日本美術展覧会

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日本美術展覧会(にほんびじゅつてんらんかい)は、(“公募”だと詐欺的に称している)美術展覧会の1つの名称である。通称は「日展」。公益社団法人日展が主催する。

概要[編集]

官展の流れを汲む総合美術団体で、最初期は第一科「日本画」、第二科「西洋画」、第三科「彫刻」の3部門で、1926年から第四科「美術工芸」が、1948年からは第五科「」が加わった。現在、五つの科がある[1]

毎年秋に国立新美術館公募展を開催している。また、巡回展も行われている。

体質

日展には長らく強固なヒエラルキーの制度があり、 「入選」を十回あるいは「特選」を1回とると「会友」、もう一度「特選」になると「審査員に選ばれる資格」を得、この段階で「会員」になり、会員になってから「審査員」を2回つとめると「評議員」、その上には順に「理事」、「常務理事」、「顧問」、「理事長」というピラミッド構造になっていた。 そんな中、審査員が“事前指導”と称して「便宜」をはかり、出品者がお礼と称して金銭や物品を持っていく、ということが常習的に行われていた。 つまり日展というのは100年以上にもわたって外部の人が入ってこなかった閉鎖的な組織であり、公平な審査が行われていない(中立的に良い作品を選べるような体制になっていない)組織なのである[1]。内部に会派(派閥)が出来上がっていて審査員は自分の会派の作品ばかり賞に推薦するため、その審査は実質的には「インチキ」と言えるものである(日展ではこういった「出来レース」が暗黙の了解として行われている)[1]

2014年、第三者委員会の勧告などによって ヒエラルキーを「会友・会員・理事・理事長」という4段階に簡素化し、一部的に外部審査員を招きいれた。しかし外部審査員が審査のありかたを観察したところ、あいかわらず、各会派(派閥)の者たちは自分の派閥の作品を推薦するばかりだった[1]。すっかり出来上がってしまった閉鎖的不正体質が変わっていないのである(結局、日展はこのまま存続してゆけるかどうか怪しまれるような状況になってきている、と指摘されている)。

(このように日展は自浄能力が無いまま不正を行い続けてきたことが芸術関係者には漏れ伝わっているため)良識ある人間は日展への出品を避けるのが常識となりつつある。[1]

不正審査問題[編集]

石材などに文字を彫る「篆刻」の2009年度の審査を巡り、有力会派に入選数を事前に割り振るという不正が行われたことが朝日新聞の調べで分かった[2]。関係者によると、流派有力者(日展役員職の人物)や上位の師匠に手土産を持参して、入選者の一席に加えてもらうのは日常茶飯事だという[3]

また、書道以外の洋画や工芸の部門でも「事前指導」が慣行として行われ、事前指導を受けた作品が多数入選していたことが明らかになっている[4]。この影響により、2013年の日展は、直前になって日展側からの後援辞退の申し入れがあり、文化庁は後援を中止した。また、文部科学大臣賞の選出と、副賞の賞金の支出についても取りやめになった。

2014年4月、幹部会員を減員し(参事・参与・評議員を廃止)ピラミッド構造を改めるなどの改革を発表[5]

2014年9月、日展審査員の経験者を、日本芸術院会員の新会員候補から除外するよう、文化庁が求めていることがわかった。 [6]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ a b c d e NHK 情報まるごと 2014年11月5日
  2. ^ “日展書道「篆刻」、入選を事前配分 有力会派で独占”. 朝日新聞デジタル (朝日新聞社). (2013年10月30日). http://www.asahi.com/articles/TKY201310290515.html 2013年10月30日閲覧。 
  3. ^ “「先生に手ぶらじゃ駄目」 日展、厳しい階級社会”. 朝日新聞デジタル (朝日新聞社). (2013年10月30日). http://www.asahi.com/articles/TKY201310300011.html 
  4. ^ “日展審査員、自会派を事前指導 洋画と工芸、多数入選”. 朝日新聞デジタル (朝日新聞社). (2013年11月20日). http://www.asahi.com/articles/TKY201311190467.html 2013年11月21日閲覧。 
  5. ^ 「改組新日展」に名称変更 日展不正審査問題で 産経新聞2014年4月10日
  6. ^ 朝日新聞デジタル (朝日新聞社). (2014年9月9日). http://www.asahi.com/articles/ASG9852H8G98UCVL00Z.html