愚地独歩

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愚地独歩(おろちどっぽ)は、板垣恵介の漫画作品『グラップラー刃牙』シリーズに登場する架空の人物である。アニメ版の声優は麦人、OVAでは飯塚昭三

プロフィール[編集]

  • ファイトスタイル:神心会空手(愚地流空手)
  • 身長:178cm
  • 体重:110kg

概要[編集]

世界最大の勢力を誇る空手道フルコンタクト空手)団体・神心会の総帥。「武神」「人食いオロチ」「虎殺し」など数々の異名を持つ。かつて地下闘技場の闘士として戦い、1対1でを倒す荒業を成し遂げた[1][2]。その強さは生きながら伝説的存在と称され、空手家に限らず多くの格闘家から尊敬を集めている[3]。闘士としては長く一線を退いていたが、鍛錬は怠っておらず未だ現役。

江戸っ子気質で豪放磊落な人柄だが、お茶目でひょうきんな一面ものぞかせる。その飄々とした態度は相手の怒りを買うこともしばしばあり、久々に再会した本部以蔵を憤慨させるなど枚挙に暇が無い(しかし生来の性格らしく本人は全く気にしていない模様)。また、妻の夏恵の前では度々強がりを言い、時には甘い台詞で愛を語るなど大変な愛妻家でもある。夏恵からは「ドッポちゃん」と呼ばれている。息子は同じく神心会の師範代である愚地克巳養子)。弟子に加藤清澄、末堂厚らがいる。

スキンヘッドと左目の付近と右頬に範馬勇次郎に付けられた傷が特徴。勇次郎との再戦で右目を失ってからは眼帯を付けている。

趣味は西部劇の鑑賞。特にジョン・ウェインがやる派手な殴り合いが好き。

外伝『拳刃』では主人公を務め、若年時の姿が描かれた。

モデル[編集]

立場や経歴は極真会館総裁大山倍達、空手家としては拳道会総師中村日出夫らがモデルであり、複数の武道家を元にしている[4]。また、作中で彼とは別に大山倍達が存在することが明らかにされている。

名前の初期案は「うわばみ」だったが、それに付ける漢字が写植に無かったため断念。後に柔軟性があって強い、太い大蛇のイメージで「愚地」と付けたと語る[5]

ファイトスタイル[編集]

己の肉体のみを武器とする文字通りの「空手」の美学を無骨なまでに貫く。幼少の頃から積み重ねた鍛錬に裏付けされた技の数々、闘いにおける強固な意思は勇次郎をして「武神の名に恥じぬ男」と言わしめた。

『グラップラー刃牙』シリーズには多数の空手家が登場するが、独歩は現代では失われつつある古武術としての空手の使い手という点で他キャラクターと一線を画する。また、長年にわたる地道な自己鍛錬においては、自他共に認める稀有な存在といえる。独歩が繰り出す技は刃牙や勇次郎でさえ回避不可能という領域に達しており、それらは全て長年にわたる鍛錬と百戦錬磨の経験に基づくものである(打撃が回避不可能であることに関しては「空手の基本の型全てを1日1000本、それを数十年続ける事ができるバカなら誰でもできる」と独歩が自ら評している)。

また、独歩が持つ格闘への観点はいわゆるスポーツ空手ではなく、「生活すべてが戦いであり、奇襲や騙まし討ちも受ける側の未熟」という過去に存在した武術家が持っていた通念に近い。不意打ちや騙し討ちはもちろん、場合によっては既に重傷を負った状態の相手を叩きのめすことさえ臆面無く敢行する(天内悠戦で不意打ちを仕掛けた際、観客が「さすが独歩、やる事が汚ねぇや」と喜んでいることから以前より常習の様子が伺える)。また、それらの行為を他人が行うことも全く意に介さないようである。ただし自ら「全身が武器」と唱える空手家としての誇りから、武器の使用は一切行わない。万一使用することがあっても、砂一握りすら前もって備えてはならず、鞄や扇子、衣服などの偶然身に着けていた物のみにすべきと語っている。

なお心理戦においても、老獪どころか狡猾さまで感じさせる挑発の名人である。

攻撃[編集]

