形式科学

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形式科学(けいしきかがく、: formal science)とは形式体系に関係する学問の総称である。論理学数学システム理論に加え、計算機科学情報理論ミクロ経済学統計学言語学のうち理論的な研究分野がこれに含まれる。

概要[編集]

形式科学は記号(シンボル)規則から構成されたものであり、有益であると考えられれば、(しばしば限定的ながらも)現実の世界に応用される。

人は時として理論的な体系と現実世界(=自然)そのものを混同することがある。「理論的なモデルは現実世界を完全に描写することができる」、あるいは理論を「現実そのものである」などと信じてしまうこともある。

形式科学を自然科学と比較すれば、形式科学が理論上のアイデアから他のアイデアを推論(純粋な思考の過程)のみによって導き出すのに対し、自然科学は現実の観測観察から得られた知識をもとに現実世界を簡潔に表すモデルとして、現実と整合するように示される。

私たちは形式科学だけでは現実の世界について何も知ることはできず、また現実についての何かしらの事実を証明することもできない。

形式科学と自然科学は別ものである。 形式科学は,記号システムによって記述される抽象的構造を特徴付けることに関連している。それに対して自然科学は自然のしくみや法則を特徴付けることを模索している。別ものなのである。

ただし、形式科学は構造についての情報を供給しており、その結果、自然科学を援助し、世界を記述するために使用される、という点では自然科学に影響を及ぼしうる。なお、その意味では、数学だけでなく自然言語も自然科学に影響を及ぼしうる。言語構造や語彙の意味体系が自然科学に影響を及ぼしうるのである。

歴史[編集]

形式科学は科学的方法が確立される前に始まった。 最も古い数学の資料は紀元前1800年(バビロニア数学),紀元前1600年(エジプト数学),紀元前1800年(インドの数学)に遡る。 そのときから,インド,ギリシャ,イスラムの数学といった異なる文化で数学者たちは数学に多大な貢献をした。 一方で,遠く離れた中国や日本は自国独特の数学的伝統を発達させた。

数学に加えて,形式科学の分野としての最も古い例の一つとして論理学がある。 推論の方法の明確な解析としての論理学は3つの異なる場所に起源を持ち,持続的な発達をした。 紀元前6世紀のインド,紀元前5世紀の中国,紀元前4世紀から紀元前1世紀にかけてのギリシャである。

形式的に洗練された近代論理学の扱いは,アリストテレスの項論理(en:Term logic)などで知られ, のちにイスラムの論理学者たちが発展させたギリシャ流のものによる。 インド流の論理学は早期近代まで続いた。 中国流の論理学は中世においてインド流論理学が採用され生き残れなかった。

形式科学の他の多くの分野が数学にとても頼っているため,それらは数学が比較的高度に発達するまで存在しなかった。 フェルマーパスカルホイヘンスは確率論を創始した。

1800年代始めに。ガウスラプラスは,保険と政府会計における統計の利用を説明する数理統計学を発展させた。数理統計学は,20世紀始めに数学の一分野として認識される。

20世紀中頃に,新たな数理科学オペレーションズ・リサーチシステムエンジニアリングといった工学の分野の隆盛によって,数学は広げられ豊かになった。これらの科学は,情報理論数値解析(科学技術計算),理論計算機科学,を刺激した電子コンピュータの発展とその基礎となる電子工学な研究に資した。また,理論計算機科学は計算理論を含む数理論理学に資した。

他の諸科学との違い[編集]

なぜすべての科学に比べ数学が特別に感じられるかという疑問に対しての一つの答えは,その法則が絶対的に確実で論争になりえないからだ。一方で,他の諸科学は,一定程度議論の余地があり,新しく発見された事実によって権威の座から引きずり降ろされるという危険がつねにある。

自然科学社会科学といった経験科学とは違い,形式科学は経験的手続きを含まない。 形式科学はまた,偶有的な事実についての知識を仮定しないし,現実の世界を記述しない。 この意味で,形式科学は論理的にも方法論的にもア・プリオリであり,その内容と妥当性は如何なる経験的手続きとは独立である。

形式科学は経験的内容を欠いた概念的なシステムだが,それは現実世界との関係が全くないというわけではない。 その関係というのは,形式的主張はすべての想像しうる可能世界で成立するということである(論理式を参照)。 一方で,一般相対性理論進化論といった経験的理論に基づく主張は,すべての可能世界で成立するとは限らないのと同様に,最終的にはこの世界でも成立しないかもしれない。 つまり,形式科学は如何なる領域においても適用可能であり,如何なる経験科学においても用いることができるということだからだ。

形式科学は非経験的な性質をもっているため,公理や定義の組み合わせを設定することにより,それとそれにより演繹される定理によって構築される。 言い換えると,形式科学における理論は,総合的主張(en:Analytic–synthetic distinction)を一切含まない。つまり,すべての主張は分析的である[2][3]

脚注[編集]

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  1. ^ Albert Einstein (1923). “Geometry and Experience”. Sidelights on relativity. Courier Dover Publications. p. 27.  Reprinted by Dover (2010), ISBN 978-0-486-24511-9.
  2. ^ Carnap, Rudolf (1938). “Logical Foundations of the Unity of Science”. International Encyclopaedia of Unified Science. I. Chicago: University of Chicago Press. 
  3. ^ Bill, Thompson (2007), “2.4 Formal Science and Applied Mathematics”, The Nature of Statistical Evidence, Lecture Notes in Statistics, 189 (1st ed.), Springer, p. 15 


関連項目[編集]

外部リンク[編集]