硫酸銀(I)

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硫酸銀(I)
識別情報
CAS登録番号 10294-26-5
特性
化学式 Ag2SO4
モル質量 311.799 g mol−1
外観 無色結晶
密度 5.45 g cm−3, 固体
融点

652 °C

沸点

1085 °C (分解)

への溶解度 0.80 g/100 cm3
構造
結晶構造 斜方晶系
熱化学
標準生成熱 ΔfHo −715.88 kJ mol−1[1]
標準モルエントロピー So 200.4 J mol−1K−1
標準定圧モル比熱, Cpo 131.38 J mol−1K−1
危険性
EU分類 刺激性 (Xi)
Rフレーズ R41
Sフレーズ S22 S26 S39
引火点 不燃性
関連する物質
関連物質 硝酸銀(I)
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

硫酸銀(I)(りゅうさんぎん いち、: silver(I) sulfate)は、化学式が Ag2SO4 と表される1価の硫酸塩である。硝酸銀(I)のように皮膚を黒化させる作用が弱いため代用品として銀メッキに使われる。や空気にさらされることにより黒ずむが、普通(常温、常圧)の条件では安定な物質である。にはわずか (1.2 g/100 ml) に溶ける。

日本の法令では毒物及び劇物取締法により劇物に指定される。

製法[編集]

銀を酸化作用のある熱濃硫酸に溶解し、溶液を水で希釈すると結晶が沈殿する[2]

2 Ag + 3 H2SO4 → 2 AgHSO4 + SO2 + 2 H2O
2 AgHSO4 → Ag2SO4 + H2SO4

硝酸銀(I)水溶液に、希硫酸または硫酸塩水溶液を加えると、細かい結晶が沈殿する[3]

2 Ag+(aq) + SO42−(aq) → Ag2SO4

性質[編集]

無色の細かい結晶であり、純度の低いものは光により黒化しやすい。水に対する溶解度は小さいが、硫酸あるいは硝酸では硫酸水素塩を生じ、アンモニア水にはアンミン錯体を形成して溶解する。

Ag2SO4 + H+  \rightleftarrows\ 2 Ag+ + HSO4
Ag2SO4 + 4 NH3 → 2 [Ag(NH3)2]+ + SO42−

水に対する溶解度積は以下の通りである[4]

Ag2SO4  \rightleftarrows\ 2 Ag+(aq) + SO42−(aq),  Ksp = 1.2×10−5

出典[編集]

  1. ^ D.D. Wagman, W.H. Evans, V.B. Parker, R.H. Schumm, I. Halow, S.M. Bailey, K.L. Churney, R.I. Nuttal, K.L. Churney and R.I. Nuttal, The NBS tables of chemical thermodynamics properties, J. Phys. Chem. Ref. Data 11 Suppl. 2 (1982).
  2. ^ 『化学大辞典』 共立出版、1993年
  3. ^ 日本化学会編 『新実験化学講座 無機化合物の合成II』 丸善、1977年
  4. ^ 新良宏一、庄野利之 益田勲 共訳 『基礎分析化学』 三共出版、1982年

参考文献[編集]