしばしばあり、「荒山徹は荒山徹である」としか言いようがない独特の味を持っている。最大の特徴としては、韓国留学経験を生かした朝鮮史とのクロスオーバーであり朝鮮半島または朝鮮人が出てこない作品は存在しない。実在の有名人の正体が「実は朝鮮人であった」というパターンも多い。また彼は五味康祐のファンであり[1]柳生新陰流に対しても深い愛着があるようで、虚実ないまぜにしさまざまな柳生剣士をその作中にて生み出している。
一方朝鮮半島からは、朝鮮妖術師、高麗忍者、朝鮮柳生らが登場し、妖術や剣術を駆使し、時には怪獣や大仏を使役することもある。また、敵側の一員、日本武将の妻や愛人、あるいは日本武将のロマンスの相手として朝鮮人美女が頻繁に登場し、作品に華を添えている。
彼は作中で大胆なオマージュやパロディを行うことがあり、その範囲はロボットアニメ・漫画、怪獣映画、韓国ドラマ、宝塚と多岐にわたる。
彼の作品のこのような特徴は場合によっては読者に嫌悪感を与え物議をもかもしかねない危険性を孕む一方、このような欠点をも遥かに上回る魅力があると感じる熱心な読者も少なくない。
[編集] 黄算哲
『十兵衛両断』には、「鶏林大・黄算哲教授『中国史としての高句麗日本史としての百済』鶏林大学紀要八十七号」なる文献が登場するが、「黄算哲」は荒山徹の同音語(荒=コウ=黄、山=サン=算、徹=テツ=哲)とひっかけた筆者のジョークであり、鶏林大学校も黄算哲なる人物も実在しない。『魁!!男塾』における民明書房のようなものである。
[編集] 作品リスト
[編集] 長編
- 『高麗秘帖 朝鮮出兵異聞 李舜臣将軍を暗殺せよ』1999年7月、祥伝社)のち文庫
- (2008年、セチャンミディオ) - 韓国語版[2]
- 『魔風海峡 死闘! 真田忍法団対高麗七忍衆』(2000年12月、祥伝社)のち文庫『魔風海峡 上 死闘! 真田忍法団』 『魔風海峡 下 血戦! 高麗七忍衆』と分冊
- 『魔岩伝説』(2002年9月、祥伝社)のち文庫
- 『柳生薔薇剣』(2005年9月、朝日新聞社)のち文庫
- 『柳生雨月抄』(2006年4月、新潮社)『柳生陰陽剣』と改題、文庫
- 『処刑御使』(2006年7月、幻冬舎)のち文庫
- 『柳生百合剣』 (2007年9月、朝日新聞社)のち文庫
- 『柳生大戦争』 (2007年10月、講談社)のち文庫
- 『鳳凰の黙示録』 (2009年7月、集英社)
- 『徳川家康 トクチョンカガン』 (2009年9月、実業之日本社)
- 連載時のタイトルは『徳川家康 (トクチョンカガン) -将軍になった男-』
- 『竹島御免状』 (2010年2月、角川書店)
- 友を選ばば 講談社、2010
[編集] 短編集
- 『十兵衛両断』(2003年6月、新潮社)のち文庫
- 【収録作】「十兵衛両断」「柳生外道剣」「陰陽師・坂崎出羽守」「太閤呪殺陣」「剣法正宗遡源」
- 『サラン 哀しみを越えて』
- 『忍法さだめうつし』 (2007年7月、祥伝社)
- 【収録作】「以蒙攻倭」「忍法さだめうつし」「怪異高麗亀趺」「対馬はおれのもの」
- 『海島の蹄』 (2008年3月、祥伝社)
- 【収録作】「海島の蹄」「真説・李舜臣」「妖説・李舜臣」「三別抄暴滅」
[編集] アンソロジー収録作品
- 短編「柳と燕 暴君最後の日」
- 収録:朝松健・えとう乱星 編 『伝奇城』(光文社〈光文社文庫〉、2005年2月刊)
- エッセイ「卒業 - チョロップ」
- 収録:日本エッセイスト・クラブ 編 『片手の音 ’05年版ベスト・エッセイ集』(文藝春秋、2005年8月刊)
- 短編「李朝懶夢譚」
- 収録:日本文芸家協会: 編 『代表作時代小説 平成18年度 長屋のさざめき、荒城の夢』(光文社、2006年6月刊)
- 『柳生雨月抄』(新潮社)収録時に「八岐大蛇の大逆襲」と改題
- 収録:日本文芸家協会: 編 『代表作時代小説 平成18年度 長屋のさざめき、荒城の夢』(光文社、2006年6月刊)
- 短編「流離剣統譜」
