計算科学

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計算科学けいさんかがく: computational science)は、数学的モデルとその定量的評価法を構築し、計算機を駆使して科学技術上の問題を解決する学問分野である。具体的には、様々な問題への計算機シミュレーションやその他の計算手法の適用を指す。

概要[編集]

計算科学は、計算計算機情報処理アルゴリズムの設計や実装に関する数学的学問分野である計算機科学とは明確な違いがある。また、理論と実験で構成される従来的な科学技術とも異なる。計算科学的アプローチは、計算機上に実装された数学的モデルを解析することによって対象への理解を深めるものである。

科学者や技術者は、対象領域をモデル化したプログラムアプリケーションソフトウェアを開発し、それに様々なパラメータを与えて実行する。一般にそのようなモデルは大量の演算を必要とし、スーパーコンピュータ分散コンピューティング環境で実行されることが多い。

数値解析は計算科学の重要な手法のひとつである。数値シミュレーションは、以下のように対象とする問題の性質によって目的が異なる。

  • 既知の事象を再構築して理解する(例えば、地震、津波などの自然災害)。
  • 既知のシナリオを最適化する(例えば、工学的プロセスや産業プロセス)。
  • 未来または未知の状況を予測する(例えば、気象、原子レベル以下の粒子の振る舞い)。

計算科学のアプリケーションプログラムは実世界の条件を変更してモデル化することが多い。例えば、気象、飛行機の周辺の気流、自動車衝突時の車体の状況、銀河系の星々の動き、爆発物などである。そのようなプログラムは、コンピュータのメモリ内に論理的メッシュ(網目)を形成し、個々の領域が実世界のモデルの空間的な一部分を表すようになっている。例えば気象の場合、ひとつの点が数キロ平方の領域に対応し、その下の地理状態、風向き、湿度、温度、気圧といったパラメータが与えられる。プログラムはシミュレートする時間間隔に従って、現在の状態を基に次の状態を計算する。この計算はモデル化された方程式を解くことで行われる。そのような計算を次々に行っていくのである。

「計算科学者」という言葉は、科学技術計算に長けた人を意味する。一般に科学者、技術者、応用数学者であることが多く、高性能なコンピュータを利用して対象領域(物理学、化学、工学など)の何らかの最先端の理論を検証する。計算科学は他にも経済学や生物学や医学にも適用されつつある。

計算科学は科学の第三の形態と見なされ、実験/観測理論の間を補間するものと考えられている。この考え方はスティーブン・ウルフラム(特にその著書 A New Kind of Science)や Jürgen Schmidhuber など多くの人々が主張している。

教育[編集]

計算科学は従来、応用数学計算機科学の一部として教育されるか、一般的な数学・科学・工学のカリキュラムの一環として教育されてきた。しかし、欧米では計算科学で学士号を取得する学生が年々増加している。計算科学に関する修士号を与える大学も増え、一部の大学では博士号も与えている。

日本では、次のような研究機関・大学で計算科学に関する研究が行われている。

また、以下のような関連学会がある。

関連分野[編集]

脚注[編集]

外部リンク[編集]