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(なみだ、)は涙腺から分泌される体液のことである。眼球の保護が主要な役割であるが、ヒト特有の現象として感情の発現として涙を流すことがある。

普段分泌している涙 - 涙の生理学 -[編集]

は涙腺で分泌される。その後 目の表面を通り、涙道を抜け、鼻をくだって最後に喉で吸収される。

通常の分泌量は1日平均2-3cc。涙の原料は血液。涙腺内の毛細血管から得た血液から血球を除き、液体成分のみを取り出したものである。涙の98%は分で[1]タンパク質アルブミングロブリン、後述のリゾチームなど)、リン酸塩なども含有する。一般的に弱いアルカリ性の液体である。分泌された涙液は目の表面を通過したあと涙点に入り、涙小管・涙嚢・を経て、から再吸収される。

涙には以下のような役割があるとされている。

涙は「油層」「涙液層」「ムチン層」の3層で目を保護しており、その3層の合わせた厚さは約7µmマイクロメートル)しかない。涙の持っている抗菌成分はリゾチームという。このリゾチームは、細菌の細胞壁(ペプチドグリカン)を分解する作用を持つ。

眼の使用頻度によって涙が蒸発しやすくなったり分泌量が減ったりすると、ドライアイと呼ばれる状態に陥る。

感情が高ぶった時などの涙[編集]

涙を流している少女

感情が高ぶった際にも多量に分泌される。悲しいとき、嬉しいときに流れることが多い。痛みを感じたときや、吐き気がするとき、大笑いしたとき、あくびをしたときなどに流れることもある。感情による涙の場合は通常の排出(涙点経由のもの)では間に合わず、涙が目の外へ流出する。悲しみなどによって涙を流し、声を出す一連の動きのことを「泣く」と言う。

大量の涙を流した際に出てくる鼻水は、涙が鼻涙管を経由して排出されたものである。

感情と涙の関係の謎[編集]

感情が高ぶった時に人は何故涙を流すのかという問いに対して、生化学者のウィリアム・フレイ二世(William H. Frey II)は、涙は感情的緊張によって生じた化学物質を体外へと除去する役割があるのだろう、という仮説を提案した。フレイは自身の仮説の妥当性を調べるために実験を行った。実験の内容としては、被験者に、いかにも涙を誘う映画を見せて収集した涙と、同じ被験者にタマネギをむかせて収集した涙の、成分の比較をするというものであった。80人あまりの被験者の涙の比較は、(この時点の実験で用いられた検出能力でも、少なくとも)感情による涙は、刺激による涙よりも、より高濃度のタンパク質を含んでいるということを示していた。フレイはその実験内容を含む著書を1985年に出版している[2][3][4]

この実験は、感情と涙の成分には何らかの関係がある、ということを示しており、フレイの仮説をおおよそ裏付ける内容となっているが、様々な種類の感情とタンパク質の関係が明らかにされているわけではないようである。

涙と演技[編集]

涙は演技で出すことも可能である。俳優を始めとする芸能人はそれを行っている。

脚注[編集]

  1. ^ なみだの正体 ロート製薬株式会社、2014年11月25日閲覧。
  2. ^ 『まだ科学が解けない疑問』ジュリア・ライ、晶文社1991年、p.60-63。
  3. ^ Crying: The Mystery of Tears, William H. Frey. Winston Pr, 1985.
  4. ^ 『涙―人はなぜ泣くのか』 ウィリアム・H・フレイII, 日本教文社, 1990年。

関連項目[編集]