独歩が繰り出す技は正拳突き、手刀、貫き手など古くから空手道に伝わるものが多い。旧知の仲である本部以蔵の弁によれば、独歩の手足は「刃物と同じで命中した部位は全て急所と化す」というまで鍛え上げられており、こと技の一つ一つを極めるという点では他の追随を許さない人物である。

菩薩の拳
最大トーナメント編、準々決勝の渋川剛気戦で見せた技。人が生まれた時の形である菩薩の手の形で拳を作り、正拳突きを見舞う。武術の技全てに存在する殺気が全く無いため、護身の達人である渋川をもってしても返せない必殺の一撃。正拳について思案しながらまどろんでいた際、反射的に飛んでいた蚊をこの形の拳で叩き潰し「真の正拳」へと開眼した。
独歩個人としては最強の技であり、ゲーム版においても超必殺技として設定されている。
六波返し
鍛え上げられた指で相手の頭頂部を強打し、頭蓋骨の縫合を外す技。
虎口拳
親指と人差し指の間で相手の眉間を突き、一時的に視力・判断力を奪う。目潰しに似るが実質全く別の技である。
風摩殺
頬に掌打を浴びせ、相手の顎関節を外す。
存在してはならない技術(仮称)
刃物と同等と評される拳足を文字通りの威力で行使し、素手で人体から骨肉を毟り取る。作中では通り魔の甲状軟骨と肋骨を引きちぎり、恥骨を粉砕した。あまりの危険性ゆえ、特殊な状況下でしか使用を解禁されない。

防御[編集]

コツカケ
琉球唐手に古くから伝わる秘技。腹筋を操作して睾丸を体内へと収納し、金的への攻撃に予め備える。独歩曰く「古い空手家にとっては常識」であるとのこと。
前羽の構え
勇次郎の使う御殿手に対抗して、先に動いた方が攻撃を受けるという作戦のために使用した絶対防御の構え。
散眼(サンガン)
左右の眼を双方別々に動かすことによって視界を広げ、相手の攻撃に対応する。範馬勇次郎戦で使用。
廻し受け
両手で円を描き、あらゆる攻撃を捌く鉄壁の防御。独歩のそれはガソリンに付けられた火でさえも一瞬でかき消す程であり、ドリアンをして「ビューティフル」と言わしめた。
三戦(サンチン)
呼吸をコントロールすることにより、あらゆる攻撃に耐えるとされる防御の構え。琉球唐手が元祖とされており、現在でも多くの流派で伝承されている。弟子である末堂にも自ら伝授した。

作中での活躍[編集]

地下闘技場編[編集]

かつて酒場で油断していた所を範馬勇次郎により手痛い敗北を喫し、雪辱を誓う。後に勇次郎の息子である刃牙との縁から地下闘技場にて再戦。空手に伝わる数々の秘技で一時は圧倒するが、本気を出した勇次郎の人知を超えた戦闘能力の前に敗北。右目を失明、心臓停止に追い込まれた。その後、鎬紅葉によって蘇生し一命を取り留める。

最大トーナメント編[編集]

1回戦ではリチャード・フィルスと対戦。普段着で試合に臨み、西部劇ばりの殴り合いを制す。2回戦では勇次郎推薦の天内悠と対戦。天内が得意とする空中技を封殺し圧勝するかに思われたが、天内が繰り出した予想外の関節技の前に苦戦。一進一退の攻防を見せた。軸足を破壊されても尚戦いを続ける独歩に天内が動揺、その隙に目突きを喰らわせようとするが、天内に激怒した勇次郎の乱入という不本意な決着に終わる。その後「目突きが有効」という主催者判断で準々決勝に進出。「菩薩の拳」を武器に渋川剛気と達人対決を繰り広げるが、最後は僅かな経験の差で渋川に敗れる。

最凶死刑囚編[編集]

渋川戦での敗北から自らを神心会から破門にし、行方不明となる。しかし徳川光成の要請を受けて範馬刃牙花山薫、渋川剛気、烈海王と共に地下闘技場の代表の一人として死刑囚との戦いに参加。ドリアンと対戦するが、隠し持ったアラミド繊維によって左手を切断される。しかしその左手でそのままドリアンに突きを浴びせる気骨を見せた。その後、知り合いの闇医者・梅澤の手によって左手は無事接合。「全身を武器にする」空手の精神を捨てた克巳、加藤の前でドリアンのアラミド繊維を手刀で斬り落とし、空手の真髄を教える。

