つがる (リンゴ)

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つがる
Cross section of Tsugaru, National Fruit Collection (acc. 1981-115)
交配 'ゴールデンデリシャス' × '紅玉'
品種 つがる
開発 須佐寅三郎(青森県立農事試験場)
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つがるとは、リンゴ栽培品種のひとつである。青森県りんご試験場が1930年に、ゴールデンデリシャス紅玉を交配したことで誕生し、1970年に青り2号として仮に命名され、1975年に品種登録された。

特徴[編集]

早生品種であり、9月ごろに収穫期を迎える。形状は円形から楕円形で大きさは約300グラム[1]、色味は紅で縞模様が入る[2]。肉質は緻密で[3]、豊富な汁と甘みを引き立てる弱い酸味、13.5%パーセント程度の糖度の甘みを備える[1]。一方で、栽培初期は「咳払いすると落ちる」とまで言われた落果のしやすさ[4]や、色むらに弱点があったが[1]、前者は栽培技術の進歩によって[4]、後者は芳名つがる等の着色系枝変わりによって改善されており[1]、2006年時点でふじに次いで日本で2位の生産量を占める品種であり、世界の生産量においても2002年に21位の品種となっている[3]

歴史[編集]

日本における遺伝学研究の第一人者であった東北帝国大学星野勇三のもとで学んだ須佐寅三郎は、2回に渡るアメリカ留学を経て、1928年に青森県立農事試験場に主任技師として着任し、紅玉等既存の品種を超えるリンゴの育種を志した[5]。つがるは須佐によって陸奥と同じく日本で最初の交雑試験となった1931年に交配が行われたが[3]、品種ラベルの紛失によって長らく花粉親が不明の状態が続いていた[1]。前述の落果の多さという不満点はあったものの、早生の良品種として徐々に注目を集めるようになり、1970年に青り2号という仮名がつけられたのち、1973年につがるの名が与えられ、1975年に品種登録された[1]。なお、長らく不明であった花粉親については1990年に遺伝子検査が行われ、紅玉であることが特定されている[1]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f g 杉山芬 2005, p. 107.
  2. ^ つがる・あおり2号|りんご大学”. 2022年1月29日閲覧。
  3. ^ a b c 富士田金輔 2012, p. 149.
  4. ^ a b 杉山芬 2005, p. 109.
  5. ^ 富士田金輔 2012, p. 129.

参考文献[編集]

  • 杉山芬、杉山雍『青森県のりんご 市販の品種とりんごの話題』北の街社、2005年。ISBN 4-87373-141-0 
  • 富士田金輔『リンゴの歩んだ道 明治から現代へ、世界の“ふじ”が生まれるまで』農山漁村文化協会、2012年。ISBN 978-4-540-12215-6