和製漢字

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和製漢字(わせいかんじ)とは、中国から伝来した漢字ではなく、日本で作られた漢字体の文字を指し、国字とも呼ばれる[1]

音読み[編集]

和製漢字の作成方法は、漢字の「六書」の造字ルールのうち「会意」または「形声」によっており、ほとんどは会意文字であり音読みは持たないことが多い[1]。しかし、音読みが全く無い訳ではなく、音読みしかない字もある。音読みが無いと熟語をつくるときに不便な場合は、漢字から部首を除いた部分の読み方を音読みとしている。「働」では、右側の動という字を「どう」と読むため、「働」の音読みを「どう」としたり、「搾」では、右側の窄という字を「さく」と読むため、「搾」の音読みを「さく」としている。

和製漢字の例[編集]

和製漢字 訓読み 音読み 備考
とうげ - 台湾では旁を「」に作ることが多い
つじ -
ささ - 字訓「ささ」は本来「篠」(しの)で表記
さかき -
- せん 中国の『新華字典』にxiànと収載
とち - 」の略字の変形
はたけ - 国字でない可能性がある[2]。独自に「ハク」と音読する場合あり[3]
はたけ - 中国の『新華字典』にtiánと収載
にお(う)・にお(い) -
なぎ・な(ぐ) -
たこ -
また - 中国の漢詩に「俁」の異体字としてと読む例がある
わく -
こ(む)・こ(める) -
しつ(ける)・しつけ -
はたら(く) どう 中国語では「動(动)」を使用
しぼ(る) さく 」の異体字。国字とは言い難い[4]
ぶりき 「錻力」でもぶりき
たすき - 国字でない可能性がある[5]
すべ(る) -
こうじ -
かし -

通用範囲[編集]

和製漢字の多くは日本でのみ通用する(例えば、「労働」は中国韓国では「勞動」、簡体字では「劳动」となり、「働」の字は使われない)が、「腺」「鱈」など、一部の文字は、明治以後に科学や近代社会に関係する概念が日本語から中国語などへ翻訳された関係、または日本が一時期統治した関係で、今でも中国、台湾など他の漢字文化圏で使われている[6]

また姓名地名に関わる漢字は中国語圏でも和製漢字のまま表記されることが多いが、場合によっては似たような字で代用されることもある。例えば、栃木県枥木县綾辻行人綾十行人辻希美過希美(簡体字では过希美)など。

和製漢字のままの字体で使われる場合は、部首を除いた部分の部品を中国語で読むか、同様の形声字の読みを用いるのが普通である。例えば、「辻」は「十」の読みである「shí」と読まれ、「辷」は「一」の読みである「yī」と読まれ、「腺」は「線」と同じく「xiàn」と読まれる。

電算処理[編集]

現代日本語として常用される和製漢字は、JIS X 0208に組み入れられ、それを取り込んだUnicodeにも収録されているため、電算処理や通信に使うことが可能となっている。しかし、菅原義三の『国字の字典』に収録の字をみても、まだ各種のJISやUnicodeなどの文字コードに未収録の字も多く存在する[7]

国字についての議論[編集]

日本国字にあたるものは海外にもあり、朝鮮における朝鮮製漢字やベトナムのチュノムなどがある。 また広義の国字については諸説あり、「」という字は「としょかん」という日本で中国人が作った字であるが、これを含めるかどうかなど考える必要がある[要出典]。また、日本で中国と異なる略し方をした場合を含めるかなども問題となる。例えば、「鹽」の略字「塩」は日本の略し方で、中国では用いないが、台湾では用いられる。また、「栃」は元となった「」は中国の漢字であり、旁を「」に置き換えた漢字は中国にもあるため、筆画が違うだけの差を日本で作ったとするかどうかなども検討を要する。

脚注[編集]

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  1. ^ a b 久保天随『誤り易き漢字の読み方と正しき用字法』国立国会図書館 大正6年 国字/p1-10 「わが邦(国)にて製作したる漢字にて音なし」とある。
  2. ^ 笹原(2007)、p.97
  3. ^ 三省堂漢和辞典『漢辞海』第二版 p.945参照。
  4. ^ 笹原(2007)、p.98
  5. ^ 笹原(2007)、p.97
  6. ^ 现代汉语中的日语“外来语”问题 王彬彬
  7. ^ 『国字の字典 付 増補、索引』飛田良文/菅原義三 東京堂出版 1990年9月 ISBN 9784490102796

参考文献[編集]

  • 小林芳規 『図説日本の漢字』 大修館書店。ISBN 9784469232011
  • 笹原宏之 『国字の位相と歴史』 三省堂、2007年ISBN 9784835362632
  • 加納喜光 『動物の漢字語源辞典』 東京堂出版、2007年10月ISBN 9784490107319
  • 平松折次 『漢字通覧:国定読本』 光風館、1911年

外部リンク[編集]