その後、加藤がドリアンと戦い重傷を負わせられる。これを受け独歩は克巳と共に神心会総出でドリアンの追跡を開始。ドリアンが操る催眠術をはじめあらゆる攻撃を打ち砕き、最後は加藤の手で決着をつけさせた。しかし自宅に帰った際、先回りして自宅を襲撃したドリアンに激昂、不意打ちで顔面を爆破され重傷を負う。回復後は神心会本部ビルを爆破したドイルの前に現れ、挑発の限りを尽くした上で瞬殺した。

神の子激突編[編集]

渋川を破ったアライJr.と対戦。反応不可能なほどの超高速パンチや、回し受けからの打撃すら回避する天才的ディフェンスで翻弄され失神KOを喫した。しかしその後、ジャックと渋川に連敗し満身創痍の重傷を負ったアライの前に現れ再戦を挑む。額でパンチを受けるベアナックル式の防御法でアライの拳を粉砕、さらに両脚を破壊した時点でその場を立ち去った。終盤のアライ-刃牙戦前はアライ勝利を予言するも外れる。後、刃牙に直接対決を申し出るが断られた。

ピクル編[編集]

ピクルの様子をテレビで見て、是非とも彼と戦いたいと考え、ピクルが待つ米軍基地へと乗り込む。そこで、同じくピクルを目当てとしている烈海王達と遭遇する。

息子克己とピクルの戦いでは、克巳の戦いを邪魔するものを阻止するため、空手着を着て臨戦態勢をとっていた。克巳がピクルに敗れて右腕を差し出そうとした折には、烈の二の舞を防ごうと光成達が手配した兵士達による非殺傷弾での一斉射撃を突きの構えで立ちふさがり阻止、「息子の覚悟を無駄にしないでくれ」と光成に頼み、ピクルへの射撃を止めさせた。戦いの後には、勇次郎をバーに誘い、酒を酌み交わす。克己に対する周囲の扱いの間違いを勇次郎に指摘されるなどしつつ、ピクルが覚醒した今こそ「最強」の座を決めるときだと二人で語り合った。

その後[編集]

抑えきれない殺傷本能を発散するため、街を徘徊してわざとトラブルを起こし、喧嘩を買っている。また、たまたますれ違った男の体臭などから通り魔であると一目で看破し、襲われた子供を助けるために上記の存在してはならない技術を開放、凄惨な攻撃を加えた(その後、警察の事情聴取にて「用法に間違いは無かった。」と自ら話している)。

「地上最強の親子喧嘩」ではいち早く現場へ赴き、刃牙と勇次郎との戦いを間近で見て時に自分の受けた印象などを口にし、居合わせた群衆からは「その道の人にはわかるんだ」と評された。また刃牙に対して心中で「良かったな刃牙。こんなに遊んでくれる父ちゃん、他にゃいねえぞ」と語っている。

外伝『拳刃』[編集]

若い頃の愚地独歩を描いており、急所への攻撃なども躊躇なく行っている[6]

また、本編で「伝説」となっている虎と1対1での対戦も描かれる。

脚注[編集]

  1. ^ 息子の克己ですら実話だと思っていなかったが、ドリアンとの再戦時に改めて真実であることが明かされた。独歩が進んで公言しなかった理由は虎が絶滅危惧種であるため教育者してふさわしくないと考えたため、および話しても信用してもらえないだろうと冗談まじりに述べている。
  2. ^ 外伝『拳刃』第3話「虎殺し」(コミックス1巻収録)において虎と対戦した際のエピソードが描かれている。
  3. ^ 烈海王から、数少ない歴史の関係ない「例外」として認めている。
  4. ^ 『板垣恵介の激闘達人烈伝』ISBN 4198923450
  5. ^ 福昌堂『格闘技マンガ最強伝説』20ページ
  6. ^ 手刀で鼻を削ぐ、二本貫手による眼球破壊、睾丸破損など。

関連項目[編集]