- 収録:日本文芸家協会: 編 『代表作時代小説 平成19年度 人情と艶、想い溢れて』(光文社、2007年6月刊)
- 『柳生雨月抄』(新潮社)収録時に「杏花の誓い、柳花の契り」と改題
- 収録:日本文芸家協会: 編 『代表作時代小説 平成19年度 人情と艶、想い溢れて』(光文社、2007年6月刊)
- 短編「我が愛は海の彼方に」
- 収録:日本文芸家協会: 編 『代表作時代小説 平成20年度 町屋の情け、宿場のえにし』(光文社、2008年6月刊)
- 短編「鼠か虎か」
- 収録:日本文芸家協会: 編 『代表作時代小説 平成21年度 男と女、秘めた想いを』(光文社、2009年6月刊)
[編集] 未刊行・未収録作品
- 「服部半蔵秘録 金髪くノ一絶頂作戦」 (短編、『小説新潮』2003年5月号、新潮社)
- 「密書『しのぶもじずり』」 (短編、『小説新潮』2003年9月号、新潮社)
- 「朝鮮通信使いま肇(はじ)まる」 (短編、『オール讀物』2007年5月号、文藝春秋)
- 「我が愛は海の彼方に」 (短編、『オール讀物』2007年9月号、文藝春秋)
- 「葵上」 (短編、『オール讀物』2007年12月号、文藝春秋)
- 「柳生大作戦」 (長編、『KENZAN!』vol.5 - 連載中、講談社)
- 「鼠か虎か」 (短編、『オール讀物』2008年5月号、文藝春秋)
- 「日本国王豊臣秀吉」 (短編、『オール讀物』2008年9月号、文藝春秋)
- 「忍びのモノグラム」 (短編、『小説新潮』2008年10月号、新潮社)
- 「シャクチ」 (『シャクチ』第1話、『小説宝石』2008年10月号、光文社)
- 「黒い沼沢の妖魔」 (『シャクチ』第2話、『小説宝石』2009年1月号、光文社)
- 「仏罰、海を渡る」 (短編、『オール讀物』2009年4月号、文藝春秋)
- 「妖異覇王別姫」 (『シャクチ』第3話、『小説宝石』2009年4月号、光文社)
- 「柳生黙示録」 (長編、『小説トリッパー』2009年春季号 - 連載中、朝日新聞社)
- 「キンメリアの魔鏡」 (『シャクチ』第4話、『小説宝石』2009年7月号、光文社)
- 「遼河(シャクチ)を越えて」 (『シャクチ』第5話、『小説宝石』2009年10月号、光文社)
- 「朝鮮通信使いよいよ畢(お)わる」 (短編、『オール讀物』2009年12月号、文藝春秋)
- 「ウルトラ・ダラー」(『シャクチ』第5話、『小説現代』2009年12月号、講談社)
- 「妖術師の王国」(『シャクチ』第6話、『小説宝石』2010年1月号、光文社)
[編集] 文庫解説
- 阿井渉介『風神雷神の殺人 警視庁捜査一課事件簿』 (講談社〈講談社文庫〉)
- 五味康祐『剣法奥儀 新装版』 (文藝春秋〈文春文庫〉)
- 五味康祐『薄桜記 新装版』 (新潮社〈新潮文庫〉)
- 佐々木譲『仮借なき明日』 (集英社〈集英社文庫〉)
- 佐々木譲『五稜郭残党伝』 (集英社〈集英社文庫〉)
- 佐々木譲『帰らざる荒野』 (集英社〈集英社文庫〉)
- 八木荘司『古代からの伝言 わが国家成る』 (角川書店〈角川文庫〉)
[編集] 受賞歴
- 第2回舟橋聖一文学賞受賞 (彦根市開催、2008年、『柳生大戦争』)
- 第24回吉川英治文学新人賞ノミネート(2002年、『魔岩伝説』)
- 第25回吉川英治文学新人賞ノミネート(2003年、『十兵衛両断』)
- 第27回吉川英治文学新人賞ノミネート(2005年、『柳生薔薇剣』)
[編集] その他
荒山徹について言及したり、文章を引用している著作物を紹介する。
書籍
- 樺薫『めいたん メイドVS名探偵』(ガガガ文庫)
- 鈴木眞哉『戦国史の怪しい人たち 天下人から忍者まで』(平凡社新書)
インターネット上の論文・論考
[編集] 脚注
- ^ a b "「韓国小説を開拓したい」" 本の話|自著を語る、文藝春秋。
- ^ 『이순신을 암살하라』 イ・ジョンウン (이종훈) 訳、セチャンミディオ (세창미디어)、2008年 ISBN 978-8-95-586082-5
