臭化銀(I)

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臭化銀(I)
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識別情報
CAS登録番号 7785-23-1 チェック
特性
化学式 AgBr
モル質量 187.772 g mol−1
外観 淡黄色結晶
密度 6.473 g cm−3, 固体
融点

432 °C

沸点

1502 °C (分解)

への溶解度 0.00002 g/100 cm3 (20 °C)
構造
結晶構造 立方晶系
熱化学
標準生成熱 ΔfHo −100.37 kJ mol−1[1]
標準モルエントロピー So 107.1 J mol−1K−1
標準定圧モル比熱, Cpo 52.38 J mol−1K−1
関連する物質
関連物質 フッ化銀(I)
塩化銀(I)
ヨウ化銀(I)
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

臭化銀(I)(しゅうかぎん いち、: silver(I) bromide)とは、ハロゲン化銀の一種で、臭化物黄色固体である。化学式 AgBr。CAS登録番号[7785-23-1]。天然には臭銀鉱(あるいは臭化銀鉱、bromargyrite)という鉱物として、主にメキシコなどで産出される。

製法[編集]

臭化物イオンを含む溶液に硝酸銀水溶液を加えることで沈殿として生成する。

Ag+(aq) + Br(aq) → AgBr

性質[編集]

融点432 °C比重6.47。にほとんど不溶(20 °Cにおける溶解度は0.02 mg/100 ml)。溶解度積は以下の通りである[2]

AgBr  \rightleftarrows\ Ag+(aq) + Br(aq),   Ksp = 4×10−13

シアン化アルカリチオ硫酸ナトリウム水溶液には錯体を生成して溶解し、濃アンモニア水には少量溶解する。熱濃硝酸にも可溶。

AgBr + 2 CN  \rightleftarrows\ [Ag(CN)2] + Br,   K = 1.2×108
AgBr + 2 S2O32−  \rightleftarrows\ [Ag(S2O3)2]3− + Br,   K = 11
AgBr + 2 NH3  \rightleftarrows\ [Ag(NH3)2]+ + Br,   K = 8×10−6

濃厚な臭化物の水溶液にも錯体を生成して多少溶解する。

AgBr + 3 Br  \rightleftarrows\ [AgBr4]3−,   K = 3×10−4

バンドギャップは2.5 eV。臭化銀(I)は半導体の一種であり、により分解するため、写真感光剤として19世紀より用いられている。

結晶構造[編集]

結晶は塩化ナトリウム型構造であり、その格子定数はa = 5.768 Å、Ag-Br 結合距離は2.88 Åである[3]

感光剤[編集]

写真感光剤として臭化銀を生成する場合は、良質の結晶を沈殿させるため、ゼラチン等の保護コロイドを入れた水溶液中で、連続的に撹拌させながら、臭化カリウム水溶液と硝酸銀水溶液を同時に混入する。この時、流入速度をコントロールして、所定の水溶液中の銀イオン濃度プロファイルを維持する。この値は、通常対数値をとって pAg と呼ばれるが、非常に重要なパラメタである。ゼラチン濃度が十分で、銀イオン濃度が十分低い条件では、正八面体の結晶が得られる。最近では、双晶面を二つ以上含む平板粒子が特にフィルム用に多く使われる。

関連項目[編集]

参考文献[編集]

  1. ^ D.D. Wagman, W.H. Evans, V.B. Parker, R.H. Schumm, I. Halow, S.M. Bailey, K.L. Churney, R.I. Nuttal, K.L. Churney and R.I. Nuttal, The NBS tables of chemical thermodynamics properties, J. Phys. Chem. Ref. Data 11 Suppl. 2 (1982).
  2. ^ 新良宏一、庄野利之 益田勲 共訳 『基礎分析化学』 三共出版、1982年
  3. ^ 『化学大辞典』 共立出版、1993年